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『無名』が紡ぐローカルの物語 - 地域インタビューが見出す、普通の中の輝き

はい! こんにちは、こんばんは、おはよー!
ということで無名人インタビュー主宰のqbcです、栗林とも名乗ります!
ということでね、今回は「ローカルな人」マガジンのメインインタビューであるナカザワアヤミさんとゆいぴさんに対談チックにインタビュー受けてもらって、ローカルでインタビューすることの魅力を語ってもらいました。
うん。そして、今回は「ローカルな人」マガジンの制作メンバーも募集しますよ!

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未経験者、学生、オッケーオッケーです!

今回参加したのは ナカザワアヤミ さん!

と、ゆいぴ さんです!


1. 言葉の航海:地域を紡ぐインタビュアーたちの出会い

qbc:
まず自己紹介と、今やってるインタビューの内容を話していただいてもいいですか?

ナカザワアヤミ:
3年前に無名人インタビューに参加して、インタビュアーと編集をやっています。
2年前にRuralLaboさんという団体の方と関連する地域の方々に無名人インタビューをさせていただいて、そこからローカルっていう文脈で何人かインタビューさせていただきました。

2023年12月には海士町の複業協同組合の方と職員の方にインタビューを受けていただいたことをきっかけに海士町をテーマにしたインタビューっていうのをスタートしてきて、その企画にも関わらせていただいて、実際一度海士町にも伺って、関係の皆様のインタビューを現地とオンラインでもやらせていただいてます。

qbc:
ありがとうございます。ゆいぴさんお願いします。

ゆいぴ:
2024年の春から無名人インタビューに参加したゆいぴと申します。
普段は福島県の磐梯町というところで地域おこし協力隊をやってるんですけど、無名人インタビュー内では、「磐梯町の人たち」というマガジンのインタビュアーと編集を担当しています。

地域おこし協力隊として磐梯町の人たちの魅力とか深みを発信したいなと思ってインタビュー企画を個人的にやろうと思ったときに、たまたま無名人インタビューと出会ったので、いい感じに話が進んで現在に至るという形です。

2. 地域の鼓動を聴く:無名の声に宿る物語

qbc:
ざっくりでいいんですけど、地域インタビューってどういうものだなって思ってますか?

ナカザワアヤミ:
今ちょっと考えてるので、あれば先にちょっと行っていただいて…

qbc:
一般的な答えじゃなくて、自分にとってでいいですよ。
それぞれ立ち位置が全然違うので、見え方も違うと思う。そもそも一般人にとって地域インタビューっていうものは生きてきてかすりもしないようなものなので、そういう意味で、皆さんに知らせたいっていう感じですかね。

ゆいぴ:
さっきも言ったように、最初は磐梯町に住んでいる人の魅力を発信したいっていう単純な思いで始めたんですけど、最近は「インタビューした」っていう事実だったりとか、インタビュー記事が、ちょっと大げさですけど観光コンテンツになり得るなとか。
町内外の人たちとのコミュニティツールになり得るなと思って最近はやってますね。

qbc:
観光コンテンツってどんな感じですか?

ゆいぴ:
ちょっと言い過ぎなんですけど、例えば磐梯町を今まで知らなかった人だったり名前は知ってるけど行ったことない人たちが記事を読むことで、磐梯町にこういう人がいる、っていう新たな情報を得て、そこから派生していろんな情報を自分で能動的に得ることができたりとか、磐梯町に実際に訪れるとか、その記事に出てきた場所に行ってみたいと思ってくれたりとか。一番いいのはその記事の参加者インタビューの参加者に会ってみたいなかたちになって、人を呼び込む手段になるのかなと最近思ってます。

qbc:
なるほど。以前はそういうインタビューコンテンツを見たことはなかったんですか?

ゆいぴ:
自分自身はそれまでそんなにインタビュー記事自体を読んだことがなくて。

qbc:
なるほど。
地元のコミュニケーションツールっていうのはどういう感じなんですかね。

ゆいぴ:
磐梯町の方、磐梯町に住んでる方だったりとか、働いてる方に記事を読んだよって言われることがありまして。
磐梯町って小さい町だけど、みんながみんな顔見知りってことはまずないので。
例えば今だったら地域おこし協力隊をメインにインタビューしてるんですけど、特に磐梯町だと地域おこし協力隊の人数もまあまあいるので、そこまでまちの人たちにどういう人たちかっていうのを知られてないんですよね。移住者だっていうのもありますし。

その記事を読んで知ってもらうことで、「この人こういう人だったんだ、知れてよかったな」ってことでそこからコミュニケーションが生まれたりとか、この人にこれを頼んでみようかなっていう仕事に繋がったりとか。町内のコミュニティの活性化に繋がるのではと最近思ってます。

qbc:
なるほど。ナカザワさんはどうですか?

