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どんどん自由になっていきたい人

むかしむかし、ある村に、自由児(じゆうじ)という若者がいました。自由児は、日に日に「もっと自由に、もっと自由に」なりたいと願っていました。
でも自由児の考える自由は、ただ好き勝手をすることではありませんでした。
「本当の自由とは、自分の心に正直に生きること。
でも、それは他の人の自由も大切にすること。
一歩ずつ、自分の殻を破りながら、
でも、誰かを傷つけないように気をつけながら」
そんな思いで、自由児は少しずつ変わっていきました。
まずは、朝早く起きることを始めました。
「誰かに起こされるのを待つのではなく、自分で選んで目覚めよう」
次に、新しい道を歩くことを始めました。
「いつもの道だけでなく、知らない景色も見てみよう」
そして、新しい仕事に挑戦することも始めました。
「できないと決めつけていたことも、やってみよう」
自由児が変化していく姿を見て、村人たちも変わり始めました。
年老いた農夫は、新しい作物を育て始め、
内気な娘は、歌を口ずさむようになり、
職人は、新しい技を試すようになりました。
ある日、子どもが自由児に尋ねました。
「どうしたらもっと自由になれるの?」
自由児は答えました。
「自由は、一歩ずつ広がっていくもの。
でも大切なのは、その一歩が誰かの自由を奪わないこと。
そうやって少しずつ、でも確実に、
私たちは自由になっていけるんだよ」
後に自由児は、こう語りました。
「自由になることは、終わりのない旅のようなもの。でも、その過程こそが楽しいんです。今日の私は昨日より自由で、明日はもっと自由になれる。それを信じて歩いていけばいい」
そして「自由の道は、一歩ずつ開かれる」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2024年12月5日4時58分に書く無名人インタビュー967回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは 心理士おくけん さんです!

年齢:30代前半
性別:男性
職業:臨床心理士・公認心理師


現在:自分が良かったと思うものをシェアする場なんですよね、仕事っていうのが。

くじらぐも:
おくけんさんは今何をしている人でしょうか?

おくけん:
今、そうですね~、人の心に寄り添う仕事をしてますね。
カウンセリングをやってます、メインでは。

くじらぐも:
カウンセリングですね。その仕事をするためには、資格が必要になるのでしょうか?

おくけん:
カウンセリング自体は資格は要らないんですよ、別に。例えば、世の中に整体師っているじゃないですか。整体師って資格なしでできるんですよ。何々式みたいな感じで、無資格でやってる人もいるし、理学療法士の資格持ってる人もいるし、柔道整復師の資格持ってる人もいるしっていう。国家資格持ってる人もいれば、無資格でやってる整体師もいるんですよ。
それと同じように、カウンセリングも国家資格を持ってる心理士もいれば、民間資格のカウンセリングの資格持ってる人もいれば、その無資格でやってる人もいるみたいな、そんな感じのものではありますね。カウンセリング自体は。

くじらぐも:
では、先ほどおっしゃっていただいた臨床心理士、公認心理士という資格は、実践の場ではどういうふうに活かされるものなんでしょうか?

おくけん:
一般的には、医療とか福祉とか学校現場の教育とか、そういった公的機関で心理の援助をするためには、そういった資格がある方がかなりお仕事がしやすい感じにはなってますね。

※臨床心理士も公認心理師も原則大学院まで行く必要があるが、臨床心理士は民間資格、公認心理師は国家資格

で、あと心理士は業務が四つあるっていうふうに言われてまして。

1つ目はいわゆるカウンセリングみたいな心理の援助をしていくことです。場合によってはグループワークの進行役をやっていくみたいなこともあります。

2つ目が、アセスメントっていうんですけど、その悩みを持っている人がどういった要因で悩みを持ってるかっていうのを査定していくことがあります。
それはいわゆる発達障害の検査とか、うつ病の検査とか、何とかの検査みたいなそういった検査がいっぱいあるんですけど、そういった検査とか、カウンセリングでの様子を見たり観察したりとかして、その人の状態が何なのかを見ていくアセスメントっていうのが二つ目にあります。

3つ目が、地域援助です。世間一般の人に対して、いわゆるメンタルヘルスの情報を届けていくという、そういった地域援助が職務としてあります。
私は、最近いろんなSNSなどのツールが出てきたので、それを通した地域援助の形があるのではと思っています。
今noteで、『心理士おくけん』の名前でいろいろと投稿してるんですけど、そういった『心理士おくけん』の名前で、臨床心理士、公認心理士の資格を出して、メンタルヘルスの情報を発信するというのは、その一環だったり実はしてます。

あと4つ目が、研究です。臨床心理士も公認心理師も大学院まで行く必要があります。
なので、統計を使ってデータを解析して修士論文を書いたりするんですよ。だから、研究者っていう側面もあったりするんですよ。臨床家だけじゃなくって。

だから、臨床心理士・公認心理師にはサイエンスの側面があるんですよね、すごく。
データをちゃんと取って、統計で結果を出して解釈して、エビデンスがあるものだけをしっかりやってるっていうものが、やっぱり臨床心理士、公認心理師というものなので。その研究データを取って、それでそれを解析していくっていうことも一つの業務だったりするんです。
ただ、現実的にはやっぱり人1人のキャパシティって、N1なので限界があります。
臨床にいる人は臨床の比重が強くて、大学とかの研究機関にいる人はその研究の色合いが強い感じになっているので。現場の臨床家と大学に残っている研究員が手を取って研究をやっていければいいのではないかと思っています。

くじらぐも:
ありがとうございます。では、今、おくけんさんがやっていらっしゃるのは、一番のカウンセリングになるんですか?

