『「その日暮らし」の人類学』小川さやか著
Living for Todayーその日その日を生きるー人々とそこに在る社会の仕組みを論じることを通じて、わたしたちの生き方と、わたしたちが在る社会を再考することを目的としたという本書。
「タンザニアのトングウェ人は、集落の住民が食べられるだけの食糧しか生産しないにもかかわらず、集落を訪れる客人をもてなすために、生産した食糧の40%近くも分け与えている。
この客の接待に要した食物量は、自分たちもほかの集落に旅に出かけ、もてなしを受けるため、通常は帳消しになる」
ミリオンセラーの「パパラギ」を思い出させるようやエピソードが、文化人類学的なアプローチで紹介される。
時間も金銭も相対的なもの。
数字で示されるほどには、時間もお金も直線的なものではない。
「小説宝石」の連載を加筆・修正したという本書。
雑誌的なものが減っていくと、こういう本も減ってしまうのかもしれない。
人は、勤労主義と怠け者主義の両極を揺れ動く。
目の前で、子どもがプールで遊んでいる。