試験中の立ち回り──模試や本番で実力以上の点数を取るために意識してほしいこと
こんにちは、Uraと申します。
予備校講師やプロ家庭教師として活動している者です。
本記事の投稿月は10月で、本年度の受験生の方にとっては終盤戦に突入していることになります。模試の機会は限られ、本番の試験が徐々に近づいてきています。
と焦っている受験生の方もいるのではないでしょうか。
点数が思うように上がらないその原因は、日々の勉強にではなく、もしかしたら試験中の立ち回りにあるかもしれません。
そのような方に向けて、本記事では「実力以上の点数を取るために意識すべき試験中の立ち回り」を綴っていきます。
受験の世界では、試験当日の時点で同じような学力を持った受験生の間で明暗がハッキリと分かれることがあります。勝敗を分かつのは、試験当日の立ち回りです。
■強く意識すべき目的
点数の最大化を目指すというのは至極当然のことですが、"時間内で"ということを強く意識しておきましょう。
例えば、次のような試験を考えます。
この試験を、学力が同じレベルのAさんとBさんが受けます。2人とも、試験時間が120分あれば次のような内訳で満点が取れるとします。
さて、この試験をAさんとBさんが試験時間60分で受け、それぞれ次のような順番で解こうとしたとするとどうなるでしょうか。
点数に大きな開きが出ることがわかります。
試験時間が十分に長ければ同じ点数を取るような同レベル受験生でも、試験中の立ち回り次第で結果には大きな差が出てくるのです。
入試というのは「学力が高い受験生」ではなく「"時間内で"高い点数を取った受験生」が勝つ競技であることを今一度強く胸に刻んでください。
したがって、何よりも大事なのは日々の学習によって培われる学力ですが、その努力の賜物を合格に結びつけるためには試験中の立ち回りもしっかり確立しておく必要があります。
■目的を達成するために大事なこと
試験中に学力が突然伸びるということは──逆に突然落ちることも──あり得ませんから、試験開始時点においてあなたの学力で
はすでに決まっているわけです。したがって、あなたが試験中にやるべきことは次のようになります。
(1)(2)に該当する問題が少ないというのはただの学力不足・勉強不足です。これはこれでもちろん課題ではありますが試験前日までの過ごし方の話であり、試験当日にどうこうできるものではありません。
それに対して、(1)(2)の取りこぼしが多いとなったらそれは試験中の立ち回りの問題です。本記事ではこちらの問題に着目し、「現在の自分の学力で1点でも多く取る」ことを目標に具体的な行動案をご紹介していきます。
■試験中の立ち回り
【1】まずはすべての問題に目を通す
試験開始の合図があると焦って問題を開いてしまいがちですが、一旦深呼吸しておきましょう。ゆっくり吐いて、ゆっくり吸う。
気持ちを落ち着けたらまずはすべての問題に目を通しましょう。間違っても急いで最初の大問に取り組み始めてはいけません。
あなたが目指すべきは「時間内で点数を最大化すること」であり、そのために最も大事なことは「自分が解ける問題をしっかり解ききること」です。
この方針に照らし合わせると、何も考えずに大問1から解き始めるのは得策ではありません。最初の大問が一番難しく最後の大問が一番簡単であるということが往々にして起こるからです。
試験が始まったら、目の前の問題に注目するではなくまずは全体を俯瞰していきましょう。
【2】解く順番を考える
最初にすべての問題に目を通すとお伝えしましたが、ただ見ればいいというわけでは当然ありません。この際、どの問題が解きやすそうか、解く順番を考えていきます。
具体的にお伝えすると、もし大問がいくつかあり、それぞれ小問(1)(2)を抱えているとしたら、(1)の解法がパッと見てすぐに浮かぶ大問から攻めるとよいでしょう。一番初めに取り組む問題で詰まるととても焦る──逆に最初の問題をすんなり突破できると波に乗れる──ので、素早く確実に解けるところから狙います。
【3】時間配分を守る
すべての問題に目を通したら、次に大問ごとにかける時間を決めておきます。
例えば、試験時間が60分で大問が4つですべて同じようなボリュームである場合、1つの大問あたり15分と決定します。
