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後継ぎと人 西本紫乃-003 2024/07/24
西本紫乃さん(チア世界一、老舗料亭の後継ぎ、新卒)の、大学生時代について聞く、の前半です。
いやーなんか、人の考え方が作られていく過程を記録している感じがします。
面白いですよー。
まえがき:qbc(無名人インタビュー主催・作家)
参加いただいているのは西本紫乃さんです。
instagram:https://www.instagram.com/shino.n.too/
西本紫乃さんの過去インタビューはこちらから!
最近の出来事:現在と将来のことを考えて、今どう動いたらいいのかを逆算して行動する
![](https://assets.st-note.com/img/1727096500-7FMJRzLh2ZjA3fpKiGCHgys6.jpg?width=1200)
写真は「現在」とは関係ないですが、紫乃さんが大学1年生の時に撮った京都の写真。そうですあそこです!
qbc:
この1ヶ月、公私ともに何があったか語ってもらえますか。
西本紫乃:
7月は、仕事量的には落ち着いていました。
大部分を接客の仕事が占めているんですが、繁忙期の4月や5月に比べて予約が少ないので、身体よりも頭を使って働くことが多かった1ヶ月だと思います。
qbc:
頭を使うっていうのは?
西本紫乃:
例えば戦略を練るとか、毎日お客様の情報を改めて振り返ってまとめたりとか、次はこういうふうにしていこうかっていう。
目の前のことよりも、全体を見て考えるということが多かった1ヶ月間ですね。
qbc:
飲食業をやられていると、飲食業ならではのマーケティングがあると思うんですよ。
例えば新規顧客が何割ぐらいだと良い状態なのかとか、基本は新規っていうよりも、地元の人がリピートしてくれるようなものにした方が良いとか。
大まかな展望っていうよりも、今現在こういうふうに回ってるよ、みたいなところってどんな感じなんですか?もちろん言える範囲でいいんですけど。
西本紫乃:
今現在で言うと、お客様の9割以上は地元の方です。
使っていただく目的はいくつかあって、大きく分けると企業や組合などの団体か、家族や友達などの個人で使っていただくことが多いです。
団体の場合だと、私たちの料亭は最大100人まで入るので、大人数で親睦を深めるための会や総会、講演会で使っていただいています。
個人の場合だと、お友達といらっしゃることもありますし、家族での来店であればお祝いが多いです。例えば、お子さんが生まれて100日のお祝いだったり、顔合わせでいらっしゃったり。お祝いでなければ、法事でいらっしゃることもあります。
qbc:
いわゆる冠婚葬祭ですね。
西本紫乃:
そうですね。今は結婚式以外のご利用が多いですね。
マーケティングで言うと、市内で100人規模のキャパがあるところが数えるほどしかないということもあり、必然的にここになる感じはあります。駅から徒歩3分くらいなので、立地的に行きやすいのもあって。
あとは、美味しかったよ、という口コミでいらっしゃる方が多いですね。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
だから、新しいお客様というよりも「先代から続いていて、知人が使っていたから私も使う」みたいな形が多いかなと。
すでに何度も足を運んでくださるお客様がいらっしゃって認知されているので、ネット上の発信は大きくはやっていなかったんですけど、これから動かしていこうと思っています。
今現在は、そんな感じのお店です。
qbc:
家族や友達の場合は、何人くらいの規模ですか。
西本紫乃:
100日祝いやお食い初め、顔合わせだと4〜6人くらいですね。友達なら2〜3人とか。
団体だと、6人以上ですね。会社の規模によっては、30人くらいになることもあります。
qbc:
法人って、地方だと企業だけじゃなくて利益目的でなない団体もあると思うんですけど、そういうのも含まれていますか。
西本紫乃:
はい、含まれてます。俳句とか写真、お酒とか、趣味で集まっている方もいます。
qbc:
そういうときも20〜30人規模ですか?
