
【イベントレポ】明日から使える!BtoBマーケティングでデザインを最大限に活用する方法
BtoBマーケティングの「一歩目からグロースまで」をハンズオンで支援するunname(アンネーム)の採用広報の橋尾です。
2023年9月28日に開催した株式会社gaz様との共催セミナーに、弊社コンサルタントの平塚が登壇しました!
このレポートでは、ポイントとなるトークをピックアップしました。読むだけで要点をご理解いただける内容になっております。
イベントご参加の方、また本レポート閲覧の方向けに、アーカイブ動画視聴特典をご用意しましたので、併せてご覧ください!
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こんな方にオススメ
・デザインの重要性は把握しているが、施策に落とし込めていない
・社内外のデザイナーにアウトプットは任せきっていて、コントロールできていない
・デザイナーへのフィードバックで、こだわるべきポイントが分かっていない
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🙋登壇者紹介

株式会社gaz デザイナー / gather事業部長 弘松 陸氏
1998年、福岡県福岡市生まれ。学生時代にインターンとして福岡のデザインファーム株式会社gazにジョインし、2021年春に新卒入社。WebデザイナーとしてSTUDIOでのWeb制作事業に携わり、2022年2月に新規事業 STUDIOgatherの事業部長に就任、立ち上げを行う。現在はSTUDIOgatherの事業拡大とgazの経営企画を担当。

株式会社unname シニアコンサルタント 平塚 直樹
1992年9月生まれ、神奈川県出身。慶應義塾大学経済学部卒業。2016年ナイル株式会社に入社し、SEOコンサルタントとしてtoC、toB関わらず広くSEOプロジェクトに参画。2020年よりモビリティ事業「おトクにマイカー 定額カルモくん」のマーケ戦略からオウンドメディア運営、リードナーチャリングなど広くグロース施策にかかわる。2023年3月に株式会社unnameにジョイン。
unnameパート:BtoBマーケティングにおけるデザインの役割
まず本日は、以下の問いから始めたいと思います。
デザインをマーケティング施策のためのアウトプットの一つと捉えていませんか?
私もよく失敗するポイントなのですが、デザインを表現のひとつとしてマーケティングから切り離して考えてしまうケースがあります。すると、効果を発揮しにくくなり、何をもって成果とするのか分からないなど、デザインをマーケティングに活かせない状態に陥ります。
この事態を防ぐために、BtoBマーケティングにデザインを活かすにはどのようにしていけばいいのか、「明日から使える」形式で持ち帰っていただけるよう、お話ししていきます。
本パートのポイント
1 マーケティングにおけるデザイン
2 BtoBマーケティングの本質とデザインの役割
3 BtoBマーケティング戦略から見るデザインの視点
1.マーケティングにおけるデザイン
まずは、今日お話しすることについての前提を確認していきましょう。

今日お話しするデザインとは『見た目の部分からコピー・図などの情報設計まで含めた領域』を指します。マーケティング活動については『事業(マーケ)課題を解決するための一連の取り組みのこと』と定義して、話を進めてまいります。
以下の図はマーケティング活動の全域をあらわしたものです。このうち、デザインの守備領域は赤字部分が該当すると考えています。

図の左側に位置する経営戦略の領域から、右側の施策の実行まで横断的にデザインの役割が該当しています。デザインはマーケティング課題の解決手段のひとつのため、ただの施策アウトプットではなく戦略とのリンクが必要です。
2.BtoBマーケティングの本質とデザインの役割
では、今回の主題「BtoBマーケティングのおけるデザインの役割」の「BtoBマーケティング」とは一体何なのか、から解説していきます。
BtoBマーケティングとは言葉の通り、法人向けのマーケティングを指します。BtoCマーケティングと比較すると特徴が分かりやすいですね。以下の図です。

BtoCは情緒的に、BtoBは合理的に購買が決定される、という点が特徴です。
私の例なのですが、先日5万円ほどのデニムを思わず買ってしまいました。好きなブランドのデザイナー兼社長が店舗に来ており、今買うとサインがもらえる、と聞いてサインが欲しくなってしまい……。笑
私にとってこの購買単価は決して少額ではないものの、このように体験重視で衝動的に感情や勢いで買ってしまうのがBtoCなんですよね。

