裏声菩薩

カウンターテナー歌手・オペラ演出家の彌勒忠史(みろく ただし)です。舞台に関する話題を中心に記事を掲載したいと思いますが、いつの間にか食べ物の話になっているかもしれません。演奏動画などもアップしてゆきたいと思います。

裏声菩薩

カウンターテナー歌手・オペラ演出家の彌勒忠史(みろく ただし)です。舞台に関する話題を中心に記事を掲載したいと思いますが、いつの間にか食べ物の話になっているかもしれません。演奏動画などもアップしてゆきたいと思います。

マガジン

  • 「食べる音楽」リターンズ

    この度、音楽情報誌「ぶらあぼ」に連載しておりました「食べる音楽」に加筆し、noteに掲載することといたしました。いずれは完全書き下ろし記事もアップいたします。週イチ程度のゆる〜い連載を続けて参りますので、ご高覧のほど、よろしくお願い申し上げます。

最近の記事

「食べる音楽」リターンズ

No.13 甘くて熱いカロリーの誘惑 お菓子の好きな 巴里娘 二人そろえば いそいそと 角の菓子屋へ 「ボンジュール」 選る間も遅し エクレール 腰もかけずに むしゃむしゃと 食べて口拭く 巴里娘 西条八十 作詞 橋本国彦 作曲<お菓子と娘>より  イタリアでの朝食について、以前ちらっとご紹介したように思う。基本は、自宅やバールで甘いパンとカップッチーノに代表されるミルク入りカフェを食す。バールで販売しているパンのクオリティは、店によって大きく異なる。小さなバールだと大

    • 「食べる音楽」リターンズ

      No.12 南蛮渡来の粉モン文化? アツアツの素晴らしいパンを ご婦人方、ご希望の方に さあ、さあ、さあ、こいつが熱いうちに 食卓の準備をして! さあ、ご婦人方買っておくれ おいらの熱くて最高のパンを! こんなに熱いのを味わったら おたくら真っ赤になっちまうよ アツアツの素晴らしいパンを ご婦人方、ご希望の方に! 作者不詳(16世紀イタリア)<アツアツの素晴らしいパン>より  過日、堺で開催されたコンサートに、リューティストの高本一郎氏、濱田芳通氏率いる古楽アンサンブル「

      • 「食べる音楽」リターンズ

        No.11 川魚はお好き?明るい小川で 嬉しそうにすばやく泳ぐ 気まぐれな鱒が 矢のように通り過ぎてゆく。 私は岸辺に立って 澄みきった川の 魚の元気な泳ぎを くつろいで眺めていた。 F.P.シューベルト<鱒>より  先日、東京都下の料亭へ食事に行った時のこと。山の自然をうまく取り入れた広大な敷地には数寄屋造りの離れがいくつも建てられており、四季折々に移ろう木々の彩りを愛でながら頂く料理の数々は、澄んだ山の空気と相まって格別であった。その日の献立には、お造りとしてコイの洗い

        • 「食べる音楽」リターンズ

          No.10 野菜を食べて生涯現役!オオオ、トノノノー♪ 手を洗おう、サラダはもう 味付けも済んだし、料理もたくさんある オオオ、トノノノー♪ ここが食堂だ、ちょっと 歌おうじゃないか 素敵なパーティー万歳! オオオ、トノノノー♪ A.バンキエーリ<脂ぎった木曜日、晩餐前夕べの小宴>より  日本人の平均寿命が世界でもトップクラスにあることはよく知られている。それでは国内での男女平均最長寿県はどこか、というと長野県だそうだ。先日あるTV番組でこの長生きの秘訣につい

