作品を褒めるときに古典や元ネタの引用はあえて外すべき理由
なにか作品や人物を見た時に褒めることがみなさんにもあると思います。
しかし、よくない表現があると思うんですよね。それは過去の名作や古典の名前だったり類似性のある作品の名前を出すことです。
例えば、新しいバンドが出た時に、これはビートルズの再来だとか、そういった表現です。
これの何が良くないのか?
それは、あまり音楽に触れてない人間がそのバンドを聴いて、ビートルズを始めて聴いたとき時と同じような衝撃をそのバンドから受ける人がいるはずだからです。
もし仮に、レビューからその作品に辿り着いた場合、その可能性を1つ潰してるように思うんですよね。
つまり、歴史性がありながらも歴史性を感じさせない事が良いと思うんです。凄いものというのは宇宙的空間から誕生したものであって欲しいと思うわけです。
もちろん、全ての創作や人間そのものが歴史性からは逃れることができないし、大抵の物語を辿っていけば聖書に辿り着くでしょうけど……。
かといって、固有名詞を出さないことにも問題があって、名詞を出すことを避けるとと詩的表現にならざるを得ないんですよね。そういった表現ってあまりに書き手の主観が入り過ぎてしまって呆れられ事も多いと思います。
しかしですよ?
もしも、産まれてから読んだ作品を全てを外部に記録していて、影響の受けた作品の全てをレビューしたとします。その人の人生であった印象的な出来事全てを記録したととします。それをネット上に公開して、その人の全ての公開されたデータを読んでから、その作者の作品を見た場合、果たして新鮮味や衝撃を感じる事ってあるんですかね?
よく作家は無口であるべきと言いますが、レビュワーもまたある程度の無口さが必要になってくるのではないでしょうか。
少なくとも、もしその対象を褒め称えたいのであれば、○○に似ているだとか、年代の近い類似性のあるモノの名前は避けて、引用して褒めたいのであれば、ある程度の古典であることが良いと思います。