大事なのは、この時に決めた15分が経ったらたとえ解答途中でも次の大問にいくということです。
特に序盤の大問において、難しいからという理由で早めに切り替えるのはOKですが、「時間があれば解けそうだから」と延長するのは基本的にNGです。
繰り返しになりますが、あなたが目指すべきは「時間内で点数を最大化すること」です。
最初の大問に取り掛かってから15分が経過したものの「この問題は解けそうだから」という理由で時間を10分延長し、実際に解けたとすると達成感は得られるかもしれません。しかし、それが最良の結果に繋がるかどうかはわかりません。
なぜなら、その10分を他の大問にあてていればもっと点数が確保できていたかもしれないからです。
「試験開始直後にすべての問題を確認し、解けそうな問題から着手していく」とお伝えしましたが、一見して簡単そうだと思った問題が実は難問であったという事態は十分起こり得ます。
逆に、難しそうに見えた問題が取り組んでみたら意外と易しいということもあります。パッと見ただけでその問題の難易度を完全に正確に判断しきるのは困難です。
したがって、「どの問題に重点的に時間をかけるべきか」という判断は、結局、すべての問題に実際に取り組んでみないと正確には下せないということになります。
逆に、すべての問題に取り組めば正確な判断が下せるようになります。具体例としては下のようなイメージです。
試験時間の残り15分をどの大問に使うかについて、時間配分を守って全大問に取り組んだからこそ「解けそうな大問1」と「解くことが難しそうな大問2」を正しい天秤に掛けることができています。
目の前の解けそうな大問に時間をかけたくなる気持ちはわかりますが、その気持ちをグッと抑えて、「それが本当に最善手であるかどうかはすべての大問に取り組んでみてからでないとわからない」と自分に言い聞かせ、時間通りに一旦次の大問に進むようにしてみてください。
【4】解答に詰まったら早めに次の問題に移る
試験中、問題がなかなか上手く解けないこともあるでしょう。
その時、まずは落ち着くこと。その問題はきっと難問です。捨て問かもしれません。そのように考えます。
そして、気持ちを切り替えて早めに次の問題に向かいましょう。
大切なことなので何度も強調しますが、あなたが目指すべきは「"時間内で"点数を最大化すること」です。「一度取り組み始めた目の前の問題を解ききること」ではありません。
たとえ目の前の問題を捨てることになっても、その他の「自分が解ける問題」をしっかり解くことができればトータルとしてはプラスなのです。最悪なのは「解けない問題に時間をかけすぎること」。固執しないのも技術です。とにもかくにも「解ける問題を解ききる」のです。
■練習方法
ここまで、「"時間内で"点数を最大化する」ために必要な考え方をお伝えしてきました。
けれども、野球の本を読むだけでは野球が上手くならないように、勉強方法の本を読むだけでは学力が上がらないように、ハウツーを知っても練習や行動に移さない限りそれが身につくことはありません。
したがって、私が本記事でお伝えしたことはぜひ模試の度に実践していただきたいと思っていますが、現実的な話として、模試の機会というのは限られています。そのため、模試だけでは十分な練習にはならないかもしれません。
そこで、日々の勉強に取り入れることのできる練習方法として、「1題を20分ではなく3題を60分で解く」といったようにセットで学習することをおすすめしておきます。詳しくは下の記事でまとめていますのでぜひご覧ください。
■まとめ
「そもそも解ける問題が少なくて芳しくない結果に終わった・・・」というのは単純に学力不足・勉強不足の話ですが、「解ける問題を解けていればいい結果が出たのに・・・」という状態であれば試験中の立ち回りを改善することで点数を伸ばすことができます。
本記事の内容を参考に、試験後に「今の自分が解ける問題はすべて解き切った!」と自信を持って言えるようにぜひ頑張ってください!
模試や過去問演習の点数が思うように伸びなくてお困りの方、下の記事から体験授業(オンラインであれば無料)も受け付けておりますのでぜひご連絡ください。ご相談だけでも大歓迎です。
あなたの受験結果がより良いものになることを心から祈っております。
それでは!
Ura