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大学授業一歩前(第124講)

はじめに

 今回は佐藤良明先生に記事を寄稿して頂きました。大変お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、今回もご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:佐藤良明(さとう・よしあき)
 アメリカの文学・思想・音楽・言語・文化。音楽家ジョン・レノン、思想家グレゴリー・ベイトソン、小説家トマス・ピンチョンなど、アウトサイダーの仕事に惹かれ、機能していない日本の学校英語教育をなんとかしたいと思って半世紀、負け続けてきました。放送大学で『アメリカの芸術と文化』『ビートルズで英文法』を開講中。後者はネット開放しています。

オススメの過ごす方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:管理されない時間がたくさんあることを「宝」だと感じてください。我が物顔で生きられる状況は、よほどの地位を獲得した人にしか許されないものですが、学生時代には、その気になればいつでも可能です。
 コロナによる社会的活動の制限を、個人的な自由の拡張に結びつけましょう。と同時に、より親密な関係の構築を目指してください。腹の内をタメ語で話す関係は、一生の宝です。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになりますか。

A:「犬も歩けば棒に当たる」という諺があります。歩く力。動き続ける力。偶然を許容する心。社会人になると、これがなかなか難しいんですね。  どこかの時点で、旅を計画しましょう。
 カネの支配圏から這い出る能力。アジアの隣国でもいいし、日本列島自転車の旅でもいい。新しいことに出会う能力と、その能力を伸ばす能力。出来合いのフォーマットから外れる能力。現実を笑い飛ばす能力。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義を教えて下さい。

A:生きるとは、時を進むことですが、時は変化の別名。そして変化は学習の別名です。人は日々学ばずにはいません。しかし緩慢に、苦痛を伴って進む、人生の学びの他に、書物や映像から学ぶ、クイックでエキサイティングな学びがあります。
 私は専門家ではなく、教養過程の英語教師でいることに価値を求めて大学に職を得た者なので、今も大学生のように学ぶことを日常にしています。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えて下さい。

A:書店に行くと、お金の本と、キャリアアップや自己啓発の本、あるいはいかにも売れることを狙った文庫と新書が目立ちます。それらをかいくぐってあなた自身が見つけた本ならすべてお勧め。
 私の場合、大人になるのが嫌で、ふと手にとった宮沢賢治の童話が、いい滋養になりました。宮崎アニメのファンなら、その一歩先に宮沢ワールドを見いだすでしょう。往年の日本の山里が、視聴覚的イメージ豊かな日本語によって呼び起こされる魔法のような世界、お薦めです。

メッセージ

Q:最後に学生に向けてのメッセージをお願いします。

A:もう十分書きました。学生生活といっても、20世紀のイメージしかないので、そろそろ口を閉じましょう。

おわりに

 今回は佐藤良明先生に記事を寄稿して頂きました。大変お忙しい中作成して頂きありがとうございました。

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 実は私自身、先生の著書『英文法を哲学する』アルクを拝読し、英語の見方が大きく変わった物です。いつものテキストとは異なった英語の視点を学べる一冊です。オススメの一冊です。

「犬も歩けば棒に当たる」という諺があります。歩く力。動き続ける力。偶然を許容する心。

 私も引き続き、歩き、動き続けていきたいと思います。次回もお楽しみに!!




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