2025年1月11日 歌川国芳展へ行ってきた
少し前に、
歌川国芳展へ出かけてきました。
歌川国芳展 ー奇才絵師の魔力
江戸末期の浮世絵師、
歌川国芳(1797 – 1861)の展覧会です。
開館と同時に、飛び込んだのですが、
それでも長蛇の列、(2人ずつ並んで数回折り返しがあるくらい)でした。
チケットは念のため、
オンラインで購入してあったのですが
それでも、狭い入り口のためか、
入場制限をかけていたので列が伸びていたようです。
見た目よりはずっと早く列は進んだので、
安心しました。
展示作品数がすごい!
人に誘われて、見に行ったので、
前情報はほとんど無しで臨みました。
「猫とか描いてる人だよね…」くらいの理解です。
展示作品数もよく知らなかったので、
ひとつひとつ丁寧に見ていった結果、
3時間近くかかりました。
これを書きながら、
ホームページを確認したところ、約400点の展示とあります。
予定と予定の間に入れるには、あまりにボリュームがありますので、
せっかく行くなら、時間に余裕のある時がおすすめです。
写真撮影可能な作品がある!
私が行った際の展示では、
写真撮影可能な作品が5点ありました。
これも予備知識無しだったので、
斜め前にいる男性が、
ポケットからスマホを探り出し、
写真撮影したのでかなりギョッとしました。
「誰か止めてくれ!」と思って、
キョロキョロしていると、
展示品の隣には「撮影可」とカメラのイラストがあり、
撮影可能な作品があることに気づいた次第です。
撮影可能と言われて、喜んで撮影したのですが、
ちょっとばかり後ろめたいような、
妙な気持ちになりました。
また、今回の展示では、
写真撮影可能な作品がある一方で
作品との距離については厳しかったです。
美術館の床には、白いテープが貼られており、
そのテープより内側、作品側には入らないこと、
指をささないことを、
美術館の職員さんが繰り返しアナウンスされていました。
これ、結構、難しくてですね。
同伴者に「あの作品のあの部分が…」などと言いたくなるのです。
それをすると、
瞬時に、先ほどのルールをアナウンスされます。
気づいたら、白いテープを踏んでいることもあり、
かなり注意しながら、
鑑賞していて、
その途中で撮影可能作品が出てきたので、やや面食らった次第です。
流石に少しは前情報を調べていった方が良いですね…。
国芳の抜群のデザインセンス
展示は、ジャンルに分けられていたのですが、
いずれのジャンルでも
国芳のデザインセンスは圧倒的でした。
構図の大胆さはもちろん、
漫画やアニメにも通じるような表現も
沢山見られました。
英雄であれば格好良く、
歌舞伎役者であればその特徴を、
美女であれば、おきゃんで明るく、
猫や動物は細密画のように、
描いています。
おそらく「売れる絵を描け」という注文に沿いつつも、
どのジャンルでも国芳らしさを炸裂させています。
国芳は、どでかいものを描くと、特に素晴らしい!
鯨、どでかい人間などは特に目を惹きました。
また、幕府から、
「歌舞伎役者の絵を描くな」というおふれが出れば、
違う生き物やものに変えて描いた作品も沢山ありました。
国芳は
様々な制約の中で、
人々の望むものを題材にしつつ、
自分の腕を存分に、ふるったひとだったのでしょう。
また、国芳の描く女性が着ている着物の柄がなんとも可愛らしいのです。
花柄はもちろんですが、特にチェック柄!
江戸時代で言えば、格子柄の着物がとてもモダンで素敵です。
今のSNSのような、影響力があったのだろうとひしひしと感じました。
「綺麗だねぇ」という江戸っ子たちの声が聞こえてくるようです。
そもそもこれって版画なんですよね
ここまで、国芳が「描く」と書いてきたのですが、
歌川国芳の作品はほぼ浮世絵、版画なのです。
版画??
この美しい線が??
この美しい格子模様が?この勢いのある波が?と、
眺めているうちに大混乱してきます。
子どもの頃、図工の授業でやった版画と仕組みとしては同じわけですが、
どうしてこんなに繊細で、鮮烈で、美しいのか…。
今回、展示の最後のほうに、版木も展示されていたのですが、
あれで、展示してある作品になるとはとても信じられません。
おそらく、描いた歌川国芳以外にも、彫りの名人、摺りの名人、などがいたのでしょう。
何にもの名もなき天才が合わさって、
あの一枚になるのでしょうね。
海外の人が浮世絵に衝撃を受けるのは、
わかるか気がします。
油絵とは全く違う、軽やかな美しさです。
一方、国芳も銅版画の本の挿絵を研究して、
作品を描いていた可能性があるらしく、
明治時代に生まれていたら、
きっと西洋美術を学びにパリに留学を望んだだろう、などとも思いました。
時代とその人の巡り合わせの不思議さです。
個人的には、
色は誰が決めていたのかも非常に気になりました。
配色デザイナーみたいな人はいたのでしょうか。
国芳が指定するのでしょうか。
浮世絵についての本を読んでみた方が良さそうです。
国芳展の特別ミュージアムショップがある
最後の展示の隣のスペースに特別ミュージアムショップがあります。
「特に今回は買わないだろう」などと行く前は思っていたのですが、
全くもって浅はかな予想でした。
目に映る全てのものが気になりますし、
浮世絵を現代刷りにしたものすら、
「ちょっといいかも」と感じてしまいました。
ただ、国芳のデザインセンスが卓越しすぎていて、
グッズデザインが追いついてないものもあった気がします。
国芳本人にデザインさせたら、もっと洒落ていて格好いいグッズができるのでは…などと想像してしまいました。
結局、散々迷った挙句、
・展示図録
・鯨のクリアファイル
・猫柄ガチャポーチ(何の猫柄が出るかわからない)
展示図録がかなり巨大だったのですが、
どうしても欲しくなって購入してしまいました。
持って帰るのも重かったのですが、
買って大正解!
帰宅してからぱらぱらと眺めるだけでも、
元気が出ます。
表紙はリバーシブルということなので、
大好きな鯨が前になっているものにしました。
美術館へまた行こう
年明けから美術館に行って見て
美術作品を鑑賞するというのは
やっぱりいいものだ、と感じました。
ネットで「見た気になる」のとは違う体験です。
国芳のそして江戸の何かに触れられた気がします。
その何かは、
勢いがあって、おしゃれで、タフで、粋なものでした。
2025年は美術館へもっと行こうと思います。