        マガジン

        • 「食べる音楽」リターンズ
          13本

        記事

          「食べる音楽」リターンズ

          No.9 美味しい義援活動バス、カント、アルト、ファルセットに乾杯! 何てワインですか、コヴェッロさん? ここらでは「キアレッロ」と呼んでいます キアレッロ、美味しいキアレッロ おまえを今クリアにしてから評価しよう うまいぞ、うまいぞ、うまいぞ! A.バンキエーリ<脂ぎった木曜日、晩餐前夕べの小宴>より  2012年5月20日イタリア北部のボローニャ近くを震源とするマグニチュード6.0の地震が起きた。ユネスコ世界遺産の街、フェッラーラも震源に近く、幸いなことに街中では命に

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.8 鰻屋密度日本一みなさんにある漁師の話をしよう 彼はカワカマスやフナの漁をしていたが ウナギがとれると大喜び ロレーナが死ぬほど好きだから ポー川のウナギは長くて太くてきれいで最高さ おいでよ、ロレーナ!天気の良い日にポー川へ連れていってあげる 釣り具を持っておいで 辛抱強くするんだよ さあ ポー川のウナギをとりにおいでよ! イタリア/フェッラーラ民謡<ポー川のウナギ>より  ウナギの価格高騰が止まらない。「ウナギだけにうなぎのぼり」という古典的ダジャレをもう何百

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.7 やる気の源、楽屋弁当これくらいの おべんとばこに おにぎり おにぎり ちょっとつめて きざみしょうがに ごましおふって にんじんさん さんしょうさん しいたけさん ごぼうさん あなのあいたれんこんさん すじのとおったふーき 作詞:香山美子 作曲:小森昭宏<おべんとうばこのうた>より  過日、恩師プロデュースによる声楽演奏会に出演した。これから世に羽ばたいてゆく若者たちを紹介するという名目の公演であったため、出演者の多くは、夢と希望にあふれた20代の若者たち。「門

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.6 魅惑の修道院ごはん托鉢修道女:「革袋ひとつ分のオイル」 シスター・ドルチーナ:「まあ!素敵!」 別の托鉢修道女:「6連のヘーゼルナッツ」 托鉢修道女:「小かごいっぱいのクルミ」 シスター・ドルチーナ:「塩とパンと相性抜群!」 修練長:「シスター!」 托鉢修道女:「ほら小麦粉よ、まだミルクが滴っているチーズもあるの、ケーキみたいに美味しいわよ!ひと袋分のレンズ豆、卵、バター、これでおしまい」 G.プッチーニ<修道女アンジェリカ>より  バロック以前の音楽演奏を生業

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.5 コーヒーと飛行機と私リースヒェン: ああ、コーヒーはなんて甘く美味しいのかしら 千のキスよりも愛しいわ マスカットワインよりも甘いわ コーヒー、コーヒーを飲まなくちゃ もし誰か私に優しくしたいと思うなら ああ、コーヒーをプレゼントしてちょうだい J.S.バッハ<コーヒー・カンタータ>より  前回に引き続きコーヒーの話を。一時期、ヨーロッパに渡航する際はいつもオーストリア航空を利用していた。最終目的地は大概イタリアであるのだが、乗り継ぎの手間をものともせず、同社の

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.4 コーヒーと朝食と私シュレンドリアン: 悪い子だ、おまえは、不躾な娘だ ああ、おまえがコーヒーさえ止めてくれたら良いのに リースヒェン: お父さん、そんなに厳しくしないで もし一日3回のコーヒーが飲めなかったら がっかりして干からびたヤギの肉みたいになっちゃうわ J.S.バッハ<コーヒー・カンタータ>より  筆者は、バッハの<コーヒー・カンタータ>に登場する娘、リースヒェンに勝るとも劣らないコーヒー中毒者である。イタリア在住時は、一日に3~5杯のエスプレッソを消費

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.3 世界最古の居酒屋@フェッラーラとっても綺麗なお嬢さん そのうまいワインを注いでくれよ ルビーを蒸留したしずくを垂らしてくれよ とっても綺麗なお嬢さん そのワインじゃ俺を満足させられないよ トパーズを蒸留したしずくを垂らしてくれよ C.モンテヴェルディ<とっても綺麗なお嬢さん>より  フェッラーラは、ミートソースで有名なボローニャからヴェネツィアに向かって電車で30分ほど行ったところにある、北イタリアの小都市だ。エステ家がこの地を治めていたルネサンス後期まで、音

