【すっぱいチェリーたち🍒】宇利盛男 恋のベルが鳴り響く
「キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪」
学校のベルが鳴った。
まるでオレたちを祝福するかのように。
バイクに跨り、
2人で1つになって風を感じた圭子との
運命のスタートライン。
その恋の始まりを告げる時がきた。
燃え上がったこの気持ちを
すぐにでも伝えたいのに、
転校してきたばかりの圭子を
周りの女子生徒たちが囲み、
挨拶をしたりトイレの場所を教えたりしている。
なかなか2人になる隙がない。
女子生徒たちが作る壁の隙間から
時々圭子の表情を垣間見ているのだが、
残念ながら私が彼女の横に
寄り添ってあげられるタイミングがない。
今すぐにでも側に行ってあげたいのに。
高まる気持ちを抑えながら、
1度教室の外の廊下に出ることにした。
「この廊下の窓際で
オレが1人待っている姿を見れば、
それに気付いた圭子が
ここに来てくれるかもしれない」
運命を信じてみることにした。
あと休憩は残り5分。
相変わらず周りの女子生徒が
圭子を囲んで談笑している。
流石に転校初日は、
なかなか2人の時間を作るのは難しいのか。
少し寂しい気持ちで、
窓の外を見上げていると、
「宇利くん、1人でどうしたの?」
と話しかけてくる清楚な女性の声がした。
後ろを振り向くと、
登校してきた時に
教室の後ろの入り口で
私に笑いかけてくれた田梨木高校のマドンナ、
大門寺ナナコが突然舞い降りてきた。
正直驚いた。
こんな学校中のマドンナが
他の誰かではなく、
このオレに話しかけるのか。
そういえば教室内でも
私の遠方からの視線に気付いて
笑ってくれていた。
「もしかして‥これは‥」
とにかく急に恥ずかしくなった。
清楚系女子にめっぽう弱いオレは、
話しかけるかどうか
少しモジモジしてしまった。
するとナナコは続けて言った。
「なんだか考え事をしてるみたいね。
宇利くんは、
元気に笑っている方がいいよ」
はっきりと
自分が赤面しているのがわかった。
手汗も滲んでいる。
それと同時に
頭の中で繰り返し再生される、
ナナコの私に対する
恋心を思わせるようなセリフ。
「キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪」
次の授業の始まりのベルと同時に
オレの新たな恋のベルが
校舎中に鳴り響いたのだった。
<この記事に関連したお話>
<今回登場してもらった大門寺ナナコさん>
だいなさん、ごめんなさい笑。
<本日、スタエフライブします!>
11月1日(金)21時〜。
『クリスマスまでの創作活動!
すっぱいチェリーたち🍒
スタート記念ライブ✨』
フライングしてる(笑)
記事などにも触れながら、
楽しくおしゃべりしましょう!
皆さんはどうやって書いているのか?
聴いてみたいと思います😊。