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【掌編小説】カバンの中の

カバンにいっぱい詰めたはずの夢や希望が、走れば走るほど零れ出ていってしまった。

軽くなったカバンが悲しくて、私は走るのをやめ、ゆっくり歩きながらカバンの中を見た。そこには、夢や希望の転がりでた空っぽのカプセルがあるだけだった。

私はむしゃくしゃしてカバンをひっくり返した。空っぽのカプセルはとても軽くて、四方八方に飛び出していった。

その中で一つだけ、地面に落ちて大きくはねたカプセルが目に入った。私は無意識に手を伸ばし、つかみ取っていた。そのカプセルの中に小さい青色が見えたからだ。

指を開くと、青色の小さな欠片がころりと手のひらで転がった。

鼻先ほどの小さな欠片。

人差し指で触れると、ツンと鼻の奥が痛くなり私は目を閉じた。

_____あぁ、忘れていなかったんだ。初めて抱いた夢を。私はずっとずっと背中に背負っていたんだ。



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