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【すっぱいチェリーたち🍒】夢で逢えたら

「昨日の夜ね、ラジオを聴いてたの。

 そのラジオの声が宇利君に似てたの。

 そのまま聴いてたら寝てしまって。

 そしたらね、

 宇利君の夢を見たの!」

最近、

絶対イケると思っていた彩子に2度もフラれ、

世の中に絶対という文字はないということを

身をもって知ったオレだったが、

意外にも真実というものは

すぐそばにあるということにも

気付かされたのであった。


オレの夢を見たというのは、

クラスメイトの小室哲子。

席が同じ列の前方で近いということもあり、

時々喋る機会はあったが、

そこまで深く話し込んだことはなかった。

ただ1度だけ

学校後の夜に、

偶然にも家の近くのコンビニで

出会ったことがあった。

その夜の哲子は、

少し雰囲気が違っていた。

その時も哲子の方から

「こんばんみ!」

と笑顔で言ってきてくれた時、

ドキッとしたことを今でも忘れない。


夢を見るということ。

それはオレという存在が、

彼女の脳の中で

いっぱいになっている状態。

なんて恥ずかしいのだろう。

夢の中では一体、

どんなことをしているのだろうか。

まさか‥。

そう考えると、

気持ちの高ぶりに時間はかからなかった。

「夢を見たの!」

と言われてから、

色々と思い出したことがある。

そういえば、

配布されたプリントを後ろに回す度、

振り向いた彼女と

よく目が合っていた。

休み時間にトイレに行った時も

よく廊下ですれ違っていた。

そして、

家の近くのコンビニで出会った夜。

全ての点が線でつながった。

私という男は、

なんて鈍感な男なんだ。

もう、バカバカバカ。

ニヤつきそうな顔を誤魔化しながら

窓の外の風景を眺めた。


おそらくこれが、

運命というものだろう。

ただ、

彩子の「大どんでん返し」も

経験したばかりだ。

もっと確信を得るために、

もっと哲子の脳の中を

うり色にしたいと思った。

念の為に、

茶保先生のいる

保健室に相談に行こうかと迷ったが、

彩子に2度フラれてから、

そんなに日にちが経っていないし、

さすがに恥ずかしいから今回はやめにした。


それからは、

どこの場所に行くにも、

哲子の前を必ず横切るようにした。

哲子の視界に入るようにして

オレとの学園生活を

脳に焼き付けてもらうようにした。

哲子の中の

トレンディ俳優として、

夢への出演回数を増やしたい一心だった。


「もういいかい?」

「まあだだよっ」

「もういいかいっ?」

「もういいよ〜」

自分の中で、

祝福の鐘が鳴った。

いよいよ、

哲子にコソッと小さい手紙を渡し、

放課後のピロティに呼び出した。


先にピロティで待っていると、

小走りで哲子がやってきた。

「ごめ〜ん、どうした?」

満面の笑みの哲子。

なんてハッピーな雰囲気なんだろう。

もう、

そういうことなんだと確信した。

おそらく彼女の脳内はもう、

うり色の世界。

これは、

脳内だけで終わらせるのではなく、

ちゃんと現実として

叶えてあげないといけないと思った。

よしっ、

伝えよう。

「哲子、オレな〜、

 あの、

 えっと、

 て、

 哲子のことが

 好きやねん♡」

緊張して下を向いてしまったオレだったが、

勇気を出して、

哲子の顔に視線を合わせた。


「えっ、

 むりむりむりむりむり…

 なんで〜、私達、

 ただのクラスメイトやんっ…」

哲子の顔から、

満面の笑みが消えた。



それからのことは、

あまり記憶に残っていない。

知らないうちに

オレは

保健室のドアの前に

呆然と立ち尽くしていた。


〜つづく〜


〈今回登場した小室哲子はこちらの方です!〉

路地裏の方みたいです。
私も出会ったばかりの方です笑。

TKさんが私の記事にコメントをくださいました😊。

「先日、彩夏さんとのラジオにお邪魔させて頂いた、こんばんめのTKです。
よろしくお願いします🙇‍♀️
この企画、見た途端、ゾクゾクわくわくしました✨
久しぶりに物語書いてみたいーって創造力がムクムクと。。
どんな形で参加できるかまだ分からないんですけど、楽しみにしています♪」

本当にありがとうございました😊。

なので、 

記事に登場してもらって、

告白させて頂きました。

勝手にごめんなさい🙏。

まさか、

フラれるとは思っていませんでしたが…笑。

最近スタエフも始められたそうです!


〈創作活動、フライングしてます笑〉

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