地域活性化、地域貢献、街を元気に、などの言葉に酔って思いつくままに人に語り人を集め人を動かしていると、地元の新聞に出たりタウン誌に載ったりローカル局が取材にきてくれたりするものである。 そして、そういう温度を嗅ぎつけた、少し年上の、ずっと前から地域にいて声を出してきた人がたいていは横槍をいれてくるものだ。 彼らは、そんなやり方ではダメだ、自分ばかりが取り上げられてはダメだ、地域全体の利益になるような視え方じゃないとダメだ、と何かあるたびに言ってきた。地域全体、というのはつま
ひとは皆、自分と異なるものは怖いのではないだろうか。 自分と違う考え。 自分と異なる外観。 自分が理解できない言語。 差別する、区別する以前に、自分と異なるものは一様に怖いという感覚があるのではないか。 男性なら女性を、若者なら年寄りを、あなたなら私を、怖いという思いが人の基本にあるのではないだろうか。 だから、他人を、自分と同じ考えに矯正したくなるし、自分と同じ境遇ならいいのに、と願うし、自分と同じ言葉を話したらいいのに、と感じるのだろうか。 生きる、ということは、自分
自閉スペクトラム症の彼氏と付き合っているのです。 昔で言うところの「アスペルガー症候群」と「多動症」の両方の特徴を併せ持つらしいということなのですが、それが原因で周りの人との衝突や勘違い、一方的な誤解がとても多いのです。 会社には今、行けていません。大学を出て就職をしたのですが、上司とうまくいかなくなって心を病んで辞めてしまいました。 そういう人は、今とても多いのではないかなと思います。 自閉スペクトラム症の彼氏によって、私はうそつきにされることがよくあります。 彼は、言葉
首都圏からさほど遠くない地方都市にでかけると、いわゆる「シャッター商店街」に出くわすことが少なくない。 昭和の時代はさぞかし賑わっていたであろうアーケード街だが、人通りがなくなり一度シャッターを下ろした店がふたたび開店することはない。 多くは、少し離れた別の場所、車で行きやすい郊外に大型店が出店し客の出足をそちらに奪われたことに起因する、と思われている。 同じものを売っている場合、昔ながらの商店が大型店舗に勝てる確率はほとんどない。どんなに個店としての魅力を磨いたところで、で
ちょっと雪が降ると、都市部じゃ大騒ぎすんの、いつも思うけど笑っちゃうね。 滑るってわかってんだから、それなりの準備で出かけりゃいいのに、なんでいつもの靴で行っちゃうんだろな。 ニュースで散々、転んで救急車で何人運ばれました、とかって、毎年毎年やってんのにさ。 やばいって思ったら、気取って革靴履くのやめて、長靴でも履いてけっつうの。 ジョギングシューズだってまだましだぜ、革靴より。足は濡れるだろうけどな。 会社についたら履き替えりゃいいだけじゃん。なんでわかんねーんだろな。
彼のお財布の中をのぞき見するのがやめられないです。 時々不用心にキャビネットの上なんかにポーンと置かれているのを見ると、つい手にとって札入れのところを探ってしまうのです。 だいたい中にはつまらないコンビニのレシートやなんかが束になってるだけなのですが、たまに宝物が入っているのです。 宝物って、証拠のことです。 彼がうそをついた証拠が、時々つまらないレシートの束にそっと紛れ込んでいるのです。 小洒落たロゴの入ったレシートが出てきたら、それはかなりの確率で宝物です。 小洒落た
受け入れがたい事実を突きつけられたときや、堪え難い絶望を味わった時の漫画などにおける表現に「がーん!」というのがあるが、まさか本当に頭の中に「がーん!」という音がなり響くとは思っていなかった。 うそではない。 実際に体験したので、本当のことである。 正確には、「がーん!」ではなくて、「ぐわわわわわわんんんん」とアルミの洗面器が空高くから落ちて来て目の前のコンクリートで跳ね返ったときに空気に放出される音波が反響したようなものが、耳の奥底から入り口にかけて押し寄せてきて、耳は
すこし前に、ネットで、ねこがゆっくりまばたきする時はまばたきを送っている相手のことを大好きだって思ってる、というお話がありましたでしょ。 ちょっと臆病で、人になかなか慣れないねこを保護した飼い主さんが、そのねこが飼い主さんをそっと物陰から見つめながら、ゆっくりまばたきをしているのをちょくちょく見かけて、あれどういう意味だったんだろうって不思議に思っていて。 そのねこが死んでしまってからしばらくして、飼い主さんがネットで「ねこが飼い主さんを見てゆっくりまばたきするときは、飼
良いおこないをしてると、神様はそれをちゃんと見ていて、いつか幸運を授けてくれるというけどさ、あれ、うそだよねぇ。 だって私、電車でお年寄りに席を譲るのなんて当たり前だし、この前なんて、ベビーカー押したママが山手線乗り込もうとしたら、電車とホームの隙間に車輪がはまっちゃって身動き取れなくなっちゃってたの、すごく遠くから手を貸しに行って電車に乗せてあげたんだよ。 あ、そのベビーカーのママはなんだか迷惑そうにしてたけどね。 ああいうとき、手を貸す人っていないんだね。ベビーカーのマ
もう残りの人生で、誰も呪わないって言ったの、あれうそだから。 今でも毎日、めいいっぱい呪っているから。 嫌いな人のことを考えて時間を無駄にするのやめよう、って言われても、やめられないから。いつかどこかで、失敗したり苦労したりどん底になればいいのにっていつも呪っているから。 もう一緒の将来考えるのやめようって言って、こっぴどく遠ざけておきながらいけしゃあしゃあとまた近づいてきて、ご飯作ってくれて、海も一緒に行って、一緒に仕事して一緒に寝たくせに、おずおずと「子供産まれたからし