模試の終了後にするべきこと──模試はただ受けるだけでは意味がない、大事なのはその後
こんにちは、Uraと申します。
プロ家庭教師や予備校講師として活動している者です。
本記事の投稿日は10月下旬です。受験生にとってメンタルを崩しやすい時期と言われることもあります、心身ともに体調にはお気をつけください。
さて、本番の試験まではまだ時間がありますが、模試のスケジュールについては最終盤を迎える時期です。例えば大学受験において、大手(河合塾・駿台)の本年度の最終模試は次のようになっています。
これらはいずれもマーク模試で、返却までに時間がかかる記述模試については11月中旬のものが最終となります。
本記事では、残り数少ない模試を有効活用し第一志望合格につなげられるよう、模試が終わったらするべきことを綴っていきます。
模試というのはただ受けるだけではほとんど意味をなしません。大事なのは模試が終わった後に何をするべきか、です。
模試は貴重な時間とお金を払って受けに行くものですから、「解けた・解けなかった」に終始するのではなく、本記事の内容を参考に最大のリターンを獲りにいきましょう。
■模試後に目指すべきこと
具体的にやるべきことをお伝えしていく前に、その目的をはっきりさせておきます。
模試において一番大事なことは「模試の出来を踏まえて今後の学習を最適化すること」です。
模試の出来がどうでもいいとはもちろん言いません。今まで苦手だった単元の問題が解けるようになっていたら自信に繋がるでしょうし、逆に最近だらけていたツケがきて点数が下がったら発奮のきっかけになるかもしれません。
しかし、模試において「解けた・解けなかった」よりも大事なことは「その結果を受けてどういう方針を立てていくか」です。
模試の意義としてよく挙げられることに「自分の弱点を把握すること」がありますが、単に弱点を知るだけでは不十分だと私は思っています。一口に"弱点"と言ってもそこには強弱があるからです。
「少し頑張れば克服できそうな弱点」と「克服するのに多大なる時間がかかりそうな弱点」では対応の優先順位が明確に違ってきます。
無限の時間があるならばともかく、受験は試験日から逆算して戦っていく競技ですから「少し頑張れば克服できそうな弱点」から攻めていくのが筋です。本番まで時間が限られている時期であればなおさらです。
このように、自分にとって手っ取り早い伸び代を見つけるのが模試の大事な意義となります。ただし、これは模試が終わって単に「解けた・解けなかった」で済ませてしまってはなすことができません。
何をするべきか、具体的にお伝えしていきます。
【1】解答を見る前に再度解いてみる
模試が終わると直ちに解答を見る受験生が少なくないですが、「解けた問題が合っているかどうか気になるから確認する」ならともかく「解けなかった問題の解答をすぐに見る」のはちょっともったいないです。
これでは、その解けなかった問題が、「時間があれば解けた問題」なのか「時間があっても解けなかった問題」なのかを判別できないからです。詳しくは後述しますが、この2種類の問題では復習の優先順位が違ってきますのでしっかり仕分けておく必要があります。
したがって、解けなかった問題について、模試が終わったらすぐに解答を見てしまうのではなく、時間を追加してもう一度取り組んでみましょう。
【2】解答解説を確認する
時間を追加し再度考え、「もうこれ以上は解けない、わからない」という状態に至ったら解答解説を確認していきます。
この際、時間を追加しても解ききれなかった問題について、いきなり最後まで解説に目を通してしまうのはこれもまたもったいないです。
解説を上から読んでいき、自分が解いた段階では至らなかった気づきが得られたらそこで一旦解説を閉じます。そして、再度自分の力で取り組んでいきましょう。
これは、その問題を解く上で何が足りなかったのかを明確にするための行動です。
例えば「1→2→3→4→5」という5段階の思考を経て解答にたどり着く問題について、自力では1までが限界だった場合、「2が思いつかなかっただけでそこさえ突破できれば5までいけた」のか「2以降がすべてわからない」のかでは話が違ってきます。
前者の問題は「あともう一歩で解けるようになる」のだから優先順位は上の方になります(このような問題を以後「解説を読んですんなり解けるようになった問題」とします)。
他方、後者に当てはまる問題は現在のあなたにとって高すぎるハードルですので復習の優先順位は低いです(このような問題を以後「解説を読んでも解けるようにならない問題」とします)。
もちろんやるかやらないかで言えばやった方がいいですが、時間が限られている以上、「やった方がいいこと」の前にまずは「絶対にやるべきこと」をやっていきましょう。
【3】復習の優先順位を明確にする
以上お伝えしてきた「【1】解答を見る前に再度解いてみる」「【2】解答解説を確認する」ということを行うと、模試のすべての問題が次のいずれかに分類されます。
時間内に解けた問題・・・(1)
時間内に解けなかった問題
時間があれば解けた問題・・・(2)
時間があっても解けなかった問題
解説を読んですんなり解けるようになった問題・・・(3)
解説を読んでも解けるようにならない問題・・・(4)
それぞれ対策を講じていきましょう。
