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サンティアゴ・カラトラバの建築が美しい、リオハのワイナリー

前回はバスク州ラグアルディアの美しい町を歩きました。

そこから足を延ばして徒歩でワイナリーを訪れます。


ワイン産地、D.O.Ca.リオハとは?

リオハ州を中心としてバスク州とナバラ州にもまたがっているワイン産地DOCaリオハ

原産地呼称統制委員会が設置された地域内で厳しい基準に基づいて生産されたワインをスペインでは原産地呼称(デノミナシオン・デ・オリヘン、DO)と呼びます。そしてDOCa(デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダ)は特選原産地呼称の意で、DOワインの中でもとりわけ高品質なワイン。DOCaはスペインではこのリオハとカタルーニャ州のプリオラートの2地域のみです。

そのDOCaリオハのバスク州生産地がこのラグアルディアのあるリオハ・アラベサ地方。以前、リオハ州のアロ(Haro)にあるワイナリーは訪れたことがあってとっても楽しかったので、いつかリオハ・アラベサ地方のワイナリーも訪れたいと思っていました。

前回訪れたアロのワイナリー

ラグアルディアからワイナリーまでの道のり

ラグアルディアの町から見える波打つ巨大な建物。この辺りに向かって歩いていきます。一見ずいぶん遠くにあるように見えますが、徒歩30分弱。

丘を下ってラグアルディアの町を出ます。丘の下には町の入口を示す大きな標識が建っています。

正面にはカンタブリア山脈がそびえていて圧巻。ワイナリーに切り立つ山。南アのワイン生産で有名なステレンボッシュやフランシュフックがこんな感じでした。

ブドウ畑が広がりのどかな風景、その向こうにはラグアルディアの町からも見えた奇抜な建物。

途中1~2軒ワイナリーがありましたが閉まっているようでした。

YSIOS

まずはYSIOSというワイナリーを訪れます。ワイナリーのツアーはスペインも含め色々な国で行っていて、ある程度行くとどこも似たり寄ったりなので、最近はテースティングやワインバーのみの利用がほとんど。ツアーは要事前予約のところが多いですが、ワインバーなら適当にふらっと立ち寄れるのが良いところ。

目の前にドーンと現れたYSIOSの建物。先程の波打つ屋根の建物で、サンティアゴ・カラトラバの設計です。

スペインが誇る建築家サンティアゴ・カラトラバ

サンティアゴ・カラトラバはスペインのバレンシア出身の建築家。

カラトラバの大作はやはりスペインのバレンシアにある芸術科学都市。広大な敷地にオペラハウスやIMAXシアター、科学博物館など芸術や科学系の施設が集まるエリア。その未来的なデザインから多くのハリウッド映画や米ドラマのロケ地にもなっています。

バレンシアの芸術科学都市

もう少し新しい作品のベルギーのリエージュ駅も以前訪れました。

動物の骨格を思わせる連続した曲線と外の光をふんだんに取り入れた構造。初期の作品はガウディを彷彿させるタイルを砕いてモザイク状にしたトランカディスを用いた装飾が目立ちます。

今回、同じくリオハ・アラベサ地方にあるフランクゲーリーによるMarqués del Riscalというワイナリーも候補に入っていたのですが、スペインのワイナリーはスペイン人の建築家の方がなんとなくしっくりくる気がしたのでこちらは訪れませんでした。多くのスーパーでも見かけるブランドなのも訪れなかった理由。

今回のワイナリー訪問はサンティアゴ・カラトラバの建築物を見るのも理由のひとつでした。

ブドウ畑に囲まれた圧巻の建物

建物の正面に立つともうその姿に圧倒されます。2001年に完成したそう。

正面の壁はヒマラヤスギ。土の色に似ているのでここの大地を表してるのかと思ったのですが、完成当時はもう少し白っぽい色だったようで、ワインの樽を意識してなのだとか。波打つ屋根は後ろのカンタブリア山脈と色といい形といいマッチしているよう。

アルミの屋根が日光を反射して落ち着いたヒマラヤスギの壁とは対照的です。真夏は恐らくかなりギラギラと反射するのだと思います。正面中央はかなり威圧感があり、二階の窓の大きさも圧巻。

