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なにかが変わる弟子屈暮らし

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北海道 阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。
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記事一覧

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.38

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.38

その日は仕事がなく、朝6時半に家の前を散歩する。
道に紅葉したカラマツの金の針のような葉っぱが道の両端を覆うように散らばっていた。日の出後のほんの短い間、霜が降りているのを確認できる。

晩秋は外が騒がしく、白鳥の大きな鳴き声と、雄鹿の立派なラッティングコールが昼夜問わず聞こえるが、人間が活動していない時間の方がより大きく響いているような感じがする。

アルプ美術館との出会い大好きなのになかなか営

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.37

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.37

朝起きて山を見るとほんの少し、また色づいているのがわかった。
気温は5度。ひんやりとした山の冷気はこれから来る冬を思わせた。
あと3ヶ月で今年も終わり。色々こなしている間にあまりにも早く過ぎ去ってしまう。それならば先回りして来年のことも考えてみる。

北海道アウトドア検定を受ける9月頭に試験を控えていた。
8月ごろはテキストを読み込んだり、ノートに書き写したりと久しぶりに勉強らしいことをした。思え

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.36

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.36

去年ほど暑くはない夏だった。
新居にエアコンがないことを心配していたが、そもそも家にいるのは夜だけで、寝苦しく途中で起きた日が二日。
扇風機を買うか迷ったがいずれにしても送風ができる方がいいなと思ってネットで購入する。数日待って届く頃には肌寒かった。

ナナカマドの実が赤くなったら秋の合図。
足元ではコエゾゼミの死骸をシデムシが分解していた。
緑もくすみ、小鳥の声も近づいてきている。

とうもろこ

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.35

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.35

ホザキシモツケのピンク色のお花が綺麗だった。ホザキシモツケは寒涼な湿地帯に咲く花で本州では日光とか霧ヶ峰で見られる「高山植物」だ。ここでは平地に咲き、また何気ない雑草のような顔をしているが、一時期には環境省のレッドリスト絶滅危惧種Ⅱに指定されていたことがある。

職場でヤマグワの実がなった。
人が植えたのか鳥が種を蒔いたのかヤマグワが点在している。別海町出身の作家、河崎秋子の小説「蛹の家」を思い出

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.34

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.34

一年で最も風の気持ちいい季節。
照りつける太陽が眩しく、そして暖かい。
ようやくやってきた初夏。

日の出は3時台。午前中に気温が上がる。
エゾハルゼミの声を聞いていると、関東民である私はあの茹だるような暑さを思い出してしまうのだろうか。本当に夏バテになりそうな気持ちになるが、ここは道東。気温は21度。13時を過ぎたらひんやりと気持ちいい風が吹いてくる。
テレビに映る全国の天気予報。
30℃が当た

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.33

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.33

ひとりで気持ちをまとめようと思うことも少なくなった。人間は考える葦というけれど、私は喋る葦だと思う。
夫が私の話を聞いているのか聞き流しているのかはわからないが、今日は彼は先に寝ているので、今月あったことをまた振り返ってみる。

きょうは一日和琴半島でカヌー講習があったという。トイレに行くこともお昼を食べる間もなかったらしく、それはさぞ疲れただろうと思った。身体も冷え切ったので風呂に入ると言ってい

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なにかが変わる弟子屈暮らしvol.28

なにかが変わる弟子屈暮らしvol.28

忘年会後の走り書き編はぁ。凍れる。
さっきまで温かい店に居たはずなのに、肺に入った空気が身体を芯から冷やして凍らせてしまいそうだった。
今日はお世話になっているお花屋さんがご挨拶に来てくださって帰りにしめ飾りをくれた。
それで初めて「あ、年末なんだ」と実感する。
年々、一年の体感が短くなってきて常に師走状態みたいだった。
どれかひとつが狂えば、ひとたびバランスを崩してしまいそうな中で、毎日の丁寧な

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.32

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.32

南風。満開の福寿草。エゾアカガエルのたまご。オオジシギの鳴き声。カラマツの新芽。 

ふきのとうが採れた頃、友達は弟子屈を離れた。
桜前線はまだ遠く、芽吹きもまだ来ない森の中でやっとキタコブシの白い花が目立つ。
ここでは春はゆっくりと進んでいく。

節目4月。ひとり、弟子屈にやってきたのは3年前。
ちょうどこの時期に面接に来た。だから、雪が溶けて大地に緑が見えてくるこの頃、はじめて道東の春を訪れた

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.31

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.31

確実に春が近づいていることを感じるこの頃。
鹿や白鳥が畑に出てきて、真っ白なうさぎが慌てて道路を渡る。雪解け水は坂を走っていく。

帰省のタイミングで吹雪3月の後半、休みを頂いて地元横浜に帰省する予定だった。出発する日の天候がかなり悪く、前日の夜から吹雪。翌朝は峠を越えるのも危ない上、吹雪いていては飛行機が飛ばないかもしれない。帰るだけなのにまさかの試練。
2日前くらいからソワソワと天気予報を眺め

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.30

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.30

全然雪の降らない冬。
2月半ば、ようやく屈斜路湖が全面結氷して、それからは気温が10℃近くまで上がったり翌日には-15℃になったり(それでも例年より全然冷えていないと皆口を揃えて話す)、おかしな天気で除雪の入らないところはカチカチに凍っていた。

思い立って流氷お昼に予定があったけれども、ほんの少し後ろ倒しになったのでそれならば!と思いたって流氷を見に行った。

大好きな以久科原生花園。
いくしな

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.29

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.29

今年は暖冬。
そうは言ってもここは道東で。
連日の-15℃以下の低温で湖が凍りついた。
北北西の強風が吹くと、オホーツク海からじわじわと近づいてきていた流氷はいよいよ港をびっしり埋め尽くしているらしい。
かたや内陸、屈斜路湖の氷はみんな割れて、また釧路川を流れていった。例年1月末は凍っては割れるを繰り返している。

直下型地震のこととか1月。ドンっという音がした。雪が落ちた音にしては変だなと思うと

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.26

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.26

阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)での暮らしを綴ります。

10月。
てんとう虫が山から大群で押し寄せてきた。それを念頭に書くほど毎日信じられないほどの量を始末した。ある日、パタリとそれは収まる。
ちょうどその頃くらいに白鳥が来始めていた。

月の後半に差し掛かるといよいよ紅葉はピークを迎え、山々が黄色や橙、クリーム色に各々染まり、時々あるヤマウルシやモミジの赤が際立った。今度は鹿の

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.24

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.24

東京都出身神奈川育ち一度も地方に住んだことがないのに、好きなだけで阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。

8月半ば。
ある日、急に空が高くなった。気持ちのよい秋の風が吹いて、木々の緑は少し燻んだ。朝、窓際に死んでいる虫の種類が変わった。
スイッチをカチカチと回しているように小さな変化だが明らかに季節が変わる。
それでも月の下旬は本当に暑い日が数日あっ

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なにかが変わる弟子屈暮らし vol.23

なにかが変わる弟子屈暮らし vol.23

東京都出身神奈川育ち一度も地方に住んだことがないのに、好きなだけで阿寒摩周国立公園の町 弟子屈町(てしかがちょう)に住んでみた感想や実体験を綴ります。

宿泊業の仕事に就いてから初のトップシーズンを迎えた。連日満室である。みんな涼しさを求めて北海道へやってくるが、一年で一番暑い日が続く。

それでもやっぱり夜には20℃を下回り、霧に包まれる。
いま目の前で揺れている樹々がもう2ヶ月もすると橙色に紅

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