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.2 世界一のピッツァ@サレルノトスカーナ人: 新鮮で良い卵で作った フリッタータを2つ、 3オンスの肉と ソースと小魚を持ってきました ナポリ人: ベーコンとブロッコリの、 この鍋をしまっておいてくれ さあ、出発しよう! イル・ファゾロ<ベルガマスク“船旅の人々”>より  イタリアごはんは本当に美味しい。しかも、どこに行ってもその土地の名物料理とワインがあり、飽きることがない。  ナポリのちょいと南にサレルノという街がある。ここの古楽音楽祭でリサイタルを行った時

          「食べる音楽」リターンズ

          「食べる音楽」リターンズ

          No.1 歌手の食欲について考えたドン・ジョヴァンニ: ああ、なんて美味い料理! レポレッロ: (ああ、なんて荒々しい食欲! 巨人のごときひとくち! 俺は気を失いそうだ) ドン・ジョヴァンニ: (私のひとくちを見て 奴は気を失いそうだ) 料理をもて! W.A.モーツァルト<ドン・ジョヴァンニ>第2幕17場より  歌手は食べることが大好きだ。もちろん食欲は第一次欲求であるから「食べることが嫌いである」と公言するひとは世の中そうそういない。しかし声楽業界には、世間一般に比べて

          「食べる音楽」リターンズ

          ジョン・ダウランド John Dowland「溢れよ、我が涙 Flow my tears」

          購入後に全編(04:09)を視聴することができます。

          ¥100

          ジョン・ダウランド John Dowland「溢れよ、我が涙 Flow my tears」

          ¥100
          ジョン・ダウランド John Dowland「溢れよ、我が涙 Flow my tears」

          ジョン・ダウランド John Dowland「涙のパヴァーヌ Lacrimae Pavan」

          DTMバロック:大好きな初期バロックのレパートリーをDTMで作ってみました。曲は、ジョン・ダウランド John Dowland「涙のパヴァーヌ Lacrimae Pavan」です。 優雅なパヴァーヌをノリノリのダンス・ミュージックにアレンジしました。「舞曲」の魂は失っていません(笑) 歌入りの「溢れよ、我が涙 Flow my tears」は、また改めて投稿します。

          ジョン・ダウランド John Dowland「涙のパヴァーヌ Lacrimae Pavan」

          ジョン・ダウランド John Dowland「涙のパヴァーヌ Lacrimae Pavan」

          ジュリオ・カッチーニ 「アマリッリ、私の美しいひと」Giulio Caccini Amarilli mia bella

          DTMバロック:大好きな初期バロックのレパートリーをDTMで作ってみました。曲は、ジュリオ・カッチーニ 「アマリッリ、私の美しいひと」Giulio Caccini ”Amarilli mia bella”です。初めての試みですので、また再アレンジをアップするかもしれません。 Amarilli mia bella Non credi, o del mio cor dolce desio, D’esser tu l’amor mio? Credilo pur, e se timor t’assale, Prendi questo mio strale, Aprim’il petto, e vedrai scritto il core: Amarilli è ‘l mio amore. アマリッリ、私の美しいひと 信じないのか、私の甘い希求と おまえが私の愛であることを? どうか信じておくれ、不安に駆られようと 私のこの矢を取るのだ、 私の胸を開けよ、そして見るだろう、 記された心を; アマリッリは私の愛である、と

          ジュリオ・カッチーニ 「アマリッリ、私の美しいひと」Giulio Caccini Amarilli mia bella

          ジュリオ・カッチーニ 「アマリッリ、私の美しいひと」Giulio Caccini Amarilli mia bella