ナカザワアヤミ:
まず、私自身は結構これまで地域みたいな文脈には会社員時代からある程度関わってきていまして。地域の人のインタビューっていうと、ローカルで何かを成し遂げたヒーローみたいな人、すごい公務員の方とか、何か事業やられてる方とか取り組みが成功してる方とか。そういう類の方のこの人に取材して、この人はこんだけすごいことをやったんだよ、みたいな記事自体は結構あるなと思っていて。それ自体もすごく面白いんですけど、その人自体がどういう人なのかとか、どういうことを考えてる人なのかにはあんまりスポットが当たってなかったと思ってるんですよね。

海士町の方とかは特に、大人の島留学という制度で島にいる人とか、何かを成し遂げたというわけではないけど町で暮らしてる人と、あと普通に住民の方にもインタビューさせていただいたりしたんですけど、そういう方々の言葉っていうのはなかなかこれまで残ることはなかったんだなと改めて思って。
でもむしろそういう人たちの言葉こそ、その地域にどういう人がいるんだろうかとか、実際の魅力とか課題とか、特徴ってどういうところなんだろうみたいなのは、何気ない言葉とか何か生活感覚じゃないけどそういうのによってよりクリアになっていくというか、その辺は明らかにするものとしてあったらいいなっていうのは結構思ってます。

qbc:
なるほど。

ナカザワアヤミ:
RuralLaboさんのときも、辰野町の野澤さんのインタビューをさせていただいて、彼もすでに有名な方で、ローカルな雑誌にも取り上げられたこともあるような方なんですけど、そういう方にも「趣味は何ですか?」とかそういう話をする。多分、野澤さんがバイクで日本海にも太平洋にも行ってるんだみたいな話を雑誌に載せた人って今までいなくて、そういう部分の希少性もあるし、でも、どういうことを楽しみに生きてる人なのかにちゃんと繋がっていく面白さとかもありましたね。

3. 対話の化学反応:異なる視点が織りなす地域の肖像

qbc:
ゆいぴさんは中から中の人のインタビューっていう形で、ナカザワさんは外から中の人へのインタビューっていう違いがあって。それは一つの視点ではあるんですけど、お互いに感じたことがあったら質問をし合ってもらえたらなと思うんすけど、どうですか?

ナカザワアヤミ:
ゆいぴさんはインタビューはオンラインじゃなくて直接やってるんでしたっけ。
対象の方とリアルに会って、これまでとこれからのある人間関係の中でインタビューされてると思うので、インタビューを通して変わったことがあるのかとか、そのコミュニティ内でのインタビューの効果みたいなのがあったらちょっと聞いてみたいですね。ゆいぴさんとその人の関係性とか。

ゆいぴ:
関係性、そうですね。
おっしゃる通りで、今現在インタビューしてる人はもうほぼ全員顔見知りで、オフラインで対面でインタビューしてるんですけど。正直関係性っていうのはあんまり変わった気はしてないですね。私の中では、インタビューしてるときはその人の知り合いの私というよりは、インタビュアーのゆいぴですっていう形で接してるので、最初はそこに意識を持ってくのが大変ではあったけど、今はそんな苦ではなくなってますね。
雑談とかで情報を引き出すのとはまたちょっと違う視点で話を聞いてるから、コミュニティだったり関係性にそのインタビューが良くも悪くも影響を与えるっていうことは今のところはないかなと思ってますね。

ナカザワアヤミ:
なるほど。

qbc:
より仲良くなったりはしてないんですか?