おくけん:
そうですね。あと2番のアセスメント・心理検査もやってますね。大人の発達障害とか、最近はよくやってますね。
noteは3番の地域援助としてやっています。

くじらぐも:
これもまた教えていただければと思うんですが、どこかの精神科みたいなところに勤めていらっしゃるという感じですか?

おくけん:
そうですね。今は心療内科と提携しているカウンセリングルームで、業務委託でやっています。実態としてはフリーランスですね。

くじらぐも:
ありがとうございます。心理士のお仕事を始められたのはいつからなんですか?

おくけん:
今年で社会人6年目ですね。

くじらぐも:
では、大学院を卒業して、そのままずっとでしょうか?

おくけん:
はい、そうですね。ただ転職はもう多分、3回ぐらいやってるので。今の場所は今年度からやってるんですけど。
転職はしても臨床心理士・公認心理師という軸はそのままで現場だけが変わっている感覚です。

くじらぐも:
このお仕事は、おくけんさんにとってどんなものですか?

おくけん:
うーんと…ちょっと抽象度の高い表現からすると、自分の生き方を表現する場みたいな、そんな感じですね。
もうちょっと具体的に言うと、プライベートでも仕事でも、人にいろいろとシェアしていくっていうことがすごい好きで。
それは何かっていうと、例えば、何か美味しい店見つけたらここ美味いよとか、何かいい風景見たらこの場所結構いい風景だよとか、何か面白いアニメ見つけたらこのアニメおもろいよみたいな。

そんな感じで自分がいいと思ったものを、自分だけで持っておくっていうのが僕はつまんないなって思って、人にシェアしたくなるんですよね。人にシェアして、その人も自分と同じような体験、感動とか、心の動きみたいなのをしてくれると、「自分も楽しい!」みたいな、そんな感じっていうのが、僕の人生の楽しみ方なんです。

その延長線上なんですよね、僕がやってるお仕事っていうのも。これはどういうことかっていうと、僕自身が心理士になるきっかけっていろいろとあるんですけど。2年間ちょっと寝たきりの時期があったんですけど。そういった中で、自分が自分なりに心理士ではない時代に模索をいろいろとしてきて、心理学に出会って臨床心理学を学んで、臨床心理士になって実践をしていくっていう中で、自分自身をまず癒していくことを、まずそのプロセスでいろいろとやってきて。
その中で良かったもの、あんまり役に立たなかったものとか、どっちもいっぱいあるんですけど、そんな中で自分にとって良かったなって思ったものだけをシェアしてるんですよ、仕事で。なので、自分が良かったと思うものをシェアする場なんですよね、仕事っていうのが。そんな感じですね、僕にとって仕事は。
なので、noteでメンタルヘルスの情報を発信するのも、それなんですよね。その表現するツールが、カウンセリングっていう場で話す言葉で伝えるっていうのがカウンセリングですし、グループワークとかセミナーとかやることもあるんですけど、そういうところで人の前で話すのもそうですし。noteでテキストっていう媒体を使ってそれを表現していくのもそうだし、抽象度を上げていくと、僕がやってることの本質は特に何も変わってないんです。
ただ自分がいいと思ったものをシェアしていくだけっていう、そんな感じですね。

くじらぐも:
はい、ありがとうございます。今のお仕事の充実度は何%ぐらいですか?

おくけん:
充実度?うーん、どれぐらいだろうな。半分もないんじゃないですかね。

くじらぐも:
その理由は何かありますか?

おくけん:
そうですね、もっとやりたいことがいっぱいあるからですね。

くじらぐも:
それはどんなことでしょうか?

おくけん:
そうだなぁ…、本質的にやりたいことっていうのが、自分がいいと思ったものをシェアしていくことなんで、自分の感情を表現していくことをやりたいなっていうふうに思ってるんですよね。それを今もやってるんですけど。

例えば、それってピアノをやってきた人だったらピアノで自分の感情表現していくし、歌を歌える人だったらそれを自分の体験を歌詞の載せて表現していくし、絵が得意な人だったら、その自分の心の葛藤とかエネルギーとかをに「バーン!!」って描いて表現していくしっていう形で。

仕事が何であれ、みんな表現者だと思ってるんですよね、僕は。アーティストだと思ってるんですよ、みんなどんな人も。

そこのところで、僕の中で鬱屈としたなんかエネルギーっていうのが、常に胸の辺りに渦巻いているんですよね、そのエネルギーが。それがまだ発散しきれてないっていう感覚があって。今やっていることでエネルギーがまだ出切ってない。

noteでも毎日投稿してるのにまだ出切ってないっていう感じで。自分のエネルギーをまだ出し切れてない感覚があるんですよね。なので、まだ自分のその中に溜まってるガソリンなのかエネルギーみたいな、そういったものっていうのを、まぁ歌でも歌えたらいいんですけど、そういうのはちゃんと学んでこなかったんで。そういうものの出し方の方法っていうのが、今んとこ僕は心理っていうものを使ってやってるんですけど、そこがまだ出切ってないなっていう感覚で、そこに満足してないですね。

くじらぐも:
今、出し切れてないものってどんなものですか?

