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大学授業一歩前(第108講)

はじめに

今回は芸人のマザー・テラサワ様に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。テラサワ様のブログは👇にあります。そちらもご覧くださいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:1982年北海道北見市出身。横浜市立大学卒業後、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程進学。政治思想、特にハンナ・アーレントの思想研究を通し人間が全体主義に加担するメカニズムについて考察。しかし研究に行き詰まり大学院を除籍。次第に半分は研究からの逃避、もう半分は表現の矛先を変えたいとの思いから芸人を志す。現在「哲学芸人」を標榜し、東京都内のお笑いライブや自主主催の思想書解説セミナーにて活動中。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:どんな人やコミュニティに関わるか、何を研究するか、或いは一切人との交渉を絶つのかを含め、大学は究極の自己選択の世界です。元々主体を持つ人にとって心地が良い反面、それを高校まで押さえつけられてきた人には戸惑いもある場でしょう。大小様々な判断に迫られるのが社会だとしたら、判断の基になる経験はあり過ぎても損は無いです。学問、サークル、アルバイト…これと決めたことはとにかく手を付けてみて欲しいです。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力はどのようなものだとお考えになりますか。

A:知識や思考、経験を際限なく吸収出来るのが大学生の特権で、それは活かすべきだと考えます。自分が触れた政治思想というジャンル一つとっても、政治学は勿論、哲学や文学、社会学や心理学、文化芸術などの議論にも話が及びます。「無駄」は無いしむしろ「無駄」に真理が潜んでいることもある訳です。あえて必須の能力は何かと問われれば、「役に立つ/立たない」という極端な価値合理的判断に陥らないことでしょうか。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えてください。

A:芸人目線で言えば、言葉や見方のストックが多い人は得てして当意即妙なユーモアを繰り出すのが得意です。極論面白くなるため無意識的に学んでいるというのはあるかもしれませんね。より学問的な点からだと、優れた思想家は予言者だということが学ぶと分かってきます。何もそれはその人が神秘的だという訳じゃなく、思想家の精緻な分析の必然なんですが。温故知新じゃないですが、未来を知るため過去に学んでいる部分はあります。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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A:無着成恭編(1995)『山びこ学校』岩波書店。「なぜ学ぶのか、何を学ぶのか」、こんな迷いを抱いた時読んで欲しい一冊。戦後間もない山形県の山村に住む中学生の文集ですが、貧困と物不足に陥った生活状況が朴訥な文体で時に涙ぐましく、時にユーモラスに著されています。そして生活を綴ることを通し、生徒達はその原因や改善策など学問的な考察に至っていきます。学びは身近で些細な引っ掛かりから始めても良いと真の意味で教えてくれる本です。

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:世間的な基準からするとあまりに特異な生き方をしているであろう人間の言葉なので、ここまでを真に受ける/受けないは自己責任でお願い致します笑。しかし間違いなく言えるのは、大学に籍を置いていた数年間が無ければ私は「哲学芸人」の看板を掲げ活動することは無かったという事です。そういう意味で、大学は見知らぬ自分に出会うチャンスの場なのかもしれません。どうか豊かな出会いをと、遠巻きながら願う次第でございます。

おわりに

今回は哲学芸人のマザー・テラサワ様に記事を寄稿して頂きました。👇にテラサワ様のYoutubeもございます。

私自身進路に悩む若者ですが、テラサワ様の生き方には勇気を頂けました。大学を去っても学ぶことは継続出来る、大学だけが学びの場では無いことを体現してらっしゃると思います。私も私なりの在野研究の道を模索していきたいと思います。次回もお楽しみに!

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