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11月23日の手紙 外食の条件

拝啓

今日は勤労感謝の日、祝日でした。
せっかくの祝日なので、どこかに出かけ、外食でもしようと思ったのですが、結局は出先で用事を済ませたら、帰ってきてしまいました。
出かける前は、美味しい外食を楽しむつもりでまんまんだったのです。
しかしそんな気持ちはいつの間にかしぼんでいました。

もともと出不精だった気もしますが、コロナ禍の外出自粛以降、以前より外食に対する心のハードルが上がってしまった気がします。
料理が、嫌いではない、と言うのは、ひとつ大きい原因だろうと思います。
外食にしようかな…と思った瞬間、まずは、冷蔵庫に残る食材が頭に浮かびます。そろそろ食べておかないといけない卵、残りご飯、しなしなの野菜、作り置きのおかず、使いさしの調味料など。
さらに、ネットで見かけた簡単レシピ、リメイクレシピが目に止まることもあります。
そうすると、「冷蔵庫の作り置きおかずをリメイクしようかな」とか「冷蔵庫の余り物で、何か作れば、良いかぁ」と言う方に流れてしまうのです。料理といってもさして凝ったものではありません。レンチンするとか、炒めるとか炒め直すとかで、大体美味しくいただけます。
料理をしたくない場合でも、外食をすることは稀です。パンやお惣菜だけ買って、冷蔵庫にあるものと一緒に自宅でゆっくり食べようか…となってしまいます。これなら、並べるだけですから。

美味しいものを食べることは、人並み以上に興味があります。それなのに、外食をためらうのはどうしてだろう…と改めて考えてみました。
どうして、外食に足が向かないのでしょう。

ひとつは、以前の記事にも書いた、観光客多すぎ問題があるでしょう。

素敵な外食をしようとすると街まで出なければならず、街へ出ると言うことは、観光客が大挙するエリアに出かけると言うことだからです。やはり、それはできるだけ避けたいと思ってしまいます。
ふたつめには、ちょうど良い座席の店が少ないということです。
混んでいて、狭い店が苦手です。
なぜかと言えば、耳が良いので周囲の話し声を聞きすぎてしまうからです。
出来れば、ボックス席か個室の座席が良いのです。狭くて、仕切りがない、テーブル席は本当に辛く感じます。
先日、酒席が、広い個室であったので、早々にお暇するはずが長居してしまうほどでした。他席の話し声が入ってこないと、これほど会食を楽しめるものなのか…と思ったほどです。別の席から漏れ聞こえてくる話が、楽しい話だけだったら良いのですが、違法な話や悲惨な話であるとか、そこで、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントが行われていると、それだけで、食事に集中できなくなってしまうタイプであると言うことを再認識しました。
できれば、別のテーブルからの話し声が聞こえない個室、それが無理ならボックス席が望ましいです。
1人の場合ならカウンターで、サッと食べてサッと出ると言うのも、まだストレスが少ない座席だと感じます。
周りが皆、1人客の店は狭くても比較的、気楽です。
邪悪な話や邪悪な行動を見るリスクが下がるためでしょう。人は1人で行動している時には、さほどあからさまに、邪悪な言動をしない物なのです。

3つめには、店員さんに気をつかうと言うことです。
つらつら考えて行くと外食が億劫になる理由の大きい部分はからかもしれません。
ネットなどで、『「よく来てくださいますよね」と言われたら、2度と行かない』と言う話がありますが、「わかる!どちらかといえばそのタイプだなぁ」と思います。「いつもこれを注文しますよね!」と言われても、あまり嬉しくはなりません。店員さんは親切で声をかけてくれているのはわかるのですが、出来れば店員と客の関係のままでいたいと思ってしまいます。
店員と客の距離感と思っていても気を遣ってしまうので、妙に距離を縮められると驚いてしいます。さらに気を遣わないといけなくなりそうだからです。
また、客がいる前で、店長や社員と思しき人が、格下と思われる人を怒鳴りつけているようなシチュエーションがひどく苦手です。
一度連れていってもらったイタリアンレストランは大変美味しかったのですが、2度目に行った際、店長、もしくはメインシェフがものすごい勢いで部下を理不尽に怒鳴りつけつつ、その合間に、メインのメニューを笑顔で説明するのでハラハラしました。
料理の味は素晴らしかったのですが、再訪することはなさそうです。ああいったことをどうして、客の前でやるのでしょう。いや、バックヤードでもやっているから、客の前でもやるのでしょうか。
先ほど、料理の味は素晴らしかったと書きましたが、それは一時的な物、後味はとても悪かったです。帰り道、素晴らしい料理の味が記憶の端から崩壊して行くような感じがしました。残ったのはシェフが怒鳴り散らしていたことだけです。
誰かを怒鳴りつけて調理場を回されると、客はとても気を遣います。本当に、あれはやめてほしい、と思います。多分、誰のためにもなりません。
先日、ガストは行ったのですが、若いバイトたちと猫型ロボットのみで、のんびり営業していました。注文したものがなかなか来ないとか、来るべきものが来ないというアクシデントが、あったのですが、それについても妙な悲壮感は全くなく、「そうですかー」と呑気に対応してくれました。
一瞬呆気に取られたのですが、これからの安い飲食店はあれで良いのかもしれません。
少なくとも、ガストへ行くハードルは下がりました。店員も妙な気を遣わないのだから、客も気を遣う必要はないと強烈に感じたのです。

飲食店にとって大事なのは、
味だとか値段だとか安全性と思われがちですが、
それらとは違う条件を理由に外食を避けてしまっていると言うことがわかりました。
観光地にない(混んでない)。
席が狭くない。
店員に気を遣わずに済む。
この3条件を軽く満たすのは、やっぱり自宅なんですよね…。






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千歳緑/code
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