対してBtoBは、購買の目的が存在し、課題解決できるかの検討があり、意思決定者が複数名いることが多いです。購買の決定が『合理的』であることが大きな違いになりますね。
しかし、BtoBにおいても本当に合理的な意思決定だけなのでしょうか?こんなことも考えられます。
・購買における失敗は企業にとっての「大きな損失」になりうる
・購買担当者においても選択の失敗は「評価下落」のリスクを背負う
・失敗を防ぐために関係者間で合意を取る必要が生まれる→合理的(説明可能)な意思決定を好む
意思決定は結局のところ人が行っているものです。法人向けのマーケティングとはいえ、意思決定するのはあくまで人間。「失敗したくない」という心理がより強く働くのがBtoC商材との違いです。
では、その点を踏まえてデザインの役割は何か?を考えると、以下の図のようになります。

懸念材料の排除など、「失敗したくない」という心理的な障壁をほぐしてあげることがデザインの1つの役割でもあります。最近よく見る、BtoB企業のタレントのプロモーション起用なんかも著名人を用いた安心材料の提供が目論見のひとつですよね。
3.マーケティング戦略から見るデザインの視点
BtoBマーケティングにおけるデザインのよくある失敗がこちらです。マーケター目線で言う「なんかデザイナーとすり合わないんだよね……」という状態です。
・ブランドの世界観と一致しない
・イメージが信頼性に欠ける
・ロジカルに理解ができない
・商品の魅力・機能が伝わらない
・需要を喚起できていない
・必要性を伝えられていない
これが起きる原因は、デザイン役割の整理ができていないからでは、と考えています。
どうもすり合わないな、と感じる時、マーケターは以下図の左側、デザイナーは右側について思考・言及することが多い傾向にあるのではないでしょうか。

この両側の要素はトレードオフになっている場合が多く、バランスをどう取るかが重要です。それには、デザインの役割を2つに分けて考えるのがおすすめです。
BtoBマーケティングにおけるデザインの2つの視点
▶マイナスからゼロになるデザイン=選択肢に入るためのデザイン
内容が正しく伝わる、怪しくない、情報の過不足が無いなど、合理的な意思決定を助けるデザインのこと。
▶ゼロからプラスを積み重ねるデザイン=ミッションや世界観をポジティブに伝えるデザイン
ポジティブな印象をもたらす、商品の世界観やミッションを伝える、直感的に商品の魅力が理解できるデザインのこと。
BtoB商材は購買における失敗を避けるために慎重な選択が求められます。明らかな懸念材料がある商材は、情報収集段階で避けられてしまうので、まずは比較検討の土俵に入る(選択肢に入る)ことが最も重要です。

マイナスからゼロになるデザインが優先である一方で、ゼロからプラス1を積み重ねるデザインも長期的には重要です。そしてこの視点はマーケターが見落としがちです。

プラスのデザインのように、クリエイティブなビジュアルで知覚の刺激があることや、直観的に便益が理解できるデザインを一貫・統一して継続することでブランド資産が形成されます。
ここまでお話しした2つの視点を常に持ち、バランスを取ることが重要です。以上2つの視点でどのようにデザインを見てフィードバックをすればいいかポイントを並べました。

最後に、おまけです。
デザイナーとのコミュニケーションをスムーズにするには、ペルソナ設計、カスタマージャーニーマップ、業務フローなどをデザイナーと共有するのがおすすめです。目的や顧客の解像度が上がり、意図や後工程の理解促進につながります。