おくけん:
そうですね。これ難しいんですけど、身体の感覚で言うと、胸あたりにグゥーって渦巻いたエネルギーがあるんですよね、強いて言語化するなら。
で、自分の感情を表現していったら、すごくいい形で「ファー」って昇華されていくんですよ。それは、例えば気の置けない大学院時代の同期といろんなお話をして自分の感情を解放したときとか、プライベートでのその人間関係でいろいろと自分のありのままの自分で入れたときとか。そういったふうな時に結構出せるなっていう感覚があって。
だから今話しながら思ったのが、多分まだありのままの自分を出しきれてないのかなっていう。そこに対する不自由さというか、鬱屈とした感じというか、そんな感覚ですね。

くじらぐも:
なるほど。では、ご自身で思う性格はどんな性格ですか?

おくけん:
性格、なんだろうな…多分チャレンジ精神があるんじゃないですかね。

くじらぐも:
どんなときに発揮されますか?

おくけん:
日々そうなんですけど、大きな人生の選択をするときとかもやっぱり、そうですね、安定よりかはチャレンジを選びますね。あとはこの無名人インタビューに僕が申し込んだっていうのも、これも一つのチャレンジですよね。これが大なり小なりのどこに入るかは置いといて、そういった一つ一つの選択ですね。

くじらぐも:
ありがとうございます。では、周囲の人から見た性格も同じようだと思いますか?

おくけん:
同じだと思いますね。むしろ何か周囲からのリアクションを見てそうなんだなって思いますね。僕の中でやっぱりそうなので。

くじらぐも:
では、周りの人にまだばれてなさそうな一面とかってありますか?

おくけん:
基本的に隠さないですね。隠さないし隠せないですよね~(笑)むしろ周りの人の方が僕の知らない僕の一面をよく知ってますね、僕よりも。だから僕が知ってる僕なんてあんま大したことないですね。

くじらぐも:
これまで周りの人に言われて意外だったことなどはあったんですか?

おくけん:
意外だったことは…なんか最近はもうあんまり驚かないんですけど、数年前とかだと真面目だねとか、ストイックだねとか。
あとなんだろうなぁ、あと言語表現がすごいわかりやすいねとか。あとなんか10年以上前なんか声いいねとか(笑)

あとなんだろうなぁ、いろいろ目標に向かって進むのは僕のいいとこではあるんですけど、ちょっとやっぱり自分自身のことが疎かになっちゃったりするところがあるんで。それは体調面を押してやっちゃうみたいな。
僕自身の大切なところっていうのは、放っておいてもやるので、むしろいい塩梅にブレーキをかけていくっていうことが大事なんだなっていうふうに、ここ最近、ここ1年ぐらいかな、周りから言われて気づき始めたところかなっていうふうに思いますねぇ。

僕、最初のキャリアが、公務員の心理職なんですよ。その後も心理職の公務員。この時に副業でカウンセリングを週1回やっていました。そこから心療内科クリニックの立ち上げに関わりたくって辞めて、その心療内科の0→1の立ち上げに関わりました。で、今そこも辞めてフリーランスになってる。キャリアとしては安定から不安定に突き進んでるみたいな、そんな感じなんですけど、本当に。

それで、今はフリーランスになって完全に自分で全ての予定を立てていく感じになっているので、その時にやっぱり走り過ぎちゃう、やりすぎちゃう。それで自分を疲れさせちゃったりとか、本来一番大事にしなきゃいけない臨床に、お仕事に影響が出ちゃう瞬間とかもあったりとか。そういうのがあったりするから、やっぱり自分のためにも、自分以外の人のためにも、公私ともに自分自身を大切にしていくっていうことはすごく大事なんだなと思って。

その瞬間瞬間に、目の前の目標を優先しちゃって、自分をないがしろにする瞬間があるなっていうふうに思って。やっぱりフリーランスになって一番思ったことですね。

自分自身、そこを今は大切にしていきたいなっていうふうに思い始めましたね。

くじらぐも:
ありがとうございます。

過去:心理士だって別にメンタルが完璧なわけじゃなくって、みんな別に生身の人間なんでいろいろあるわけですよ。

くじらぐも:
では、ここから過去のことについてお伺いしていきたいと思うんですけれども。まず、おくけんさんは子供の頃はどんな子でしたか?

おくけん:
子供の頃は好奇心旺盛ですね。虫がすごい好きだったんですよ。虫が好きで、当時、動物奇想天外っていう番組があったんですけど。

くじらぐも:
あぁ、ありましたね。

おくけん:
覚えてます?あ、わかる世代なんですね。嬉しいですよ。

くじらぐも:
(笑)

おくけん:
なんかそこに、仙石先生っていう人がいたんですけど、よく。

くじらぐも:
あぁ、はい。ヘビの?

おくけん:
そうそう、動物奇想天外に仙石先生っていう先生がよく出てて、その人になるのが将来の夢だったんですよね、幼稚園、小1小2ぐらいまで。昆虫博士になるのが夢で。
幼稚園のときとか、ダンゴムシ捕まえて瓶詰めにしたりとか。カブトムシ飼って繁殖させて、本当に50匹から100匹ぐらいに増えていったんですよね。

っていう感じでカブトムシ飼ったりとか、犬いたりとか、熱帯魚いたりとか、亀いたりとか、金魚いたりみたいな感じで、めっちゃ生き物好きでしたね。

くじらぐも:
それはいつ頃まで?

おくけん:
そうですねぇ、幼稚園から小学校の高学年ぐらいまでそんな感じでしたね。
で、あと、そうですね、幼稚園のときは虫取り以外はもうほぼずっとコマ回してましたね。

くじらぐも:
コマですか?

おくけん:
そう、幼稚園が特殊で、昼ご飯以外時間割がなかったんですよ。
昼ご飯と、帰りの園バスが来るまでの紙芝居以外は、無かったんですよね。
だからそれで自由みたいな感じで、虫取りと駒でしたね。ずっとそんな感じでした。

くじらぐも:
小学校のときは、他に何か夢中になっていたことってありますか?

