なにかが変わる弟子屈暮らし vol.34
一年で最も風の気持ちいい季節。
照りつける太陽が眩しく、そして暖かい。
ようやくやってきた初夏。
日の出は3時台。午前中に気温が上がる。
エゾハルゼミの声を聞いていると、関東民である私はあの茹だるような暑さを思い出してしまうのだろうか。本当に夏バテになりそうな気持ちになるが、ここは道東。気温は21度。13時を過ぎたらひんやりと気持ちいい風が吹いてくる。
テレビに映る全国の天気予報。
30℃が当たり前になってしまった日本の初夏。みんな大汗しぼっている中、いま自分たちだけが涼しい思いをしている。
初めてみたダブル雲海
翌朝は風のない休日だった。
明日の朝、カヌーに乗りたいと要望を言ったら、ライフジャケットがないからだめだよと言われる。
でも雲海が出るかもしれないというので、それならカヌーは無しで雲海を見に行こうと決まった。日の出は3時台になっていたが、その時間に起きるのは無理。5時に起きてライブカメラを見て、良さそうなら行く、たいした事なさそうなら寝ようということに。
布団の中で見た5時のライブカメラ。
摩周湖に綺麗な雲海が出ていた。
迷わず摩周第三展望台に行くことを決める。
準備をして、30分後には雲海を眼下に見下ろしていた。
実は美幌峠と津別峠で夏の雲海を見たことがなく今回もお預けとなる。
この後の朝寝が気持ち良いのである。
チャシってなんだ?
その日はてしかが郷土研究会で弟子屈町内のチャシを巡る予定があった。
土日なので、宿業の関係で参加は難しいかと思ったが慌てて片付けて車を飛ばす。
そもそも職場がチャシに近いのに、家に飛んで帰る意味もあるのかよく分からない気がしたが、結局チャシは藪漕ぎ必至の自然の中にあるということで、長靴と足首が出ない靴下とそれなりのアウトドアの服装が必要だった。
家に着くと珍しく夫がのんびりしていたので、長靴と一緒に車に載せて行った。
弟子屈町内にある釧路川流域のチャシ跡群。
私有地を経由し、国有林である。
チャシとGoogleで検索すると、
近世にアイヌが築造したある種の施設。
砦や祭祀の場、見張り場など多目的な用途で…とある。
見た目はいわゆる城の空壕のような感じ。
丸く囲われており、説明を受ければそれが人工的に作られたものであると見て取れる。
カツラの木に囲まれ、屈斜路湖の湖岸段丘にあるウランコシチャシ跡。釧路川源流に面した岸辺の高くなったところにあるクッシャロシペ第一第二チャシ跡。30mくらいの崖の上にあるプイラクニチャシ跡。
ここが何の為に作られたのか推測する事しかできないけれど、選んだように美しい場所にあるこれらは人と人との争いのような物騒なものではなく、とっておきの場所というか、なにか自然への祈りに近いようなものが眠っているような気がした。
弟子屈町公式ホームページ