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独立記念日前夜祭
朝起きて時間を確認する。
時刻は10時37分、まだ朝といってもいいだろう。
休みの日はもう少し遅くに起きるが今日はやることがある。憂鬱に思いながら屍のような体に鞭を打つ。
朝は嫌いだ。でも今日だけは起きないといけない。
顔洗い歯を磨きながら今日のメイクと服を考える。
フォーマルなタイトワンピースは力みすぎる、カジュアルな格好だと締まりがない。
熟考した末、オーバーサイズのダメージジーンズに首元がゆったりと空いた、白いロンTにした。上から黒のロングコートと黒革のピンヒールを身につける。カジュアルすぎず、フォーマルすぎない。今日の私の戦闘服はこんな気分なのだ。
ベランダでタバコを吸いながらタクシーを呼ぶ、行き先を前もって決めるため、何度も何度も住所を確認した。
心なしかわすがに手が湿っている。上手く灰を落とせないタバコを消し、諦めてタクシー呼んだ場所へ向かう。
タクシーの運転手は気さくなおじさんで、いろんなことを話した。昔別の国に住んでいたこと、今住んでる場所が1番住みやすいと感じたこと、今日は雨が降ること。
他愛もない穏やかな会話に安心していく、今日という日に運転手の彼が居合わせてくれて良かった。
楽しいドライブは目的地に到着して、終わりをむかえる。
初めて行く場所はスマホの地図を見ながら一つ一つ建物を確認し、辿っていく。
少し重い扉を開き警備員による荷物の検査を終わらせて奥へ進む。
心臓が体全体に脈を打っているのが聞こえる。
独立記念日前夜祭。
私は離婚届を出した。