西本紫乃:
最近はコロナで小規模になってきていますが、そういう規模のときもあります。
あとは、企業の方が接待で使ってくださることも多いです。規模でいうと、3〜10人くらいまでさまざまですが。
qbc:
なるほどね。今の課題は何ですか。
西本紫乃:
近々の課題はそこまでないんですが、だんだんお店を使ってくださる方や町全体が高齢化しているのもあり、緩やかに縮小していく市場なのかなとは思っています。
なので、新しいお客さんに来ていただくためのアクションもしないといけないのかなと思います。
qbc:
うん。
西本紫乃:
あとは内部の体制ですね。今働いてる人も徐々に体が動かなくなっていくので、若い人に仕事を教えていかないといけない。
絶対にこの人がやらないといけない、みたいな仕事以外は、適度に他の人に伝えていくのが大切かなと思います。
例えば献立を決めるのは料理長なんですけど、それ以外でやり方を伝えて経験を重ねればできるところは、とらわれずに仕事を任せていけるといいのかなと。単発のアルバイトとかもあったりするので。
qbc:
うん。
西本紫乃:
あと、私が六代目なのですが、今の基本的な意思決定は五代目にある状態なんです。
でも、四代目も六代目もいるので、指示を出すところが複数ある状況になってしまっていて。
なので、他の従業員の方が動きやすいように、情報一つにまとめていけると良いなと感じています。
家族でやっていることもあり、コミュニケーションを取るのが難しいところなんですが、そこを統一させられると良いなと思います。
qbc:
なるほど。
西本紫乃:
そんな感じです。
qbc:
課題解決のために動いていることって、どんなことがありますか。
西本紫乃:
全てに共通している課題として、コミュニケーションが取れていないというか、必要な会話があまりできていないというのがあって。
qbc:
うん。
西本紫乃:
なので、それを促す動きはしています。
例えば、料理側と接客側で認識を揃えておいた方が良いことや自分が気になるポイントがあったとしたら、これってどうなの?と感じていることを話し合う機会を作る。
あとは、私のおばあちゃんやおじいちゃんに当たる四代目には、自分がどういうお店にしていきたいのかを伝えるのに、言葉ではなく手紙で伝えています。
qbc:
へえ。
西本紫乃:
口頭で伝えると、結構イライラされるんですよ。私達がやってきたものに口出しして何なの、みたいな。
なので、真正面から言っても聞いてもらえないことを見越して、手紙に書いて渡すことで伝えています。時間はかなりかかるんですけど、ちゃんと思ってることは伝わりますね。
あとは、週報を出しています。
qbc:
うん。
西本紫乃:
一人ひとりが全体を把握して動くということができていないと思っているので、私が情報収集屋さんになってシェアしています。
料理人はこう思ってる、四代目はこう思ってる、五代目はこう思ってる、従業員のみんなはこう思ってる、っていうのを共有して、今後こういうことをやっていくよっていう未来の話をまとめて、毎週出していますね。
qbc:
うん。
西本紫乃:
トピックを5〜6個まとめて出して、それを読んでもらうことで、会話を促している感じです。
qbc:
なるほど。
今日なんか大人しい感じがするけど、特に何もないですか?(笑)
西本紫乃:
確かに、大人しいかも。
qbc:
何かあったんですか。
西本紫乃:
いや、なんかあったかな(笑)
qbc:
すごい優しい感じになってるから(笑)
西本紫乃:
でも、確かに最近大人しいですね。
熱量!パッション!っていう感じじゃなくて、目の前がめっちゃ見えてきて、自分の中でやることが明確になってきたのはあります。
本を結構読んでいるので、その影響もあるかもしれない。
qbc:
何の本を読まれたんですか。
西本紫乃:
いくつかあります。
お客様が基本的に年上で、お店に来られる理由が法事だったりする。そこでふと、身内が亡くなって動くって、どういうことなんだろうと思って。
わからないことだらけなので、『人はどう死ぬのか』と『家族という病』っていう本を読んでみました。
qbc:
はいはい。
西本紫乃:
パッと目についたものを読んでる感じですが。
qbc:
おすすめされたわけではないんですね。
西本紫乃:
はい。あと『感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか』も読みました。
qbc:
へえ。コミュニケーションのために読んでいるんですか。
西本紫乃:
自分の周りにこれについて考えている人があまりいないので、それをキャッチしにいくため、かもしれないです。
qbc:
なるほどね。それと優しさって、何に繋がっているの。
西本紫乃:
今自分が正しいとか、自分がこれが良いと思っていることが、立場や状況が変わったら違うこともあるよな、と思って。
私はこう思っているけど、人は人でその視点だとそう思うよな、みたいな。
qbc:
うん。
西本紫乃:
優しいかはわからないですけど。優しい喋り方になってますか?(笑)
qbc:
なってるよ。
西本紫乃:
というか、接客や従業員と話す以外で、人とあまり会話していなくて。話をするのは職場か、自分の頭の中で考えを巡らせるだけ。
ちょっと前までは、友達と近況報告のためにLINEしたり、近くにいる友達とご飯に行ったりしてたんですけど、それが7月に入って全然なかったんですよね。
qbc:
うん。
西本紫乃:
普段話す相手に、偏りがあったからかもしれないです。
qbc:
なるほど。今月のまとめと、来月の抱負は何ですか。
西本紫乃:
今月のまとめとしては、現在と将来のことを考えて、今どう動いたらいいのかを逆算して行動することができたと思います。アクションがいろいろと見えてきた7月。
qbc:
うん。
西本紫乃:
それをさらに実行に移していくというのが、来月の抱負ですね。
大学1年生:コロナで普通じゃない生活が始まったけど、もともと普通じゃなかったので目の前の生活が普通になった
![](https://assets.st-note.com/img/1727096605-6yhuTNimLJOxMXzwnrGkRKo0.jpg?width=1200)
qbc:
では、大学について聞いていきます。1年ずつに区切ると、どんな感じでしたか。
西本紫乃:
3〜4年生がすごく濃いので、1〜2年はさらっとしてたかな。
qbc:
はい。同志社大学に入学したのは、2020年4月?
西本紫乃:
はい。コロナが流行し始めた頃です。
qbc:
受験勉強したの?
西本紫乃:
受験勉強はほぼしてないですね。商業高校枠として、商学部や経営学部への指定校推薦があって。それで推薦をいただいて、小論文と面接で入りました。
qbc:
目論見としては、チアで頑張っていれば、指定校推薦を取れるっていうふうな考え方ですか?
西本紫乃:
ではなくて。チアをやっていても、推薦は取れないんですよ。評定と資格・検定取得数で、推薦を取れるか取れないかが決まる。
日々の授業やテストを頑張っていたら、推薦がいただけるという感じです。
qbc:
へえ。チアは加点されないんだ。
西本紫乃:
加点されないですね。評定と検定など、勉強です。
qbc:
検定っていうのは、資格ってこと?
西本紫乃:
はい。商業高校に、全国商業高校検定というのがあって。例えば電卓検定とか、ビジネス文書検定とか、簿記検定とか。
チアを頑張りたいっていう気持ちで、資格を取りました。普通は実務につなげる的なところだと思うんですけど、私はチアの時間を作るために大学受験をライトにしたくて取りました(笑)
qbc:
なるほど。大学1〜2年生はどんな感じでしたか。
西本紫乃:
1年生の4月に京都に引っ越したんですが、学校は半年閉鎖されている状態で、登校できなかったです。入学式もなかった。
授業はオンラインで行っていて、資料が送られてきてガイダンスを受けたり、手続きしたりしました。
qbc:
へえ。
西本紫乃:
気を回してくれる先生だと、オンライン授業の後に学生同士で話す機会を作ってくれて。そこで仲良くなった友達とは、半年後に会いました。
オンライン授業を受ける以外の時間は暇なので、観光客のいない京都を周ってました(笑)誰もいない京都は今しかないと思って。
qbc:
そのとき、何を考えていましたか。
西本紫乃:
高校でチアが終わって、やりたいことも明確なものは無かったので、本当にこの後に楽しい生活があるのかな?みたいな不安はありました。