おくけん:
そうですね。小3から野球を始めましたね。

くじらぐも:
それは何かきっかけなどはあったんですか?

おくけん:
同級生の仲いい子がやってましたね。

くじらぐも:
では、中学校に進むと何か変化はありましたか?

おくけん:
中学校に進むと、中学校も3年間野球部にいたんですけど。うーん、変化か…。
小学校の高学年あたりからちょっと変わってきたのかなとは思いますね。中学になっていきなり変わったというよりかは。

中学受験をしてるんですよね。その勉強を始めた頃から、自分がやりたいじゃなくて、やらなきゃいけないことが生活の中の割合を多く占めるようになったんですよ。
小学校高学年ぐらいから。そのあたりから自分自身を表現するっていうのを抑え始めた。というか、もうそこからずっと抑えてるみたいな、そんな感覚ですね。

今話しながら思ったのは多分そこからの鬱屈したものがまだ多分解消されてないのかなっていう感覚がありますね。

くじらぐも:
なるほど。では、中学校とかあるいは高校時代ぐらいで、何か印象深いエピソードみたいなものはありますか?

おくけん:
ありますね。高1のときに、膝を捻挫して痛めたんですけど。僕、高校の野球部だったんですけど、僕はスポーツ推薦じゃないんですけど、それがあるところでした。
めっちゃ名門校ではないんですけど、スポーツ推薦で来るような人たちがいるみたいな感じで、僕は普通に中学からの持ち上がりで行ったんですけど。そこで、すごい競争にさらされるんですよね。結構大変で。
僕は、スポーツ推薦の人たちと比べたら体も大きくないし、身体能力も高くなかったので、レギュラー結構厳しいな、ベンチ入りも厳しいなっていうそんな感じだったんですけど。そこで怪我をしちゃって、もうかなりやばいなって。当時は、自分から野球を取ったらもう何も残らないっていう思い込みがあったんですよね。

勉強とかも、中学受験本気で頑張ったけどこの程度かっていう、勉強の上限も自分の中で見えて。勉強も駄目で、それで野球も駄目な自分は、生きる価値がないなっていうふうに思い込んでたんですよ。当時は。16歳の時は。

野球がなくなったらもう生きてる価値はないなみたいな感じに思い込んでたので。それで無理をしてずっとやってたら、結構大怪我しちゃったんですよ。
大怪我して、2009年が僕高校2年生なんですけど、2009年の9月から2011年の5月31日まで寝たきりだったんですよ。高校も中退になって、行けてないので。最終学歴中卒、そんな感じで。

ただ、そのときは寝たきりぐらい体が痛かったんですけど、どんなに期間が経っても、一向に良くならなくって。精密検査とMRIとか、レントゲンとか血液検査とか、いろんな検査を、整形外科とか膠原病科とかペインクリニックとかいろんなところでいろんな検査したんですけど、異常がなかったんですよね、結論。肉体的には何の異常もなくって。でも寝たきりになるぐらい体が痛くて動けない。
っていうような、そんな感じが僕の17歳から19歳までの人生ですね。
だから高校生活は突然終わりましたね、僕は。

くじらぐも:
高2の9月に突然?

おくけん:
ずっと我慢してて、身体が痛いのを。限界が来て行かなくなったのが9月で、それから寝たきりですね。

くじらぐも:
なるほど。その期間はどんなことを考えながら過ごされていたんですか?

おくけん:
いろんなところでその精密検査しても異常が出なかったんで、異常が出ないっていうことは病名もつかないので、病名がつかないっていうことは治療方針がないので、完全にもう、「あ、なんか普通に詰んでるな」みたいな、そんな感じでしたね。

くじらぐも:
それが良くなったのは、自然とだったんですか?

おくけん:
気合ですね。2011年の5月31日まで、寝たきりだったって言ってたと思うんですけど。
そっから1日5分ずつくらい、周りの人からのなんか励ましもあって、ちょっと歩き出したんですよね、痛くても。それで歩き出して、それが5分が10分になって、10分が15分になってみたいな感じになって。腰とかも痛かったから椅子も座れなかったんですけど、椅子もちょっとずつ座るようになって。っていうようなことをやってるうちに、ちょっとずつちょっとずつ進んでいったっていうような、そんな感じですね。
で、今も別に完治はしてないんですよね。だから治ったかって言われると、治ってないですね、今も。まぁ、ここまでは来てますけどね、その状態でも。

くじらぐも:
この期間っていうのは、今のおくけんさんにとってどんな意味を持つものですか?

おくけん:
そうですね~、心理士になる原体験ではありますよね。
僕が患者さん側だった時代の話なんですよ。今は医療従事者側なんですけど。

くじらぐも:
ありがとうございます。その後はどんなふうに歩んでいかれましたか?