ゆいぴ:
より仲良く…まあその人の情報が入ってくるので、話のネタが増えるっていうことはどうしても発生してしまうんですけど、そこから急速に親密になるようなことは、今までインタビュー受けた人は1人もいないかもしれないですね。ただ同じ時間を一緒に過ごした人として仲良くっていうのはあるんですけど、インタビューを受けたことでめちゃくちゃ仲良くなったみたいなのは、ないかもしれないですね。

qbc:
なるほどね。ゆいぴさん自身はその人に対してどういう気持ちになりました?関係性は変わらなかったとしても。

ゆいぴ:
インタビューしているときとインタビュー終わった直後とか編集中っていうのは、その人に対しての気持ちが高ぶるというか、「いいな、この人」みたいな気持ちにはなるんですけど、一通りの作業が終わった後にその気持ちはどっか行ってますね。また以前までの関係性の延長というか、これからもよろしくねぐらいの気持ちで普通に接しちゃってるかもしれないし、何か特別な感情が生まれるとかっていうのはないです。

qbc:
終わりって記事公開っていう意味ですか?

ゆいぴ:
編集作業が終わったらですね。

qbc:
ナカザワさんは何かあります?そういう関係性と自分自身の気持ちの変化とか。

ナカザワアヤミ:
うーん、私の場合はインタビューをさせてもらって、その後に関係性が続くっていう例は結構ありましたね。例えばインタビューした後に実際にイベントで直接お会いしてご挨拶してとか。こっちは一方的にいろいろ聞いたから、会う前から相手のことを知ってるみたいな状態っていうのはなんかちょっと普通の人間関係ではないなって思いながら接してるところはありますね。

でも、もちろんいい人たちだったっていうのもあると思うんですけど、聞くと話すみたいな関係性が一度あったからこそ、なんかお互いのことをちょっとリスペクトじゃないけど、私はすごいいろんな話を聞かせてもらってすごい人だなとか面白い人だなと思った状態で会ってるし、向こうの気持ちは変わらないので何とも言えんですけど、おそらく、ちゃんと話を聞いてくれた人、っていうんですかね。そういうコミュニケーションを1回取った人みたいな感覚で話したりできるので割と信頼関係というか、お互いに対していい感情を持った関係性があるのかなって勝手に思ってました。

qbc:
うんうん。

ナカザワアヤミ:
ご縁がその後も繋がったりできると楽しいですし。

qbc:
やっぱり立ち位置というか、人間関係の作り方の順序が2人とも違うから、オフラインから始まった人、匿名オンラインから始まった人っていうところが全然違うなと思いましたね。

ナカザワアヤミ:
そうですね。私はインタビューでちょっと手探りで探っていって、その後実際会うみたいな感じだったので徐々にその人が見えてくるし、あと実際に会ってからしばらくしてから、インタビューで言ってたな、なるほど、みたいに思うときがあったりとか。そういうのは多分ゆいぴさんとは結構違う感じですよね。

4. 郷土愛の源流:地域との絆を紡ぐきっかけを探って

qbc:
そもそも、インタビュー云々の前に2人とも個人として地域にかかわろうとしたきっかけがあるんですよね。どんなきっかけだったんですか?

ナカザワアヤミ:
私はそもそも出身が新潟県の田舎の方ではあって、そういう意味では地方出身者っていうところの関わりがありまして。
子供時代田舎で過ごして、普通に大学に行って就職する、何となく自分の将来みたいなところがちょっと見えたとタイミングで、卒論で自分の出身地域の人に移住してくる人とずっと住んでる人の意識の違いをインタビュー調査で分析するみたいなテーマをやったんです。

やっぱりどこか地方と、地方の今後みたいなのはきっと心の奥底では疑問を持ったまま研究でもそういうのやってたんだと思うんですけど、深く考えずにやってて。その中で地方の人の話を聞いたときに、人間が生きるには、私の想定してる範囲内だと大学行って就職して会社員として働き続けるみたいなそういうのしか想像がつかなかったんだけど、実際にいろいろ聞いてみると、人生って意外と何とかなるし、いろんな生き方がある、そういう多様性みたいなのが地域ってめっちゃあるなって思ったときに、ローカルみたいな場所って面白いなっていうのは結構思って。

そういうところからもちょっと地域の人だったり地域のあり方事業の仕組みみたいなところに関わる仕事をしようかなと思って、最初会社員自体その行政向けの行政クライアントの仕事を始めました。

qbc:
今は地域っていうものに対しての距離感は、始めた頃に比べてどうなってますか?