この建物は実は斜面に建てられていて、裏手は正面より10m高くなっているとのこと。

横から見ると正面中央がかなり手前にせり出しているのが分かります。威圧感があったのはそのせいで、まるで自分に迫りくるように感じました。

間近で見ると良く分かります。

建物前の噴水はバレンシアの芸術科学都市の人工池で見るのと全く同じタイルを砕いて張り付けたトランカディス。

正面玄関の真正面はラグアルディアの町がある丘です。

景観も全て計算されています。

ワインバーでテースティング

外観ををぐるっと眺めたらいよいよワインを飲みに行きます。正面玄関を入ると受付がありました。

こちらのワイナリーのワインのセレクションとそのほか購入できるお土産。

ボトルラックが建物のデザインです。

受付でワインのテースティングをしたいと告げ、メニューを拝見。ワイナリーのバーにしてはちょっと高めの値段です。

どのようなワインが好みか聞かれたので赤のフルボディと言ったらEl Nogalというワインを薦められたのでそれにしました。ちょっとグレードの高いCollectionのリストからです。

こちら12ユーロでした。ボトルの値段は75ユーロ。ネットで見ると少し安く買えるようですが、普段は飲まない高級なランク。

ちょっと高いなと思ったら、クラッカーとチョリソー付きでした。

分かりますか?グラスに描かれているワイナリーのロゴが建物の曲線なんです。このワインは私好みのフルボディで「やばい、美味しい!」というほど芳醇な香りで美味しかったです。

ワインバーでもカラトラバの建築を堪能

正面受付でワインをもらい、席は受付の裏というので行くとなんだか真っ暗。

席から見える受付

受付上部はゲスト用のデッキということ。先程外から見て大きなせり出した窓があったところです。

ワインバーと言っても倉庫と作業場を兼ねていて、ヘルメットをかぶった作業員が行き来していたり、フォークリフトが通ったり、ワイナリーツアーのグループが来たりしていました。ワインの樽がずらり並ぶ中に席があります。

内部も波打つ天井が独特。有名建築の構造を楽しみながら高級ワインを飲むというのもなかなかないです。壁はコンクリート造りですが、屋根は木造で外部はアルミを木に張り付けているそう。

屋根の構造が複雑なのでやはり当初雨漏りしたらしく、修理をしても解決せず、このワイナリーはカラトラバの建築会社を裁判で訴えたそうです。雨漏りすると湿度が上がり、ワインの製造や保管に影響がでてくるためワイナリーにとっては死活問題。問題が解決したのか知りたかったのですが、情報は見つからなかったので和解したのでしょうか。

有名建築家を雇えるようなワイナリーはどんな経営なのかなと思い調べてみると、フランスの大手飲料会社ペルノ・リカールの落下だそうです。ポートフォリオをみると世界的に有名なブランドばかり。

ワイナリーはいろいろ訪れていますが、ワインだけでなく建築も楽しめなかなか面白い経験でした。唯一残念なのは、せっかくブドウ畑に囲まれ自然が広がっているのに外の景色を楽しみながら飲めなかったこと。これは次のワイナリーでリベンジします。

借景が素晴らしい、Bodegas Javier San Perdo Ortega

そして次に訪れたのがBodegas Javier San Perdo Ortega。YSIOSのすぐ斜め前です。

入口を入って振り返ると…

ワインバーのメニュー。やっぱりリオハと言えば赤なので赤から。

赤はこちら。

白とロゼはこちら。

Viuda Negra El Arca de Asa (€4.90)にしました。

こじんまりしていい雰囲気のワイナリーです。

裏にはセラーも見えます。

外にも席があるので外に出ました。YSIOSとカンタブリア山脈が一望。

ワインは美味しかったのですが、YSIOSのワインがやはり美味しすぎてちょっと霞んでしまいました。

カラトラバも圧巻なのですが、やっぱり自然が素晴らしいです。やはりワイナリーは町中よりこういうところが好きです。

ちょっとトイレに行ったらサインが…

これで女性か男性か分かってしまうのは目の錯覚?

もう一か所くらい行きたかったのですが、ワイナリーは営業時間が短く近隣のもう一軒も閉まってしまいました。午前中からは飲みたくないので正午くらいに始めたのですが、バルセロナ近郊もそうであるように2~3時くらいに閉まるところも多くここで終了。

ラグアルディアに戻るのに上り坂なのでこれくらいでちょうど良かったのかもしれません。

帰路、振り返るとこの景色。

雄大な自然と美味しいワインと圧巻の建物。ラグアルディアの町も美しく、なかなか贅沢な日でした。

この次は、マドリード方面のソリアへ向かいます。ロマネスク様式の建物が並ぶきれいな町でした。


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