おくけん:
寝たきりから毎日少しずつ歩いているうちに活動量が増えてきました。
それで、腰が痛くてあまり座れなかったんですが、食事以外の時間全てを勉強してたんですよね。
2011年の5月31日から動き始めて。それで2012年の2月頃から、東進衛星予備校ってあるんですけど、あれは本当に時代の先行ってたなと思うんですけど、映像授業でいつでもどこでも授業を受けるみたいな感じだったんですけど、それに行き始めて。当時の僕にとってはとても助かりました。

それで、2012年の8月に高卒認定試験を受けたんですよね。最終学歴、中卒だったんで。それで高校卒業資格をもらって、それが2012年の8月。それから大学受験の勉強を本格的にやって。そっから半年後ぐらいか、2013年の2月に大学受験を受けて。そこで受かって、それが心理学部心理学科だったんですよね。そこで心理学を学び始めるスタートラインに立ったみたいな、そんな感じですね。

そうそう、あと僕のこの体の痛みっていうのも、心理学とすごい関係があって。体の症状ってストレスの反応のうちの一つなんですよ。どういうことかっていうと、例えば緊張してお腹痛くなって下痢する人とかいるじゃないですか。だから緊張したら下痢するんですよ。なんか普通に考えたら、結構すごいじゃないすか。緊張で下痢するんですよ?
とか、ストレスかかったら頭痛になるとか、ストレスかかったら人によっては胃に穴が開くとか聞く話ですけど、すごくないですか?目に見えないストレスで、胃に穴が開くんですよ?それと同じように、ストレスの反応のうちの一つに、体の痛みってあるんですよね。

なので、それで精密検査して肉体的に原因がないとするならば、それはそのストレスとか心の要因っていうのが少なからずあるよねっていうのが、僕自身が調べて行き着いたところで。で、そこが心理学に関心を持ち始めた最初のきっかけみたいなそんなところなんですよね。

くじらぐも:
なるほど。心理学科での学びはどうでしたか?

おくけん:
そうですねぇ。なんかややこしい人生で本当申し訳ないんですけど、最初の2年間、再発してあんまり行けてないんですよ。
でも本当に運が良くて大学で友達ができたんですよ普通に、それでも。
それには助けられました。

それで大学3年生ぐらいに、体調的にようやく授業全部履修するっていうのができるように、できるようにっていうかもうやるしかないなっていう感じでやるようになって。そこからまたちょっと体が持ち直してきたっていう感じで。

それで大学3年4年を頑張っていって、無事4年で卒業できました。
大学4年から大学院に入学するために、大学院の入試があるんですよ。科目だと、心理学、英語、面接。

大変でしたけど、でも大学院に進学する同期の仲間と、一緒に勉強をめっちゃ頑張っていて、そういうのが、僕にとっては、すごい楽しかったです。青春を取り戻したみたいな。大変だったんですけど、僕にとっては楽しい経験でしたね。

その後は、大学院に進学して。臨床心理士、公認心理師になるためには、大学院の臨床心理学研究科っていうところに行く必要があるんですけど。大学院は修士課程に2年間でした。

それで、大学院のときはだいぶ体が回復していて、それで授業とかも何の問題もなく通えました。それで大学のときと違って、同期の人数とかもすごいもう絞られてたんで。7人で、僕の同期は。それですごいコミュニケーションとかも、深くできたりとか。

あと心理士になるに当たっての、知識じゃなくてスタンスっていうのを、学ぶ機会になったと思ってますね。なので、大学院入ってからが本当に、実際に活きる勉強を本当にし始めたみたいなそんな感じですね。

心理士でも、その生身の人間である以上みんな何かあるじゃないですか。生きてれば。なので、それは心理士だって別にメンタルが完璧なわけじゃなくって、みんな生身の人間なんでいろいろあるわけですよ。そういった、いろいろあるときの向き合い方のスタンスっていうのがすごく大事なんですよね。自分に起こるストレスに対する向き合い方のスタンスっていう、そういった体験を通して自分自身が学んだことを、クライアントさんに、患者さんに還元していく。っていうようなことがすごい大事なんで、自分の体験を、自分をしっかりと見ていくっていうことがすごい大事だと感じました。

そのスタンスを学べたのは、大学院。だから大学院に通ってなかったら、全然人生のスタンスも違ったと思いますし、臨床心理士、公認心理師っていうのは、そういったところを通ってきてるから、心の臨床ができるんだなと思いました。
僕にとっては大事な2年間だったなと思ってますね。

くじらぐも:
では、大学院を卒業した後の社会人生活についてはどうですか?

おくけん:
そうですね。1個目の職場のときとかは、学生時代まではまだ僕どっちかっていうとマインドセットがちょっと患者さんよりだったんですよね。それどういうことかっていうと、
治ってないので、体は。だから自分は、症状が残ってて自分の人生ってのは一生この症状と付き合っていくものだから、自分の人生はもういい方向にはいかないなみたいな、そういったマインドがずっとどこかであって。

行動としてはいろいろやってても。そういうふうに自分の人生は失敗だっていうレッテルがあったんです。
でも現場に入ったら、客観的に見たら僕よりも大変な状況の人ってたくさんいるんですよ。入院してる人とかもいますし。なんですけど、僕よりも客観的に見て大変そうなはずなのに、僕よりも幸せそうな人がいるんですよね。

そのときに思ったのが、心理学を学んでて本当に恥ずかしいんですけど、状況がどうとかじゃなくって、その状況をどういうふうに自分が捉えて、その中でどういうふうに自分がハッピーになるような行動を選択していくかっていう。大事なのってそこだよねっていうようなことっていうのを、腹落ちして、体感としてわかったのが現場入ってからなんですよね。

で、そこから、ただ時間を消費するだけの、寿命まで時間を消費するだけの人生から、いや、寿命を消費しきる前に何をやろうかっていう人生に切り替わりました。
だから、そこからチャレンジが始まりましたね、僕の。いわゆるさっきの「チャレンジをしていくようなその性格」っていう。本来は多分こっちだと思うんですよね。僕の本来の性格は。それがようやく出てきたっていうのが社会人になってからっていう、そんな感じですね。

くじらぐも:
で、そのまた次も公務員?