あとは、今見れるものを見ておこうと思っていたのかな。だから多分、外に出ていたんだと。
qbc:
うん。
西本紫乃:
あと、社会に出たことがないというか、チアや学校のメンバー、家族としか触れ合ってこなかったので、バイトの始め方もわからなくて。
qbc:
高校でもバイトはできなかったのか。
西本紫乃:
はい。何を調べたらバイトの情報が得られるのかもわからなかったし、自分が何やりたいかもわからないし、募集しているところも少なかったし。
結局バイト先は親に決めてもらって、始めました。大学1年生のときは、バイトも自分で決められない、決める基準がわからない状態だったんですよね。
qbc:
へえ。何のバイトを始めたんですか。
西本紫乃:
カフェのバイトです。1年生の6月か7月ぐらいに始めました。でも、ほとんど入れなかった記憶ですね。多くても1週間に2回くらい。
あと、めちゃめちゃポンコツだったと思います(笑)覚えることが多くて、入る日が少なくて、ずっと新人アルバイトっていう感じ。
qbc:
それ自体は、どんな気持ちだったんですか。
西本紫乃:
今までめちゃめちゃ頑張ってる人が周りにいて、思ったことはしっかり言い合う環境だったので、他の場所でもそれが行われていると思っていたんですが、そんなことはなくて。
むしろ、本当に思ってることは伏せながら、、というか本当に思ってることとか、ない(笑)
qbc:
うん。
西本紫乃:
もっとこうした方が良いというアドバイスをくれることもあったけど、教えてくれないことも沢山あるなっていう。
環境のルールや、暗黙の了解みたいなものは自分で探って、それに合わせて動くということが必要で、その上で自分がこうしていきたいなと思うところは適度に言う。
そうしないとその環境に適応できないと頭では分かっていたんですが、それで動くのが最初は難しくて、私はこう思ってるのに!みたいなのが強くありすぎちゃって。
そこで葛藤が生まれていたなと、振り返ると思います。
qbc:
逆に、高校時代のJETSでは、そういう空気みたいなものを教えてくれていたんですか。
西本紫乃:
そうですね。空気は、先生や先輩から教えられてきたかなと思います。こういうときはこういう対応をするのがJETSだ、みたいな。
正しいことが決まっていたので、それに沿って動けば、JETSや高校の中では生きていけました。
なので、JETSのときはだいぶ教えてもらっていましたね。
qbc:
今振り返って、どうですか?
シンプルにいうと、世界を取った組織のカルチャーと、カフェのアルバイトのカルチャーの違いを見たわけじゃないですか。
西本紫乃:
はい。
qbc:
でも、多くはそういうことは教えてくれないと思うんですよ。世界を狙ってないから。
その辺りの違いについて、今振り返るとどう感じますか?
西本紫乃:
そのときはまだ、JETSの価値観が自分の価値観で、カフェの文化が自分の生きていかねばならない世界だと思っていたから、ここで生きられなかったら自分は駄目だ、と思ってました。
でも今振り返って思うのは、どういう態度を取ると「長く自分らしくいれるか」みたいなところで、どっちが自分に合ってるんだろう?という情報の一つでしかないなと。
qbc:
うん。
西本紫乃:
アメリカの大会で優勝する組織の文化は、信じる力があるというか、思想の力がある。
一つの目標とか、幸せとか、正しいっていうことを、みんなが同じものを信じてるっていう状況がそこにはあって。で、その力はめちゃめちゃ強くて、わかりやすい。
でも、カフェのバイトは、この店が続いていくことを店長など一人ひとりが(実は思っているのかもしれないけど)めちゃめちゃ信じてる!みたいなものは現さないし、それがなくても成り立つっていうのがわかりました。
qbc:
うん。
西本紫乃:
それはそれで、一人ひとりがその人らしいなとは思っていて。
カフェのアルバイトメンバーの顔と名前と学部を覚えてるんですけど、性格も関心もみんな違って、それが面白くて。
でも、JETSはみんな同じ考え方になっていくし、同じ美しさを目指すから、また全然違う人の変化が現れているなと思います。
qbc:
カフェってみんな違うのに、何で同じ一つのことができるんですかね。
西本紫乃:
何でですかね(笑)
qbc:
お金?お金をもらえるから従ってるのかな。
西本紫乃:
そうですね。そこのカフェは同志社大学と京都大学の間ぐらいにあったので、どちらかの大学の学生がアルバイトをしてるっていう感じだったんですけど。
qbc:
うん。
西本紫乃:
研究している分野もバラバラだけど、学生というのは同じで、アルバイトとしてやっていて。
バイトの目的として、たしかにお金はあると思います。それが同じだから、成り立つのかな。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
なかなか考えさせられる質問ですね。
qbc:
世の中で重要なテーマですよね。
西本紫乃:
それがよしとされているからか、お客さんがいるからか。
qbc:
組織がなぜ動くかって考えると、まずリーダー、次に思想、ないしルール。
思想はどうでもよくて、この人に従うという組織もありますよね。これも動きます。
西本紫乃:
はい。
qbc:
リーダーは大したことないし、ルールも大したことないんだけど、思想で動いていくっていうのもある。
あとはルール。カフェとかはルールで動いている組織だと思いますね。
思想もそんなに強くないし、スタバは思想よりだと思いますけど。
西本紫乃:
うんうん。
qbc:
でも、普通の一般的なカフェであれば、マニュアルやルールがしっかりしているから。
西本紫乃:
そうですね。それに従うという感覚ですね。
関西と言えば~大阪ですね。梅田駅です。紫乃さんが撮りました。
大学1年生:3ヶ月で初対面の100人と1対1で話して、人の見方が変わった
![](https://assets.st-note.com/img/1727096637-28ayPWK7IfGBUJmX6wZH1gNh.jpg?width=1200)
西本紫乃:
それから、1年生の冬に、初対面の100人と話す、っていうのをやったんですよ。唐突ですけど。
qbc:
それは、個人で始めたんですか。
西本紫乃:
はい。学生同士があまり繋がれないというか、友達ができない期間があったんですが、その中でもたまたま出会った友達がいて。その子が、企画っぽい感じで個人でやってると聞いて、面白そうだなと思ったので便乗しました。
Twitterで話し相手を見つけたり、大学の先輩に人を紹介してもらったりして、話を聞きました。
qbc:
へえ。
西本紫乃:
高校時代にしていたことを話したり、コロナ前の大学生活はどういうものだったのか聞いたり。年齢がちょっと上の人だったら、就職した会社でやっていること・経営している会社でやっていることを聞いたり。
3ヶ月ほどで、100人と最低1時間ずつは喋った。
qbc:
うん。
西本紫乃:
それを1年生の終わりにやって、だいぶ変わったというか、色々な価値観に触れてフワフワしました。
そこで出会った人が、私が3〜4年生になったときにインターン先を紹介してくれたりして。種がいっぱい蒔けた感じでしたね。
qbc:
具体的に、どんなふうに会っていたんですか。
西本紫乃:
ちょっと流行ってたんですよね。お話しましょうムーブメントみたいな。
qbc:
Zoomで話すの?
西本紫乃:
Zoomです。コロナだったので、オンラインでも話したいっていう人が結構多くて。
qbc:
それは全国にいる学生と?
西本紫乃:
学生がほとんどですが、学生以外も。海外にいる人とも喋りました。1on1募集みたいな感じで。
qbc:
相手もやってるんだ。
西本紫乃:
やってる方もいました。お互いに話しましょう、っていうテンションのときもあったし、チアをやってたので話を聞きたい、って方もいたりして。
Twitterで募集のツイートが拡散されていたり、話し終わったらこういう人と話した、っていうのを出したりしてどんどん繋がっていった感じですね。
1on1で話してそれを記録する、っていうのをやってました。
qbc:
どのくらいの期間でしたっけ。
西本紫乃:
3ヶ月ぐらいで100人終わったかなと思います。1年生の12月から始めて、3月始めくらいに終わりました。
qbc:
1日に1人のペース?それともまとめて?