ナカザワアヤミ:
距離感は近づいてるんじゃないですかね。実際今会社員を辞めてローカルに直接入る仕事をしてますし、インタビューでそういう人の話を聞く機会も増えたし。
何となく地方創生とか、そういう感じじゃなくて、もうちょっと自分の中で具体的にあの人を面白いよね、とかに変わってて。
それと同時に、せっかくいろんな人の話を聞いてきてるので、地域っていうのをあえて抽象化して整理するみたいな、論文書くまでいかないけど何か自分の中でうんしっかり考えてみたいなって思っています。

qbc:
特定するわけじゃないんですけど、その面白い地域っていうなんか面白さに地域の差はあります。

ナカザワアヤミ:
うーん、差ですか…

qbc:
人それぞれ好みがあると思うんですけど、ナカザワさんの中に優劣はあります?優劣って言うと尖った言い方になるんですけど。

ナカザワアヤミ:
そうですね。なんか地域独自の、自分で生きてる感というか、あとクリエイティブさとか、なんていうんだろうな、1人の人間ができることの範囲が広い方が面白いなって思っていて。
会社員っていう枠内でやれることと、地域の何とかさん、なんかあの人はすごいよねとか、なんかいつもいろいろやってるよねみたいな人ができる範囲とか影響を与える範囲って結構違うなって思ってて。1人の人間が自分として活動できるとか、そのままあれる、みたいなゆとりのある地域だと面白いなと思いますね。全然うまく言えないですけど。

qbc:
なるほど。
ゆいぴさんはそもそも地域に興味を持つきっかけはなんでしたか?

ゆいぴ:
そもそも、以前は全然地域に関係のないような会社に勤めていて、それをやめた理由が、旅をしながら生きていきたいなって思ったからなんですよね。
旅っていうのは、二、三日そこに滞在して、観光地、有名な観光地巡って楽しいっていう旅じゃなくて、その土地のことをちゃんと知る。その土地の生活とか文化とかを理解したりとか地元の人と関わったりしながら、長期の滞在を目的とした旅をしたいって思ったんですよ。
それって完全に自分の知識欲とか学習欲とかを満たすための旅ではあるんですけど。そこが地域に興味を持ち始めたとっかかりというか、地域と関わりたいなと思ったとっかかりではあるんですよね。

qbc:
なるほど。

ゆいぴ:
で、そこから、いろんな人多様な人たちが、一つのより良いものを目指して活動していくっていうコミュニティに関わりたいなって思い始めて。いろいろあるとは思うんですけど、その中でも私は、地域を盛り上げよう、地域を盛り上げるべく、みんなで手を取り合って頑張りましょうというコミュニティって、地域おこし協力隊かもしれないな、と。
そもそもその時点で地域おこし協力隊っていう制度は詳しく知らなかったんですけど、調べてるうちにこれかもしれないなっていうふうに思って、関わり出したのが地域との関わりの理由かなっていう感じですね。

qbc:
なるほど。今は地域との関わりっていうのはどんな感じなんですか。

ゆいぴ:
今は、もう自分自身が地域おこし協力隊として磐梯町に移住してきている立場で、「ローカルな人に関わる人」ではなく「ローカルな人」になってしまったので、ここはちょっと、なんだろうな、不思議な感覚というか。
最初はその人たちに関わり合う人になりたいと思っていたので。それがいつの間にか自分がその当事者になってしまってて、おやおやいつの間にかローカルな人になってるぞっていう感じではあるんですけど

qbc:
今ちなみに旅欲求っていうのはどうなってるんですか?地域にいて、そこに定住しようという気持ちに切り替わってしまったようですけど。

ゆいぴ:
そうですね。もちろん定住したいと思っているんですけど、旅欲求自体は別になくなっているわけではなくて、今でもいろんなところに足を運んで、その土地のことを知りたいなっていうことはもちろん思ってて。
でも最初にそれを思い始めた当時は単純に自分の知らないことを知りたいとか、ただ単純に興味があるとかっていう中で、その土地土地に足を運びたいと思ってたんですけど、今はそれプラス、何か磐梯町と繋げられるところがないかなみたいなそういう視点でその地方の地域のことを見てる節はありますね。

5. 心の軌跡:地域インタビューが映し出す内なる変化

qbc:
地域インタビューに関して、初期はこんな感じだった、こんな気持ちだったんだ、みたいなそういう部分ってありますか?