おくけん:
そうですね。また公務員ですね。また公務員で、1個目は病院のリハビリテーション科っていうところだったんですけど、2個目は地域の福祉施設だったんですよね、障害者の。そこでお仕事をしてて、安定はもちろんしていたんですけど、業務が決められている中で自分を表現しきれてないなっていうところがあって。

それで副業で、クリニックのカウンセリングやってたんですよ、週1回。副業OKだったんで。それでそのときになんかやっぱ病院でカウンセリングするのすごい楽しいなって思っちゃったんですよね。そう思っちゃって。

副業を始めてからお金のことも考えるようになりました。1日カウンセリングを何件やったら純利益はいくらになるのか、っていう。
それまでお金のことを考えるって僕の中で汚いことみたいなところがあったんですけど、「いや、人生と向かい合うことだよね。大切なことや」っていうふうに、そこの認識が変わって。

それで心理士として、どんだけ自分が成長していっても、自分の努力っていうのが対価としてあることは重要だと思うようになりました。
それは、「プロ」としてやる以上はその対価はお金なので。お金を貰う責任があるから、専門性を研鑽していく。プロとして、専門家としてやっていくことはそういうことだと思うようになりました。
プロとしての責任と誇りがあることはとても大切だと思っています。

それをやっている中で僕1人のプレイヤーとしての生産性の天井が見えたんです。1日でカウンセリングができるキャパシティーは決まっているので。
それで、専門性の研鑽の結果として「対価」が上がりにくい構造ではあると思いました。そこから、プレイヤーとしての研鑽だけではなく、自分でキャリアの主導権を持って決めていかなきゃいけないなと思い始めました。
それから次の職場で0→1で立ち上げに関わるのですが、それは「ビジネス」というものを学びたいと思ったからです。

くじらぐも:
では、今の職場につくのは、何かきっかけとか理由があったんですか?

おくけん:
今の職場は、どこかのプラットフォームにいる、どこかの組織にいるっていうのは、やっぱり不自由さがあるというか。

理想の組織っていうのはなくって、どんな組織にいても何かしらある、っていうのはいろんな職場経験してて思ってて。
それに僕は文句は言うつもりは全くなくって、そういうもんだと思ってるんですよね。やっぱり僕以外の人が、僕と価値観の違う人が作ってやってることだからそれは当たり前のことで。
そこで、一旦ちょっと組織から離れてみて、自分1人でやってみたらどうなっていくんだろうっていうことを、今ちょっと実験的に試している。そんな感じです。

くじらぐも:
なるほど。ありがとうございます。

未来:32年間の中で自分が体験してきたものをシェアしていくってことをやってるので、それが64歳になったら2倍あるわけじゃないですか。

くじらぐも:
ここからは未来のことについてお話伺いたいと思います。ではおくけんさんは、5年後や10年後、あるいは死ぬときまで想像してみて、未来についてどんなイメージを持たれますか?

おくけん:
未来について…そうですね〜、どんどん自由になっていきたいですね。

くじらぐも:
自由な状態ってどんな状態ですか?

おくけん:
自分が表現できているような状態ですね。

くじらぐも:
これからやっていきたいって思ってることはあるんですか?

おくけん:
いろいろとありますね。今ちょうどタイミングではあるんですけど…今業務委託でカウンセリングをメインでやってるんですけど、いろいろと仕事を増やしていこうと思っていて。

一つは、自分のプラットフォームで何かできないかなって、ずっと今考えてるんですよ。それで今僕が今一番力入れてるのってnoteで。

実は(余談ですが)、今日の記事をこれから書くんですけど、まだ書いてなくて「やばい!!」と思ってるんです(笑)。今日で200日連続投稿なんすよ。
だからちゃんとしたの書かなきゃいけないからちょっと「やべっ!」て、今思いながらやってるんですけど。なのでそういうふうに思いながら書いたんだなって、後で見てほしいんですけど(笑)。

そのnoteというプラットフォームを使って何かできないかなって思ってて。
それでやろうと思ってるのが、オーダーメイドの『読む処方箋』。
いつも僕は「読む処方箋」っていうような言葉で皆さんにいろんなことを伝えてるんですよ。それを個別相談でやってみようかなって思ってるんですよね。

心理士でいうと、いわゆる「メール相談」の部類に入るんですけど。『あなたに送る読む処方箋』っていう言葉でやろうと思っています。
今までは不特定多数の人の誰かに響けばいいなっていう形で、一般的なものを書く、っていうのが僕の記事だったんですけど。それを、一つ手紙をもらうように人の悩んでることをもらって、それを手紙を返すように僕から僕がいいと思ったものを「シェア」するように返していくっていう、文通のようなことをやろうと思っています。

『あなたに送る読む処方箋』っていうのを、年末からこれはお仕事としてやろうと今いろいろと整えてる感じです。

くじらぐも:
うん。

おくけん:
あとは、このnoteってすごく他のSNSとは毛色が違うなと思ってて。やっぱり文章を読むのが好きな人、長い文章を楽しんで読める人が多くって、穏やかで落ち着いてる感じの雰囲気があるなって思ってて。
それはやっぱり刺激の強い映像じゃなくて文字っていうところもありますし、広告とかがバシバシ入ってくるようなこともないし、そういったいろんなnoteの人が頑張って作り上げたこの環境だからこそだと思うんですけど。

そこを使って何ができるかなって思ったときに、僕が記事を今まで投稿してきた中で、いくつか対談とかインタビューとかそういった、勝手にインタビューって形で後から他の人との会話を許可もらった上で記事にしてるんですけど、それが面白いものになったんですよね。

