#秋の創作活動 ウーリー④「リケーン王国の細くて長い影」【ウーリーと黒い獣たち】
「もう、たこ焼きでお腹いっぱいになったんで
明日は早番やし、そろそろワシ、
リケーン王国に向かわんとダメですわ」
歯に青のりをつけたブラックシーホが言った。
「私は遅番ですけど、
たこ焼きを食べすぎて上顎を火傷したんで、
1回家に帰りたいですわ〜」
とブラックゼリも言った。
「迷ってたんやけど、
さっき突然来たリケーン王国の使いの人の
言うことも気になるし、
とにかくルボンという国王に
直接会いに行って話を聴いてみようと思う」
と私は覚悟を決めた。
ブラックオネタの姿が見えなかったが、
タコパの片付けをし、
仲間達に感謝の気持ちを伝え、
腹拵えをした私たち一行は
再度出発することにした。
「また28秒でノットコンプリートやで」
と悔しそうに走って帰ってきた
ブラックオネタも合流し、
急いでリケーン王国に向かった。
私は歩きながら、
「ルボン様が真の母親であり、
私自身は復讐のために存在している」
というリケーン王国からの刺客の言葉が
ずっと頭から離れなかった。
でも、
私はターリキィ王国の人々を
この日照りから救わなければならない。
仲間の中には、
リケーン王国で働く者もいる。
なんとか仲間の力を借りながら
ルボン王女の助けを得られないか、
向き合って話し合うしかないと思った。
そんなことを考えていると、
時々自分の体が光るということも
なんとなくわかってきた。
鏡で光る自分の姿を見ると
なんとも恥ずかしい気持ちになるのだが、
これには何か意味があるのだと思い、
自分の決断を信じて
旅路を進んだ。
「えっ、暗すぎません?
こわいこわいこわいこわいっ」
日中帯でも日の光が乏しいくらい、
霧深いリケーン王国。
元々、標高の高い山々に囲まれた
渓谷に位置する国。
必然と空気は淀み、濃霧は酷く、
どこを歩いてるのかも
わからななくなる程だ。
本当に辿り着けるのか
不安で仕方ない。
私はヒヤトラーズに案内されるように、
最後尾から必死に歩いて着いていった。
日が傾き、
うっすらと漆黒の闇が生まれる
その時間帯に差し掛かってきた頃、
遠くの方でたくさんの明かりが一斉に灯され、
「どこにそんなに人が居たんだ?」
と思わせるほどに、ワラワラと人が賑わい出す
沢山の店が並ぶエリアが見えてきた。
しばらく無言になっていた一行も
「やっと休憩できるわ〜」
と少し安堵した。
それにしても、
なんて険しい山道なんだろう。
奪われる体力と気力。
下がってくるズボンを上げることも、
会話中のツッコミさえも忘れてしまう。
なんとか力を振り絞り、
倒れ込むように
先頭のお店の休憩スペース用の
敷物のゴザの上に辿りついた一行。
「はぁ、しんどいわ〜」
とみんなが声を出し倒れ込んた瞬間、
私達を見下ろすような
細くて長い影に覆われたことに気付いた。
(つづく…)
あとは、
お任せしま〜す!笑
<この連休、読んで創って楽しもう!>