ゆいぴ:
私は、単純に楽しみだなっていう気持ちはありました。

あとは、無名人インタビューに出会う前に個人的にインタビューの企画やりたいなと思ったところで出会ったので、いい偶然に恵まれたなみたいな、やったぜみたいなところはありましたね。

qbc:
ゆいぴさんは元々なんで無名人インタビューに参加したんだっけ?

ゆいぴ:
最初はモニターとして応募したんですけど、何でモニターに応募しようと思ったかっていうと、自分でインタビューの企画やりたいなと思ってたときに、インタビューのことを私はど素人何もだったので、知りたいなと思ったところから入ってるんですよね。それがきっかけというか。

qbc:
なるほど。何か不安とかそういうものはなかったですか?

ゆいぴ:
不安はなかったかもしれないですね。

qbc:
最初だからあったこととか、最初に印象的だったことはあります?

ゆいぴ:
強いて言うんだったら、その本当に一発目の人のインタビューときはめちゃくちゃ緊張してました。
インタビューし始めると割と緊張ってほぐれるんですけど、する前とか序盤は結構緊張してましたね。もう知り合いとかそういうのも関係なしにドキドキしてました。

qbc:
なるほど、なんで緊張したかって覚えてますか?

ゆいぴ:
なんでしょうね。インタビューは60分やってるんですけど、始めた当時はまだ自分の気持ちが前に出過ぎている時期で、その60分の中でこの人のことを引き出さなきゃ、って思ってる節があって。今はあんまり思ってないんですけど、それは確かに不安に繋がるのかな。引き出せるかな、引き出さなきゃ、みたいな、使命感みたいなことを持ってしまっていて。今思い返せばそこで緊張が生まれたのかなって。

qbc:
ちなみに今はどんな気持ちになってるんですか?

ゆいぴ:
今は、その人のことを引き出さなきゃ、みたいなのはまったく思ってなくて、単純にこの人の話を聞きたいって思ってる方が強いかな。

qbc:
聞きたいと引き出そうってどう違います?

ゆいぴ:
「引き出したい」は、エゴじゃないけど、ちょっと自分の欲求が入りすぎてるなというか。相手の気持ちは正直わからないですけど、相手が引き出してほしいと思ってるかはわかんないじゃないですか。別にただ話に来てるだけなのに、なんかこの人、自分のことを引き出そうとしてる、とか自分のいいところを見出そうとしてるなって感じさせるのって、無名人インタビューの意味ないな、と今は思ってるんですよ。

qbc:
うん。うん。

ゆいぴ:
そこの違いですかね。ただ私は話を聞きたい。単純に。その人のいいところを知りたいとかっていうよりは、ただその人の話を聞きたいっていう感じなので。そこはちょっと違いますね。

qbc:
ありがとうございます。
ナカザワさん、気持ちの変化っていうか最初から最初のときの気持ちっていうのは。

ナカザワアヤミ:
ここも結構ゆいぴさんとその状況が違うところで、元々多分1年くらいは地域と関係なく無名人インタビュー普通にやってたんですよね、まず。
ローカルな人のインタビューにかかわる最初のころは、ちょうど無名人インタビュー自体の体制も変わる中、地域っていう文脈も出てきたところで、最初の人、小菅さんのときは、自分の好きな地域視点のインタビューをするということに対して楽しみだったけど、ここで失敗したらどうしよう、というか、なんかちょっと別の緊張感があったというか。

qbc:
はいはい。

ナカザワアヤミ:
なんていうんだろうな、具体的に何かこれが不安っていうものがあったわけじゃないんですけど、何となく無名人インタビューの文脈と自分の興味みたいなところがどういうふうになるのかなとか、この1時間でどんなことが聞けるんだろうかみたいなところが、普段の無名人インタビューとちょっと違った緊張感があったなって。

でもやってみたら、無名人インタビューだからローカルじゃない質問から入っていくんですけど、やっぱりそういう文脈にどこかでちゃんと最後は着地するというか。あえて地方がどうだとか聞かなくても、ちゃんとその人のコアに地域みたいなものがあったりすると、ちゃんとそういう話ができて、なんか、よかったなと。最初はそんな感じだったなって思いますね。

qbc:
RuralLaboさんとのインタビュー開始前には小菅さんはじめ数名と打ち合わせしましたよね。こういうふうにしていきましょう、複数回やりましょうみたいな話をして。
最初は、この質問を入れるべきですか、どういうふうにしたらいいですかっていう質問が多かった気がしますね。事前に。

ナカザワアヤミ:
そうですね。向こうとも、どうしよう?みたいな感じになった気がします。

qbc:
今現在はどんな感じになりました?