心理士のはしくれなんで、人の話を深掘りして聞くのは得意なんで、そういうふうに聞いていったら結構面白いなと思って。
それを記事にしたら、僕の今のクリエイターページで、100いいねが超えてる記事っていうのが四つ(2024年11月時点)あるんですけど、四つとも全部誰かの話を聞いて出したっていうコラボ企画なんですよね。

僕も人の話聞いてそれを深掘っていって書くの楽しいし、無名人インタビューみたいなことを知る前からなんかやっちゃったんですけど。
こういうふうに、別にカウンセリングだけじゃなくって、いろんな人のいろんな人生を深掘って聞くっていうのはすごい良いなと思って。

僕が一番興味あるのって、やっぱ自分の体験もある中で、やっぱ健康なんですよ。

健康って、WHOの定義だと、体と心と社会的な繋がり、この三つが全部満たされてる状態が健康ですよっていう。これがWHOの定義する健康なんですよ。肉体だけじゃないし、心置いてきぼりにしちゃ駄目だよ、人との繋がりを置いてきぼりしちゃ駄目だよっていう。そういうところ、その三つをちゃんと大事にしていくってのが健康だよっていうことをWHOは言ってるんですよね。
なので、僕はこの健康にアプローチをしていきたいなっていうふうに思っていて。

なので、心理士だけじゃなくって、例えば肉体だったら食事とか運動とかヨガとかいっぱいあるじゃないですか。
無名人インタビューもそうですけど。そういった、世の中でいろいろな面白いけど周りに知られてない、すごいいいものをやってるけど周りに知られてない、そういうものって世の中にたくさんあるなと思って。なのでそれを、僕が聞いていこうと思って。心理士として人を聞くっていう技術があるのでカウンセリングじゃなくてインタビューっていうような形で。その技術を活かして僕のプラットフォームでその人たちを紹介していって、それで人と人とを繋げていくっていうようなことをやっていきたいなっていうふうに思ってる、っていうことが一つ。

あと『日本仕事百科』っていう求人サイト、ご存知ですか?

くじらぐも:
わからないですね。

おくけん:
後でちょっと検索していただきたいんですけどすごい素敵なサイトなんです。いわゆる求人サイトなんですけど、「生き方で選ぶ」とか「働き方で選ぶ」とか、そういった項目でわかれてて結構面白いサイトなんですよ。直接その現場まで行ってインタビューして、それで職場のことをありのままに書いて求人に載せるってことをやってるんですよ。

それの健康バージョンでやってみたいなって思うんですよ。
僕は健康に興味があるので、その健康バージョン。カウンセリングルームをちっちゃくやってるけどあまり世の中に知られてないとか、すごい良いヨガやっているけどあまり知られてないとか、すごいいい整体やってるけど世の中にあまり知られてないとか、すごくいいコーヒー出してるけど世の中にあまり知られてない喫茶店とか。そういった、何か「面白いな」、「いいな」と思ったものを、僕がシェアしていく。

今まではnoteのフォロワーを増やすっていうことにあんまり意味を感じなかったんですけど、これをやったらフォロワーを増やして影響力が出るっていうことの意味合いが、すごい出てくるなって思ったんですよね。

僕の記事を出すことでいろんな人に見てもらえる。それは、影響力があるってことじゃないですか。だからこそ、影響力っていうのを最大限に使っていけるようなことをやっていきたいなって思って。それが仕事になるか、ならないかっていうのは今の時点ではわからないんですけど。でも少なくとも将来的にはちょっとそういうことを考えていて。

今僕がやろうと思ってることは、まずは業務委託の委託される仕事だけじゃなくて、自分でゼロから、0→1で作るビジネスも一つ持とうと思っていて。それがさっき言った「読む処方箋」。
2024年12月29日にもう出そうかなっていうふうに、もう決めてるんです。それをやろうと思ってます。

くじらぐも:
ありがとうございます。やっぱり自分を表現する、シェアするっていうのが全部に共通するなと感じてました。

おくけん:
そうですね。なので、なんか僕自身にフィットする表現の仕方っていうのをずっと探してて。

くじらぐも:
では、この先自分にフィットする表現方法がもう完全に見つかって、理想の状態が叶えられたとしたら、その先では何をしだすと思いますか?

おくけん:
多分またその体験をシェアしていくなって思いますね。
カウンセリングやってて、思うことがあるんです。

カウンセリングをやっていない人もほとんどだと思ってるんですけど、自分自身の価値観って知らないですよね、みんな。自分が本当の意味で何がいいと思ってて何が嫌だって思ってるかわかってなくて、僕自身も含めて。やっぱり大人になるにしたがって、やりたいことよりも義務がどんどん増えていって。その義務をやることによって自分本来の心の声っていうのがどんどん聞こえなくなってきて、そうやって大人になる人がすごい多いなっていうふうに思っていて。

でも、どんな人もやっぱり自分自身の、「これがいい!これがやだ!」っていうそういう感性ってあると思うんですよね。
僕は、それはアーティスティックな言語化できないような感性だと思っているんです。どんな人もみんなアーティストで自分のことを表現していきたいって本当は思っている。僕はそう思っているんですよ。本来の自分がいいと思ったことをやりたいし、それを表現していきたいっていう人がほとんどで。

それで、心の病っていうのは、その自分が苦しいっていうことを表現する手段なんですよね。だから病も表現する手段の一つなんですよ。なので、エネルギーなんですよね。一つの自分の中にある鬱屈としたエネルギーの発散の手段なので、そのエネルギーの発散の手段っていうのを、病じゃないものに転換していくっていうことをすると、結果として病というものに頼る必要がなくなるんですよ。