unnameパートまとめ
unnameのパートでは、大まかにマーケティングとデザインの関係性と、効果を最大化させるために意識すべきポイントについて解説しました。
1 マーケティングにおけるデザイン
マーケティング課題を解決するために必要な要素のひとつがデザインという位置付け。マーケ活動と密接に関わっていて、デザイン単体で成り立つものではない
2 BtoBマーケティングの本質とデザインの役割
購買による失敗のリスクを回避する心理が働く。合理的な意思決定の手助けを行うのがBtoBのデザイン。
3 BtoBマーケティング戦略から見るデザインの視点
選択肢に入るための「-1→0のデザイン」、選ばれるための「0→+1のデザイン」の二つがあり、それぞれを意識して、デザイナーと共通認識をもつ。
gazパート:BtoBマーケティングでデザインを最大限に活用する方法とは
本パートの主旨
・本パートでは、デザイナー視点でのBtoBのクリエイティブについてお話しします。
・マーケターがBtoBのデザインにおける原則を理解し、どうデザイナーとコミュニケーションを取っていくと、目的を達成するためのクリエイティブを二者で共創できるのか
・デザイナー視点から、マーケターが意識してくれると嬉しいことをお伝えできればと思います。
・これを聞いた上で「どこまでは配慮し、どこからは握るか」の判断材料にしていただけますと幸いです。
1.BtoBにおける効果的なデザインとは
BtoBとBtoCにおけるデザインは、コンテンツや設計の思想が違います。
平塚さんはサイン目当てにデニムを購入していましたが、BtoBはそれでは購入には動きませんよね。BtoB商材の購買はコンテンツが命で、商品の魅力を正しく伝える、届くように伝えることがもっとも大事です。
以下の図ほど、重要度があると考えています。

とは言え、実際に議論になるのは右側のビジュアルの部分なので、今日の話のメインはビジュアルに置きます。
BtoBにおいてのビジュアルデザインは、コンテンツやUIの機能を担保することを前提に、ブランドとしての一貫性を保つためのものです。つまり、UIやコンテンツを邪魔してはいけない、ということがマストです。
もう1点、前提として重要なのはデザインとアートは違うという点ですね。以下のように分けることができます。
デザイン:設計。他人の為に問題解決を行う手段
アート:自己表現のために作るもの
ビジュアルデザインを議論する際、どうしても感性的、主観的になりがちなので理解しておきたいポイントです。以下が両者の違いと、BtoBが該当する領域を示した図です。

BtoBは完全にデザインに位置していますね。
ところがBtoCの場合はアートの要素が入ることもあります。たとえばApple製品のように、ユーザーの購買決定にはスティーブ・ジョブズの作り上げる世界、語るまだ見ぬ未来への共感が動機になっている場合ですね。
2.BtoBのデザインでよくある間違い
BtoBデザインでは、ビジュアルにこだわり過ぎるあまり、UI(操作性、読みやすさ、導線)の機能をないがしろにしてしまうことがよく起こります。
たとえば……
・派手で目立つビジュアルを使う
・アニメーションで動かしまくる
・タイトルやナビゲーションにやたら英語をつかう
上記の例では、コンテンツを正しく届けるためのUI設計をないがしろにしてしまっている可能性があります。スタイリッシュなサイトに見せることを優先し、直観的な操作性やクリック率を無視していないか?一度実行する前に立ち止まって考えてみましょう。
3.BtoBにおけるデザインにおいて意識すべきポイント
わたしは、BtoBのデザインは思っているより合理的に説明できると思っています。
BtoBのクリエイティブにおける色やフォント選びには「なんとなく」ではない、意図した理由が存在することがほとんどです。その点を解説していきます。
まず、クリエイティブにはそれぞれ目的が存在します。
・広告バナー:担当者のクリック
・Webサイト:お問い合わせ
・プレゼン資料:社内稟議の通過
そして、目的に連動して合理性や説明の必要量は変化します。
初期接触である広告バナーでは、クリックに導くため目に留まるクリエイティブが必要ですが、比較検討のフェーズが進むと、合理性の重要性や説明の必要量が高くなります。となると、コンテンツの理解度を上げるためにフォントの可読性を上げなくてはいけませんし、伴ってあしらいの量やテイストなども変化します。

その他にも、商材やターゲットの特性、媒体、社内体制、過去データ、競合など、あらゆる軸で最適なデザインは変わります。
目的や用途に沿って作られたクリエイティブは合理的に説明できるようになっているのです。
「なんかちがう……」が出たら再度の前提すり合わせを
ところで、デザイナーとこんなやり取りをしたことはありませんか?
マーケター「なんか違う…」
デザイナー「どんなところでしょうか」
マークター「うーん、ここを赤にしてみるとか?もっとスタイリッシュにしてほしい」
私はよくあります。
上記のやり取りを見ると、マーケターからの指示は「なんとなく」でしており、目的に基づいた合理的な判断・指示ではないですよね。これではうまく行きません。
上流(戦略部分)を握っているのはマーケターが多いので、デザイナーは指示を受けるケースになりがちです。ここで上記のケースのように「なんとなく」の言いなりになってしまうと、ユーザーの方を向いて共創することが難しくなります。
特に社内ではなく、外注の立場で関わっていると、ユーザーではなく担当者にウケの良いデザインをつくらないと進まない、という事態にもなってしまいがちです。
何のために作っているのか、どんな課題を解決するためのクリエイティブなのかがずれたまま進めてしまうと、成果の出ないクリエイティブができあがってしまう恐れがあります。
前述のように、BtoBのデザインは思っているより合理的に説明できます。これはデザイナー側だけではなくマーケター側も同様です。