ナカザワアヤミ:
今はさすがにそういう緊張感は結構薄れてきていて、その地域との関わり度合いとかによってその人のコアにどのぐらいローカルが噛んでくるか結構ずれるので、その辺は面白いなと思いながら聞けているかなって思います。

あと結構、人数的にもいろんな人に聞いてきたので、ローカルにご縁がある人、なじむ人ってやっぱり何パターンかの類型ってきっとあるんだろうなと思うんですけど。こういう人かなとかちょっと想像しながら、でもここはこないだの人と似てるけど全然違うこと言ってるな、とかをちょっと楽しむ余裕とか、自分の中での世界観がちょっとできたかなって思います。

6. 輝く瞬間:地域インタビューで出会った宝物

qbc:
シンプルに、地域インタビューしてて一番良かったなって思った瞬間は何かあります?

ゆいぴ:
一番…私は以前インタビューしてもらったときにも言ったんですけど、そもそも磐梯町のインタビューを始めたのが、磐梯町の人のいいところとか魅力を発信したいっていうところだったんですけど、序盤にインタビューした人が、そういう私の気持ちの汲み取りとか打ち合わせとかも何もなしに、「磐梯町といえば人だよね、人」みたいなこと言ったんですよね、インタビュー中に。
そのときに、始めてよかったなって思ったので。何人もインタビューしてるけど、未だにそれが一番良かったなと思った瞬間ではありますね。

qbc:
なるほどね。ナカザワさんは?

ナカザワアヤミ:
一番がちょっとなんか、全然決められないんですけど、あえていうなら…
明確にどの瞬間っていうわけじゃないんですけど、あって思ったのは、海士町インタビューで「あなたにとって海士町はどんな場所ですか」って必ず聞いてるんですけど、そのときに帰ってくる答えが、なんか似たようなこと言ってくる人いたりして。

海士町だと、出会いたいものに出会えるとか、引き寄せ力があるみたいなこと言ってる人が結構多いような印象があって。ちょっとスピリチュアルっぽい話をしてた人もそう言うし、全然そういう話してなかった人も言ってくれたりすると、それってすごいことだなって思ったりする。全然違う人が似たような言葉で語りたくなるまちって面白いな。聞けてよかったなって思ったりしますね。

7. 未来への種まき:地域インタビューが描く新しい物語

qbc:
じゃあ、未来ですね。今後、地域インタビューっていうものを自分の中でどうしていこうかなとか、こういう企画を考えてるとかでもいいんですけど、未来どういうふうに展開していこうと思ってらっしゃいます?

ゆいぴ:
私はですね、さっきもお話したんですけど、一つのまちのことを知るとか、まちに興味を持つ一つのコンテンツになるなと思ってるので、磐梯町で行ったインタビュー記事が何かのきっかけになるといいなって思ってます。その記事を読んだことでめっちゃ影響を受けました、とか、そこまではあんまり求めてなくて、読んでくれた読者の皆さんの何かのきっかけになればいいなと思ってます。
磐梯町に来る、磐梯町を知る、ゆくゆくは磐梯町に移住するとか。そういうコンテンツというか、ツールになればいいなと思ってます。

qbc:
うんうん。ナカザワさんはどうですか。

ナカザワアヤミ:
まず前提として、ローカルにいるヒーローだけじゃなくて普通の人、名もなき人というと失礼ですけど、そういう人にしっかり話を聞くツールとして、あり続けるべきかなって思っています。こういうふうに人生を語っていただくっていうのはどんな方でも本当にできることだから、そういうものとしての価値は引き続きこの無名人インタビューローカル編みたいなところが持っていてほしいなと思うし、それが面白いなって私は思ってるので。そういう視点を持ったまま継続できたらいいなっていうのがあります。

qbc:
うん。

ナカザワアヤミ:
あと、具体的な企画ではないんですけど、そういう人たちの繋がりをつくるものとしてあれたらいいのかなって思ってます。
バリバリ面白いことやってて、みたいな人だけじゃなくて、ちょっとゆるく地域にいる人とか、今はちょっとできないけど機会があったらやってみたいなくらいの人たちが、何となく繋がっておける場所とか、逆に私がそれをそういう人がいること知ってて、何かあったら繋げられるようにとか、そういう機能になったらいいのになとはちょっと思いますかね。