(1)時間内に解けた問題(優先順位:低)
記述式の解答であれば解説を読み自分の解答に不備がないかどうか、そして別解を確認する程度でよいでしょう。
選択式の解答である場合、解答自体が合っていたとしても「山勘が当たった」可能性がありますので、「正しい選択肢を正しい理由で選べているか」をしっかり確認しておきましょう。
(2)時間があれば解けた問題(優先順位:高)
ここに分類された問題を時間内に解けるようになることが一番手頃な伸び代です。最優先で対応していくべき問題となります。
この問題を時間内に解くことができなかった原因は次の2つが考えられます。
<1>単純にスピード不足
同じような難易度の問題をより早く解く訓練を積んでおきましょう。
受験勉強はつい「解けない問題を解けるようにすること」に焦点を当ててしまいがちですが、点数を上げるためには「解ける問題の処理スピードを上げること」も同じくらい大事です。
解ける問題をより素早く解けるようになればその分を他の問題に回すことができますからね、結果的に点数を上げることに繋がります。
模試でスピード不足を痛感できた今がいい機会です、このタイミングで「早く解く」訓練をしておきましょう。
まずはこの模試で解けなかった問題を、次にお手持ちの問題集でその類題(選定の仕方はこの後の「(3)解説を読んですんなり解けるようになった問題」の欄にて後述)を、必ず時間を測って回していきます。
<2>全体の時間配分に改善の余地があった
こちらについては、要は他の問題に時間をかけすぎたせいでその問題が解けなかったということで、試験中の立ち回りに原因があります。ここは受験を勝ち抜く上で非常に重要なポイントで、改善方法などを下の記事で詳しくお伝えしていますのでぜひご一読ください。
(3)解説を読んですんなり解けるようになった問題(優先順位:中)
この「理解はできるけど解くことができない」という状態の問題を解けるようになると点数が飛躍的に上昇します。模試の問題を復習することはもちろん、お手持ちの問題集でその周辺もまとめてやり直しておきましょう。
大切なのは、"その問題だけがたまたま解けなかった"とは決して思わないことです。
例えば、高校数学で三角関数の合成の問題が解けなかったとします。そのとき「その問題だけがたまたま自分と異常に相性が悪くて解けなかった」と捉えるのではなく、「合成の他の問題にも穴があるかもしれない」「いや、合成だけでなく三角関数全体をやり直しておこう」と積極的に広めに考えてください。
「ゴキブリは1匹見つけたら100匹いる」ってよく言うじゃないですか。受験勉強も同じで、一つ穴が見つかったらその周辺にもボコボコと穴があるのだと思った方がよいです。
「(2)時間があれば解けた問題」の方でも模試の問題だけでなくその類題まで解くことを勧めましたが、せっかく穴が見つかったのだからその周辺までまとめて潰しておきましょう。
(4)解説を読んでも解けるようにならない問題(優先順位:低)
この問題は現在のあなたにとって捨て問である可能性が高いです。復習の優先順位が低いというか、志望校と問題の難易度によっては復習する必要がほとんどないということもあり得ます。
例えば、MARCH志望の大学受験生が駿台全国模試(記述模試)を受けたとして、私だったら全問を復習させることはまずありません。難易度が非常に高く、MARCH合格の目標のもとではオーバーワークにあたる問題もあるからです。
その分、「(2)時間があれば解けた問題(優先順位:高)」「(3)解説を読んですんなり解けるようになった問題(優先順位:中)」の復習に時間をかけて欲しいと伝えています。
【4】解けるようになるまで解き直す
「問題集は3周すべき」ってよく言われますが、これは一般的に1回解いただけでは習得し切ることが難しいということに起因します。
別の言い方をすると3周という数それ自体には意味はなく、習得したのであれば1周で十分だし、逆に3周してもまだまだであれば4周5周と繰り返していくべきです。
要するに受験勉強において意識すべきは「解けるようになるまで解き直す」ということです。
問題集の場合だと解けるまでしっかり回す意識のある受験生も多いですが、模試の問題の復習は解説を読んだ程度で済ませてしまうケースを結構見かけます。
それで本当に解けるようになっていますか?
同じ問題が入試本番で出たとして解けますか?
前章の「(2)時間があれば解けた問題(優先順位:高)とその類題」「(3)解説を読んですんなり解けるようになった問題(優先順位:中)とその類題」 について、解けるようになるまで何度でも解き直しましょう。
■まとめ
模試が終わったらやるべきことについてまとめてきましたがいかがでしたでしょうか。
冒頭でもお伝えしましたが、模試はただ受けるだけでは意味がありません。その結果から得られるものをすべて吸収し、志望校合格の可能性を上げるための行動に繋げていくことにこそ価値があります。
ただ、ご自身で正しい戦略を練ることに不安のある方もいらっしゃると思います。志望校合格のために、
などでお悩みの方、次の記事から体験授業(オンラインであれば無料)のお申し込みを受け付けておりますのでぜひご連絡ください。
あなたの受験結果がより良いものになることを心から祈っております。
それでは!
Ura