西本紫乃:
1日3〜4人くらいです。基本1時間くらい話していました。
大学の先輩とは、直接会って大学で話すこともありました。それも含めて100人ですね。
qbc:
もうちょっとこの辺り、西本さんの中で何が起きたのかを知りたいですね。
西本紫乃:
なんだろう。
qbc:
無名人インタビューを受けたことに、何か繋がってますか。
西本紫乃:
繋がってるかもしれないです。
1年生のときのそれは、インタビューし合ってるみたいな感じなので、それをやってたからインタビューを受けるハードルが低い状態になったと思うんですよね。
そういう意味で、今無名人インタビューを受けていることと繋がっているなとは思います。
qbc:
うん。
西本紫乃:
100人と話すなかで感じたこととしては、自分は話を聞くのが下手というか、全然人の話を聞けないなと思って。最初の10〜20人は、自分が話すことで間を保たせていました。相手の話を聞きたいんですけど、聞き方がわからなくて。
そのあとは、自分が話していた時にされて気持ちよく話せた質問を真似して、聞くようにしていきました。
qbc:
うん。
西本紫乃:
相手の話したいこと、その人がやってきたこと、自分と近しいことで興味の湧くポイントがあるはずなのに、それをキャッチできない自分がいることに気がつきました。
まずそれに気づけたのは、大きかったです。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
何も聞かなくても話してくれるような話慣れている人もいて、そういう人の話を聞いたときに、すごいなって思いました。自分の中で聞き手が求めている質問を作って答えられている人がいる、と思って。
今まで何にも考えていなかったというか、部活で起きていたことが全部正しいみたいな感じだったので、それ以外で何かやってることがあるとか、こういう活動をしてるんだよねみたいな話に対して、そのまま受け取るというか、スッと入ってきたんですよね。
qbc:
うん。
西本紫乃:
それが良いとか悪いとかないと思うんですけど、素直に入ってきちゃって、疑問を抱いても質問できないので、たまに変な勧誘に危うく乗りそうになることもありました。
そういう人達に比べて、自分はこれというものがあまりないのかもしれないとも思いましたね。
チームとしてやってきたことはあるし、結果もあるけど、西本紫乃として考えていることってあるのかな?って、自分を見失うような感覚にもなりました。
qbc:
うん。
西本紫乃:
そんな感じで、ちょっと不安になりながら人の話を聞いてっていう感じでした。
qbc:
変な勧誘に引っかからなかったのはなぜですか。
西本紫乃:
素直に入っちゃうときもありましたけど、めっちゃ疑うようにしてました。あと、終わってから調べたりとか。
qbc:
引っかかることもあったのか。
西本紫乃:
はい。でも、わざとという感覚もあって。どういうところなのかちゃんと自分の目で見てから、身の危険を感じたら逃げようと思っていて、大きな失敗にはならなかったです。
qbc:
大金を払ったとか、洗脳に近い状態にはならなかった?
西本紫乃:
それは全然なくて。なぜなかったのかを考えてみると、チアをやっていたとき、「チアが好き」と口では言っていたけど、実際はそういう感覚ではなかったんですよね。チア自体が好きというよりは計画を立ててやることが好き、今その対象がチア。ということが高校時代に分かっていた。とっている行動と考えていることが分かれていた。
qbc:
へえ。
西本紫乃:
組織の中では、「チアが好きだとチアがうまくなる」っていう方程式が正しいとされていたから、チアが好きな自分として振舞っていたけど、実際私はそうじゃなくて。
計画を立ててやっていくことの方が好きなんだっていうことを自覚していて、そこはぶれなかったんですよ。
qbc:
何年生のときに気づいたの?
西本紫乃:
高校2年生の中頃ぐらい。
qbc:
何かきっかけがあったんですか?
西本紫乃:
私が2年生の時、1つ上の先輩が、計画を立てるというよりはめちゃめちゃがチアが好きでうまい、みたいな感じで。
センスで引っ張っていく感じだったんですけど、その先輩の元で動いてたときに、私はその引っ張り方はできないから、来年どうするかを2年生の間に考えておこうと思って。みんなから話を聞きつつ、自分の考えを固めていました。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
授業中もそれをずっと考えていて、他の人がやってないのに私は勝手にそういうことをしていたので。そこで気がついた感じです。
qbc:
ブレインと呼ばれたのはいつ頃?