そして「なんか違う」が発生した場合、意思決定の軸となる共通認識がチーム内ずれている可能性が高いので、まずは再度認識を合わせることが重要です。
すり合わせるべき共通認識
・商材の特性
・ターゲットの特性
・クリエイティブ対象の媒体
・社内体制
・過去データ
・競合とのポジション
など
再度前提をすり合わせることで、同じ視点でデザインを見られる状態になります。「赤にしてみて」などの具体的な指示をするよりも、かえって近道になり得ます。
unnameパートでも挙げていた、ペルソナやカスタマージャーニーマップなどの共有をしてみるのがおすすめです。
gazパートまとめ
では、まとめて終わろうと思います。
BtoBにおけるデザインでの重要度は『UI>ビジュアル』
ビジュアルデザインはアートではないので、問題解決のために合理的に決定されます。好みや感覚でデザインを決定しません。
ビジュアルにこだわるあまり、UIの機能を犠牲にしない
第一に考えるのは、UIが最適に設計されコンテンツを正しく届けられているか、という点です。ブランドの一貫性のためにビジュアルデザインもこだわるが、UIファーストは守りましょう。
「なんかちがう」はデザインの指示では解決しない
軸となる要素の共通認識をすり合わせることで、課題解決のためのデザインをマーケターとデザイナーとで背中を合わせて作ることができます。
💭Q&A
Q:目的やターゲットの再設定、デザインの改善で効果があった事例はありますか?
A:弘松さん
今責任者を務めているSTUDIO gatherでは、クリエイターを集めて一緒にWeb制作をしています。そのためのメンバー募集LPを作った際の話です。
ペルソナとしては、案件を任せられるように、クライアントワーク経験があり自走できる、ある程度実績のあるデザイナーでした。と、同時に応募数が集まるかの懸念もあったため、気軽な印象を持ってもらうため間口を広げたテイストのLPを作り公開しました。
実際の応募数は50~60となり、これは良い点だったものの、実務やクライアントワークの経験がなく、スクール卒業したばかりで実績数が少ない方がほとんどで、想定人物像からは外れていました。
もっとプロ向けの洗練されたビジュアル、利益の訴求をしたところ応募数は大きく減ったものの、ほぼ通過する応募ばかりになりました。
目的を達成するためのデザイン設計となった例でした。
Q:新規でデザイナーを探す際に、ポートフォリオ以外で確認すべき指標を知りたいです。
ポートフォリオを見て過去に似た実績があるか?イメージに合ってるか?しか見れておらず、いつも同じ人に同じようなデザインを頼むことになってしまいます。
A:平塚さん
おっしゃるようにポートフォリオはメインになる。BtoBの場合業界や課題などの目線が合うかの肌感が重要。究極、ある程度のレベルであれば会ってみたり、一緒に仕事してみて判断しています。
A:弘松さん
ポートフォリオ、とのことなのでフリーランスの方に依頼しているなどのご状況かと思います。制作会社であれば、社内で最適なアサインがされる可能性が高いので、その方向も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
このセミナーでは、BtoBビジネス成功のためのデザインについてお話ししました。
BtoBビジネスの特徴、デザインの役割がチームで共通認識になっていれば、デザインは何にどこまでこだわるべきか、議論やコミュニケーションが磨かれます。
フィードバック具体例など明日から使える点も多数出てきました。皆様の課題のヒントになればと思います。ご参加の皆さま、お時間ありがとうございました!
イベントご参加の方、また本レポート閲覧の方にはアーカイブ動画視聴特典をご用意しました。ぜひ、以下より併せてご覧ください。
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