なにかが変わる弟子屈暮らし vol.35
ホザキシモツケのピンク色のお花が綺麗だった。ホザキシモツケは寒涼な湿地帯に咲く花で本州では日光とか霧ヶ峰で見られる「高山植物」だ。ここでは平地に咲き、また何気ない雑草のような顔をしているが、一時期には環境省のレッドリスト絶滅危惧種Ⅱに指定されていたことがある。
職場でヤマグワの実がなった。
人が植えたのか鳥が種を蒔いたのかヤマグワが点在している。別海町出身の作家、河崎秋子の小説「蛹の家」を思い出す。明治大正は養蚕が奨励されていたというので、畑にもならないこの丘にヤマグワを植えたのではと思いを馳せる。だがそれにしては本数が少ないし、昔は道路沿いに民家があったというので、誰かがジャムを作ろうと庭に植えたと思うくらいが適当かもしれない。
朝SUP
朝SUPのお誘いを頂いて、久しぶりに参加してみた。
朝6:00からというので、朝5:00に起きて準備してもギリギリだったが万が一起きれなかったら謝ろうと思った。
当日、意外に朝5:00にパッチリ目が覚める。
大人になっても遠足と同じ、楽しいことはスクッと起きられるらしい。
湖のうえをスイスイ滑ってとても気持ちがよかった。終わったらそのまま職場に直行。いつもより1時間前倒して仕事ができ、これぞサラリーマンの最高の朝活。
家を借りる
仕事と家、その距離片道15kmを往復する日々が2年以上続いていた。
自然のある場所に住んでみたいとかねてから思っていたが、あまりの物件の少なさ(というかほぼ無い)に諦める他なく、それじゃあ家を建てたいな、とか安易に思った。
私はもう自然さえあればどこでもいいし、なんならその"自然さえあれば"、の定義も曖昧になっていた。
一方で夫は割と"その辺"がハッキリしているのか、自分のビジョンがあるらしくそれが面白い。確かに、わざわざここに住んでるのだから"その辺"はシビアにアンテナを張らなくてはいけないと思わされる。
おかげで自然のある場所に家を借りた。
それでまた人との出会いが増えて、他人に導かれる自分の理想もあるのだと思った。たぶん自分ひとりではその選択には辿り着かなかっただろうけど、確かにまた生活は面白くなり、怠惰な私は理想の暮らしとは何か、また考え始める。
前のアパートの大家さんに鍵を返す。
空っぽの部屋に、初めてここに来た時のことが鮮明に蘇るけれど、感慨深いのは私だけみたいだ。
およそ3年前の入居日、駅まで迎えに来てもらい、いっしょに弟子屈ラーメンを食べた。改めて振り返ると、大家さんには本当に親切にして頂いたなと思う。
もうここに帰ってくることはないのが名残惜しいくらいで、今まで引っ越しを何度も繰り返してきたけれど、退去日にこんな気持ちになったのは初めてだった。