西本紫乃:
3年生に入ってからですね。
qbc:
そういうことが繋がったってことですね。
西本紫乃:
そうですね。そういう動きをしていたから、3年生になってから本腰入れてその役割をやってよ、となりました。
qbc:
好きこそものの上手なれのセンス系と、計画系、その後JETSではどういうふうになってるか知ってますか。
西本紫乃:
今のチームですか?
qbc:
そうそう。それがJETSの文化として残ったのかを知りたい。
西本紫乃:
あまり後輩の話を聞くことはないんですが、先生の考え方的にはチアで優勝することも大事だけど、人間的に強く美しく生きていける人を増やしていきたいという感覚のある方だと個人的に思っているので。
だから、その代のメンバーを見て、どっちで向かわせればいいのかを判断されていると思います。
センス系のリーダーが生まれていたら、計画性も大事だということを分量多めで伝えているんじゃないかと。
qbc:
うん。
西本紫乃:
必要なときに必要なことを言ってくれるというか、こういう見方もあるんじゃないかっていうことを伝えてくださっていたので。
今はどっちかわからないけど、あからさまに「こっちがいいよ」みたいなことは言っていない気がします。
qbc:
顧問の先生が、しっかり見て決められているんですね。
西本紫乃:
そう思います。
qbc:
で、変な勧誘はその流れで気づけたと。
西本紫乃:
そうですね。表向きは面白そうですねって言うんですけど、自分の中では別に必要ないなと思っていたと思います(笑)
qbc:
うん。
西本紫乃:
でも、知りたいと思う気持ちが強くて。外にどういう社会が広がっているのかがわからないからそれを知りたくて、それで足を踏み入れていたんだと思います。
その人の信じているものを、同じように信じてみる経験をする、っていう感覚で。
qbc:
なるほど。1年生のときのトピックで、他に何かありますか。
西本紫乃:
100人と話していた時期と同じタイミングで、企業の長期インターンに参加しました。
qbc:
何のインターン?
西本紫乃:
営業で、売るものは色々な商材がありました。飲食店とかに決済端末の導入をしたり。
qbc:
電話営業じゃなくて直接?
西本紫乃:
電話もあるし、飛び込みもあります。
qbc:
へえ。
西本紫乃:
あとは、携帯のプランの切り替えを進める営業もやりました。それは友達に声をかけたりもしてましたね。
qbc:
一つの会社でやってたんですか。
西本紫乃:
はい。一つの会社で、いわゆる営業代行会社です。
qbc:
どんな感じでしたか。
西本紫乃:
体育会系の人がいっぱいいて、超歓迎されたんですよ。チアをやっていて、その感覚が似てたりするから。
qbc:
うん。
西本紫乃:
社内のルールも、体育会系の人たちのモチベーションが上がるようなインセンティブ設計だったので、ちょっと疲れるなって思いました。
qbc:
はいはい。
西本紫乃:
しかも、あまり考えることをさせない設計だったので、私の主観的にはつまらないと思ってしまった。
qbc:
うん。
西本紫乃:
でも、それを楽しんでやってる人もいるからそれはそれでいいなというか、私にはできないことなので、すごいなって思っていて。
qbc:
うん。
西本紫乃:
なので、その環境にずっといる社員さん達がどういう考えを持っているかとか、何を信じてやっているのかみたいなことを理解できるまでは続けようと思ってやってました。
qbc:
どういうインセンティブ設計だったんですか?
