【すっぱいチェリーたち🍒】宇利盛男 仲間の存在
「キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪」
「・・・・・、んっ?」
ベルの音で目が覚めたオレ。
自分が机にうつ伏せていることに気付く。
「えっ、ナナちゃん?あれっ」
どうやら授業中に妄想をしていたら、
そのまま眠ってしまっていたらしい。
オレはナナコの夢を見ていたようだった。
「はっ、そうだっ、
圭子に告白しないとっ」
と慌てて圭子が座っている後方の座席を見ると、
たちまち女子生徒達が圭子を囲み、
壁を作っている状態になっていた。
これは少し待たなければいけないなと思いつつ、
見ていた夢についてボーっと考えていた。
「オレはなんてことをしていたんだろう。
圭子がいるにも関わらず、
ナナコちゃんに心を奪われる夢を見るなんて。
これって、
二股やんっ」
そう思うと、
急に罪悪感に襲われた。
言うなればオレは今、
2人の女子からアピールを受けている。
どちらかを選ばないと。
1人は学校中のマドンナの存在。
とてもじゃないけど
オレがあんな清楚なお姫さまを
エスコートできるとは思えない。
でも実際に、
今このオレと
人生という大きな道を
二人乗りで走ろうとしているのは
セクシーで甘い香りがする圭子だ。
「ちゃんと圭子に告白して、
二股したことを謝らなないと」
ボボボボボボボボボー🏍️。
オレは腹を括った。
「ちょっと職員室に行ってくるね」
圭子が1人で教室から出て行った。
これはチャンスだ。
すかさず
いつも休み時間に
自然に集まってくる野郎達に
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
と告げて教室を出て行こうとしたら、
仲間の阿久が
「待って、オレも行くわ〜」
と言ってきた。
まずい。
慌ててオレは、
「ごめんオレ、大きい方やから
時間かかるし1人で行かせて〜」
と嘘をついた。
それを聴いて
「う〜わ、くっさ〜、
出しすぎて便器を詰まらせんなよ〜」
と言って大笑いをされた。
なんとか1人で教室を出て、
圭子の香りを辿りながら
あとを追った。
「ガラガラ、ありがとうございました〜」
職員室を出てきた圭子。
今しかないと思った。
「けっ、け、圭子さん」
勇気を出して声をかけた。
「あ、朝の!
道教えてもらって助かったわ〜」
圭子が近寄ってきてくれた。
押し寄せるセクシーで甘い香り。
その刺激に舞い上がった。
もう止められない。
オレは圭子に言った。
「オレは、
やっぱり圭子さんのことが
す、好きやねんっ!
一瞬でも他の人のことを考えてしまって
ごめんなさいっ」
圭子は一瞬、
不思議そうな顔をしたが、
すぐに
「えっ、意味がわからないんですけど」
とクスッと笑いだした。
その姿を見て、
勘のいいオレはすぐに質問をした。
「も、もしかして、
トシさんと付き合ってるの?」
その言葉の数秒後、
圭子の顔が赤くなっていることに気付いた。
その後のことは
全く覚えていない。
気づいたら
教室の近くの男子トイレの大便器に座っていた。
なかなか教室に帰ってこないオレを心配してか
阿久、保志田、小郷、ヨメン達が
トイレまで探しにきてくれていた。
「おい宇利、何してんねん、
そこにおんねやろ?
遅いから
一緒にトイレに流されたんかと思ったわ」
みんなの笑い声がトイレ中に響いたが、
その笑い声に反応して、
オレはボロボロと涙を流し、
大声で泣いてしまった。
「えっ、えっ、どないしたんや?
宇利、宇利やろ?
とりあえずここの鍵を開けてや!」
鍵を開けたオレの
大泣きしている姿に驚き、
便器に座っているオレをみんなが囲んでくれて
話しかけてくれた。
恥ずかしかったが、
圭子にフラれたことを話した。
そしたらみんなが1人ずつ、
阿久「オレなんか波都子にフラレたんやで
ええことなしや〜」
保志田「オレなんか若いのに
体に石ができてたんやで」
小郷「オレなんか
キン消しのガチャガチャ、
3回連続ベンキマン出たんやで!」
ヨメン「ボクなんか
名前がヨメンだし!」
みんな、
それぞれに
悩みやコンプレックスを抱えている。
こんなオレに
平気でそういうことを
打ち明けてくれる友達がいる。
辛い思いをしているのは1人じゃないんだ。
便器に座りながら、
こんないい野郎達に囲まれていることを
オレは幸せに思った。
圭子のことは、
もう水に流そう。
「ジャーーーーーーーーー」
水洗レバーの大を捻って、
スッキリして、
次の恋へ向かうことを
心に誓ったオレだった。
<この記事の前段階の記事です>
<まだ始まったばかり!笑>
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