空白の物語
noteには2回目の小説(一文)を載せてみる。
アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ』を読んで、文章の練習。
【空白の物語】
君があーと言うので、私はげーと言って、ぺしゃんこに潰れたような君の気持ちの上に乗っかってケラケラ笑い、バカにするなと怒る君は、その勢いのままに立ち上がって、私と戦おうと拳を振り上げるも、こんなのコメディでしかないよと私が皮肉ると、途端に意気消沈して再びあーと、今度は力なく呻いて、ベッドに倒れ込み、もうおしまいだ、この世の終わりだと、いつものようにつぶやいて、ふるふると体を振るわせながら涙声でどうしようどうしようと誰にともなく嘆き始め、私は付き合ってられないと思いながらも、よしよしと君の頭を撫で、遠くなってしまった、平和で穏やかでぼんやりしたようなぬくぬくした冬場の猫のようだった私たちの景色を思い出し、君も私も遠くへと別々の思いをめぐらして、静まり返った部屋で、すうすう寝息のような音を立てるエアコンに耳を傾けながら、泣き言を言うのをやめた君の本物の寝息が聞こえるまで黙っていた。
丸のない文を、オノマトペや同じ言葉の繰り返しを使って書くという課題。
声に出してみて、読んだリズムがいいように書く練習。
指示は「一段落~1ベージで、声に出して読むための語りの文を書」く。
一段落を、1文と勘違いした。。。