見出し画像

きみのウンコのせいです。

猫の行動にはあらゆる謎が隠されている。その中でもとりわけ、僕が食事を始めると猫がトイレでウンコをし始めるという不可解な行動について、僕は戸惑いを隠せない。夕食の時間、腕によりをかけてこしらえた料理の品々と、近所の酒屋で厳選してきたうまい酒をテーブルに並べ、さあ舌鼓するぞという至福のひとときに、ふと視界の隅を横切っていく白い影。しばらくの沈黙の後、ざくざくと砂を掻く音、程なくテンション高めに飛び出していく猫様。そして漂ってくる忌々しい臭い…。 いったん箸を置き、猫様の後始末をつとめる僕。冷めていく料理。消えない悪臭。つのる憂悶。言葉が通じない動物にこんなこと言ったって馬鹿馬鹿しいことこの上ないのですが、ただ一言だけ、一言だけ言わせてもらいますけどね、きみのせいで、僕の無味乾燥な日々の中で唯一の楽しみであるはずの食事の時間が、最近は億劫で仕方がないのですよ。きみのせいですよ。きみがウンコをするせいですよ。きみのウンコが僕の至福のひとときを台無しにするんですよ。

もうちょっと品のある話がしたいね。30にもなったいい大人がウンコの話ばかりしてると本当に品性下劣なヤツだと思われかねないからね。そこで、これからはちょっと趣向を変えまして、太古の昔から女子達の間で親しまれ続けている注目の話題「恋愛」を主軸に、僕の身の上話をつらつら書いていきたいと思う所存は一切ございません。書きません。書きたくありません。つーか書けません。こちとら妻と娘に別居されてる独り身なものでね、ひとりぼっちで寂しく帰宅して、寂しく夕飯すませて、寂しく風呂に入って、そんで寝る。毎日それの繰り返しなのよ。恋愛なんて華やかな要素はひとかけらもねえええええんだよ。センチメンタルなテキストなんざ書けるわけねえええええええええんだよ。やっぱウンコだわ。僕にはウンコの話しか書けません。ウンコが一番性に合ってるんです。存在がウンコみたいなものだから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?