8. 普通の中の奇跡:記録したくなる"ふつう"の魅力を探る

qbc:
ありがとうございます。
なんか、ローカルな人インタビューってしてますけど、記録しなくてもいいわけじゃないすか。2人とも記録するっていうことをされていて、何で記録するんすかね。

ナカザワアヤミ:
インタビューという形で、ってことですか?

qbc:
そうですね。あんまり飾らない形でその人の人生を記録するのはなんでですかね?引き出そうともせずに、ただ話を聞くっていう。ヒーローの目立ったところじゃなくて平日っぽいところを切り取ろうとしたりとか。

ナカザワアヤミ:
ヒーローの平日。

qbc:
それってなんだと思います?それに触れたときどう思いますか?記録はともかく、それに触れたいと思ってますよね、2人とも。

ナカザワアヤミ:
うーん。なんで聞きたいかっていうのは、正直私の中で今では楽しいから、としか答えられないので、答えではないですけど。
社会的な意義とか一旦はなくてもいいかなと思うんですけど、やっぱり記録に残す残さないは置いておいて、聞き手と話し手であるっていう場所の設定があることで、すごい聞きやすいなと。

qbc:
うんうん。

ナカザワアヤミ:
なんか地域って、地域もそうだし1人1人そうだけど、それぞれの何か生活感覚というか、何か触ってる言語感とか多分あるはずで、地域を知りたいって思ったときに、どういうことをしてる場所なのかとか地理的特徴なのかとかもそうだけど、そこにいる人がどういう言語感で喋ってて、毎日何を見ているのかって結構そのまちの暮らしの根幹に関わるところだと思うんですけど、なんか普通に喋るだけでそういうとこって聞けないですよね。

地域を知るとかその人を知るみたいなときには聞きたいけど、生活の中心は仕事ですか?とか言わないじゃないですか、普通の人間関係で。そのインタビューみたいな場があると、そういうふうにもうなんかちょっと聞きづらいことを聞けたりするから。そういうものとしてはすごいありがたいなと思うし、形式があることでも面白さもあると思っています。

qbc:
なるほど。ゆいぴさんは最後に言い残したことありますか?

ゆいぴ:
うーん、そうですね。地域おこしをしてる身として、こんなこと言うのもあれなんですが、地方創生っていう言葉が嫌いでですね、私は。地方創生は東京のうぬぼれですよって私よく言うんですよ。

qbc:
うんうん。

ゆいぴ:
東京は首都なので、中心であることは間違いはないんですけど、東京を基準にして地域を良くする必要はないよっていうふうに私は思っていて。ローカルにはローカルの良さがあるし、アイデンティティがあるし。

もちろんその人口減少だったりとかそういう課題を解決するために、東京から見ることは必要ではあるとは思うんですが、そこを中心にしなくてもいいよって私は思ってるんですよ。
人も同じで、なんだろうな、その人それぞれの良さとか、魅力が絶対にあると思ってるので、それは別に引き出してどうこうっていうことではなくて、もうにじみ出る何かがきっとあると、無名人インタビューを今までしてきて改めて思ったので、それはこれからも発信・記録できたらなと思ってます。

あとがき

無名人インタビューローカル部門は2022年5月から始まり、2024年8月13日現在「ローカルな人」は47本、「無名人イン旅ューin海士町」は37本、「磐梯町の人たち」は8本の記事が公開されています。
インタビューと地域が好きだった会社員のナカザワがウキウキと緊張しながら地域の人インタビューをさせていただいたところから、大変ありがたいことに輪が広がり、主催のqbcさんをローカルに連れ出し、気づけば私も会社を辞めて地域と東京を行き来するようになりました。
感慨深さもありつつ、これから広がる未来に期待感をもちながらこの記事を編集できること自体がどんなに幸せなことだろうか、と。

インタビューを通して出会ってくださった皆さんに、改めて感謝と愛を届けられますように。これからも走っていきたいと思います。
(編集・あとがき:ナカザワアヤミ)


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