大学授業一歩前(第132講)
はじめに
今回は労働社会学がご専門の常見陽平先生に記事を寄稿して頂きました。大変お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、ご一読下さいませ。
プロフィール
Q:ご自身のプロフィールを教えてください。
A:千葉商科大学国際教養学部准教授の常見陽平です。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業などの実務経験を経て、30代後半に大学院に進学し、2015年に本学部の立ち上げと同時に専任教員として着任しました。
専攻は労働社会学で学校から職業への移行などを研究しています。大学では労働社会学、キャリア教育科目などを担当しております。学部の運営に、学外での評論家活動にと幅広く活動しています。
オススメの過ごし方
Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。
A:「どこにでも行けて、誰にでも会えて、何にでもなれる」という大学生の特権を活かしてもらいたいです。新型コロナウイルスショックがもう一段落したら、海外に旅立つ学生が劇的に増えるのではないかと見ています。 「フリーペーパーの取材」「講演会の開催」「研究のための聞き取り調査」など様々な手をつかって著名人と会うこともできます。
大学に通いながら起業、社会運動、YouTuberなど何か新しい活動を始めるのもアリですよ。
必須の能力
Q:大学生に必須の能力を教えてください。
A:突き詰めると、好奇心と行動力です。真面目なことから下世話なことまで、興味を持ち、思い立ったらアクションしてみる、と。興味を持ったら、すぐに部屋から飛び出してほしいです。世の中は、常に「不思議」の連続のはずです。
大学生という立場、さらに自由を活かし、自分の幅を広げていって欲しいと思います。「取り除きたい違和感」と向き合う勇気を。結果としての経験の堆積、さらにはその意味づけが大事です。
学ぶ意義
Q:先生にとっての学ぶことの意義を教えてください。
A:石を投げられそうですが、「学ぶ」という言葉を久々に意識しました。 普段は「学ぶ」ということをほぼ意識していません。知りたいことについて先人たちの研究成果にふれ、圧倒される日々です。自分には「知らないことがある」ということを何度も再確認し、自分の小ささを感じつつも、前に進むことの繰り返しです。
苦しくて、楽しいことであり、日常的な取り組みです。「生きているな」と実感します。人生の喜びのひとつですね。
オススメの一冊
Q:今だからこそ大学生に読んでおいてほしい一冊を教えてください。
A:昨年、数々の賞を受賞した『サラ金の歴史』(小島庸平 中公新書)です。学生の皆さんは「サラ金」という言葉を知らないかもしれませんね。消費者金融や借金という言葉を聞くだけで嫌な気分になるかもしれませんが、これはセーフティーネットとしても機能していたわけです。
サラ金の変化を丁寧に捉え、日本社会、会社員や家族のあり方の変化をあぶり出した傑作です。好奇心を抱くということの素晴らしさ、「学び」の喜びがわかる本ですよ。
メッセージ
Q:最後に学生に向けてのメッセージをお願いします。
A:学生にとって、こんなに面白い時代はないと思います。100年に1度の変化が毎年起こる時代ですから。ますます正解が分からない、混沌とした時代は、新たなチャレンジがしやすい時代でもあります。
新型コロナウイルスショックに、戦争など、悲しい出来事も多い時代ですが、こんな時代だからこそ、知性、理性が必要です。新しい大学生活像をつくってください。面白い人になってください。楽しむことをサボらずに。応援しております。
おわりに
今回は労働社会学がご専門の常見陽平先生に記事を寄稿して頂きました。大変お忙しい中作成して頂きありがとうございました。
自分には「知らないことがある」ということを何度も再確認し、自分の小ささを感じつつも、前に進むことの繰り返しです。
苦しくて、楽しいことであり、日常的な取り組みです。「生きているな」と実感します。人生の喜びのひとつですね。
学ぶことは生きることと繋がっているのかしれないと私自身も感じました。日々の生活こそが学びの第一歩なのかもしれません。次回もお楽しみに!!また、常見先生とお会いすることが出来たのは神保町の書店PASSAGEでのイベントでした。本や人と出会い、新たな発見があるかもしれません。