西本紫乃:
契約に繋がったら報酬が入る設計です。
その数が増えればベースの給料が出たり、組織を持って部下を育てていくと、またプラスで入ったり、みたいな感じ。それ自体は一つの報酬設計として、自分の生活に組み込まれる形で経験できて良かった。
qbc:
ベースの給料はなくて、フルコミッションってことですね。
西本紫乃:
そうです。今の自分はそれ一筋ではもうできないな、と思います(笑)
qbc:
修行みたいなやつね。
西本紫乃:
はい。大変でしたけど、勉強になりました。
qbc:
1年生のときの記憶で、その他はありますか?人間関係とか。
西本紫乃:
この人が親友だ!と思える人に出会ったのは、1年生のときでしたね。
qbc:
どんな方なんですか。
西本紫乃:
まず、共通点が多くて。
3歳からクラシックバレエをやってたり、大学で入ったサークルも学部も同じでした。
指定校推薦で入ったっていうのも同じだったので、高校の過ごし方もちょっとだけ似てて。
共通点は本当に多いけど、好みとかは全然違ったりして、似てる部分も違うところもあるよねって話が最初の方からできたんです。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
最初、「紫乃みたいに踊りたい」って言われて。ダンスの練習をやったりしてました。
そこから私はダンスから離れたので、ダンスは全然やらなくなってインターンに行ったんですが、その親友もインターンを始めてみたいと言うので、2年生からは一緒にインターンに行きました。
![](https://assets.st-note.com/img/1727096682-VDy84Qzar5bGChgsLAHP30pl.jpg?width=1200)
qbc:
へえ。
西本紫乃:
本人はあまり自分に自信がないと言うんですが、色々な経験をしてみたいっていう気持ちはあって、自信をつけるために努力する人です。
例えば英語だったら、毎日何ページ勉強するとか、何単語覚えるとか、そういうことをコツコツやって自信をつけていくタイプですね。そこがぶれない子。
qbc:
うん。
西本紫乃:
その子からは、紫乃と出会って殻を破れた、と言われます。それこそ私がいきなり100人と話すとか、1年生のときからインターンに行くとか言って動き始めてたので。
衝動的に何かを始めるけど、一貫しているものもある、と言うところを近くで見てくれていて、それが良い刺激になると言ってくれました。
でも自分は自分で研究したいこともあるから、紫乃のように色々な場所に飛び込むということはしないけど、そういう話を聞きたいし、自分が探求してるものについても話したい、っていう感じの子でしたね。
そんな話ができるようになったのは3〜4年生になってからですけど、そういう関係性の子と1年生のときに出会いました。
qbc:
ありがとうございます。
結構ボリューミーな1年で、全然あっさりしてないと思いますけどね。
西本紫乃:
確かに、そうですね。
qbc:
めちゃくちゃ重要なことをやられていたと思います。
ちなみに、そういう分析する感性ってどこから来たんですか?チアにいたときもだし、勧誘を受けたときも自分にフィットしてるかどうかを分析したりとか。
どこから生まれた感性なんだろう。
西本紫乃:
これだなって思うのは、家族だと思います。
qbc:
家族の誰?
西本紫乃:
両親。と、祖父母。
私は小さいとき、父と母とおじいちゃんとおばあちゃんと一緒に住んでいたんですが、父と母の考え方とおじいちゃんおばあちゃんの考え方が全然違ったんですよ。
qbc:
ええ。
西本紫乃:
わかりやすいところで言うと、良い学校に行きなさい、良い就職先に就きなさいみたいなのがおじいちゃんおばあちゃんで、父と母は好きにしなさい、自由にしなさいっていうタイプ。
そういう教育方針の違いがあったんですけど、両親もおじいちゃんおばあちゃんも、きっと同じぐらいの時間を過ごしたんですよ。
qbc:
うん。
西本紫乃:
その狭間で、どちらともと良い関係を築きながら、学校生活や家庭での生活を送っていて。
おじいちゃんおばあちゃんからしたら、私がチアのために高校を選ぶのは、そんなに良いと思われないことなんですよね。
偏差値だけなら、進学のためにもっと良いところに行った方が良いだろうと言われたりもしたんですけど、両親は「紫乃が行きたいところの方がいいんじゃない」っていう感覚で。
qbc:
うんうん。
西本紫乃:
制限をかけすぎる2人と、自由すぎる2人の狭間で生きていたから、この人に伝えるときにはこういう言い方をした方がいいな、というのを察知して動いたり伝えたりするようになった。
二つの価値観に対して自分の選択を説明するときに、どうやって自分の行いを言い訳しようかと考えながら生きていかないと、家族の関係性が悪くなるようなことが起きるから。
そのときの経験が、信じたり疑ったり、分析したり、本音と建前を使い分けるようになった根本なのかなと思います。
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終わりに
大学1年2年は薄い感じですよと言われて始めたら、あっというまに1年で終わってしまった回です。
そうなんだよねー。案外、話始めたら長いものなんですよ!!!!!
制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)
編集:erica(インタビュアー)
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