バイパス道路 1
トンネル
車は山の中腹のバイパス道路を走っている。緩やかなカーブに続くトンネルに入ると、前方の暗がりからオレンジ色の照明が次々に現れて来る。しばらく走ると眩い半円形の一部が見えた。半円形がどんどん大きくなる。その向こうには光る海。水平線が僅かに右に傾いでいる。たちまち半円形は最大に。車はトンネルを抜けた。眼下に島と島を繋ぐ紅白柄の二つの送電塔。その内側の少し遠くに 別の島々を繋ぐ白い吊橋の二つの主塔。スケールの大きな二重の門だ。水平線の傾きが元に戻った。
ランプウェイ
トンネルを抜けると車は主道を外れ、ランプウェイを下って行く。右斜め上方に幾つもの橋脚に支えられた主道が伸び、緩やかにカーブしながら段々畑の向こう側に隠れて行く。車は下り坂の突き当りを右折し、右回り螺旋の高架橋をすぐ左に海面を臨みながら下って行く。螺旋カーブが終わると信号があり、海岸線の旧国道と合流する。信号を左折してすぐ脇道に入り、海岸堤防の傍の空き地に停車した。車を降りて信号まで歩く。横断歩道を渡り、ランプウェイを支えるどっしりした橋台の下まで歩いて来た。見上げると、高架道路の裏側が竜の腹のようにうねりながら東西に伸びて行き、片方の脚を頭上でくるりと巻いて秋の海辺に降ろしている。