くじらぐも:
うんうん。

おくけん:
なので、それは別に病気のフェーズにいなくても同じことなんですよね。
僕自身がこの今の自分の中に鬱屈としたもの、そのエネルギーを表現していって、「こうやったら人ってハッピーになっていけるんだな」っていうのが、自分がハッピーに感じる体験をしていくことをすることで、それをまた人に多分シェアしていくんだろうなって僕は思いますね。
それは働き方かもしれないし生き方かもしれないし、ちょっとわからないんですけどね。そこはそのときになってみないと。
なのでそこのシェアをしていくっていうところは多分変わらないのかなって思います。ただ、自分が生きてきた以上のものってやっぱり表現できないので。だから今、現時点で僕32歳なんすけど、32年間の中で自分が体験してきたものをシェアしていくってことをやってるので、それが64歳になったら2倍あるわけじゃないですか。そしたらその分表現できるものの幅が広がるっていう、何か変化するのはそこの幅であって、自分がシェアしていくっていう本質的なところは変わらないんじゃないかなって個人的には思ってますね。

くじらぐも:
なるほど、ありがとうございます。では、もしもの質問というのをお聞きしたいんですけれども。
もしもタイムマシンでですね、過去に戻ることができたとしたら、どのタイミングに戻って何をしたいって思いますか?

おくけん:
やっぱ高校のときじゃないですかね、怪我する前の。怪我してからでもいいんですけど。あれですね、勉強とかスポーツとかそういうのができない自分は、生きる価値がないっていうふうに思い込んでたので。別に人が生きるためにそんな条件なんてないんだよっていうことを昔の自分に伝えたいですね。
「こうじゃなきゃ生きちゃいけないよ」みたいな、そんな条件は別になくって。別にどんな状況だったとしても、それって別にその人が判断してるだけだから、自分がいいと思ったものをやればいいし、自分が嫌だと思ったものからはもう戦略的に逃げていってそれでいいんだよっていう感じで言ってやりたいですね。

くじらぐも:
ありがとうございます。

おくけん:
それと、あと思ったのが、今それを臨床でやってます。日々の仕事で患者さんにそれを伝えてますね、僕は。17歳の自分に、17歳の僕が言って欲しかったことを今の僕が臨床の現場で言ってます。それをやってますね。

くじらぐも:
なるほど。では、このインタビューの最後に、何か言い残したことであったりとか、もちろん宣伝でもいいですし、あるいは見ている人へのメッセージや遺言みたいなものでも何でもいいんですが、何か話したいことありますか?

おくけん:
そうですね。まず一つは、今日のやり取りで僕が感じたことをそのままnoteの記事にしようと思ってるんですけど、いいですか?

くじらぐも:
大丈夫です。

おくけん:
また何かこうね、視点がくじらぐもさんと僕とで多分全く別物の作品が出来上がると思うので。ちょっとそれやりたいなって思ってるのと。
あと、「読む処方箋」をいろんな人に知ってほしいので、それとかはちょっと何か書いてくれると嬉しいなっていうふうに思ってるいうことと。

でもやっぱり、一番やっぱ伝えたいことは、最後してくれた質問のところですね。
人が生きていくっていうのに、こうじゃなきゃ自分は存在しちゃいけないみたいなそんな条件ってのは何にもなくって。どんな状況だって別に人っていうのは当たり前だけど生きてもいいし、自分が幸せになるっていう選択をしてもいいんですよね。

それを、社会からのステレオタイプとか、幼少期の教育とかで「こうじゃない自分は駄目だ」とか、「こうじゃない自分は生きている価値がない」とか、「今こんな自分は幸せになる価値がない」っていうふうに、自分で自分のことを縛って苦しくしちゃってるっていう人が本当に多いなっていうふうに思うので。

それはでも僕も含めて大なり小なりやっぱりそういう縛り、呪縛みたいなのってあると思うんですよね。なので、そういうのは本当は自分があると思っているだけで、全然無いので。自分の感性を大事にしてほしいなって皆さんに思いますね。

くじらぐも:
うん。

おくけん:
心理学でいうと、感情って一言で言える心の状態。感性とはちょっと違うんですけど。
「怒り」とか「悲しみ」とか「楽しさ」とか「喜び」とかのことを言うんですけど、これもやっぱり一言で言語化しちゃってるので厳密に言うと感情じゃなくって。

感情って「体の反応」なんですよ。緊張したときに胸がきゅっとしたりとか、怒りを感じたときに頭に血が上ったりとか、すごい自分に力ややる気が出てきたときに全身に力が湧き上がってきたりとか。そういった何かが起こったときの体の内側の反応、動きっていうのが感情、感性なんですよね。

なので、言語化、思考で「何々すべき」じゃなくて感性として、自分の体の感覚として、よりプリミティブに原始的に、自分の内側にどんなエネルギーがあってそれを「どう表現したいんだろう?」っていう、「自分はどうしていきたいんだろう?」っていうような、そういった自分本来が感じることを大事にしてほしいなって皆さんに思いますね。僕自身もそれを大切にしたいし、それを今後も皆さんに伝えていきたいなと思います。

あとがき

心とからだの関係、当たり前のように感じていましたが、よく考えると面白く、大事なものなんですね。
私自身も、おくけんさんの「シェア」を受け取らせていただいた一人です。
自分のしたい表現は何か、腹の中を探っていこうと思います。ありがとうございました!

【インタビュー・編集・あとがき:くじらぐも】

【編集:mii】


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