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日常生活で見た風景1

『時代の変遷』


食器を洗うのに使っていた洗剤が、切れかかっていた。
今まで使っていたのは、家族が間違えて買ってきた食洗機用の洗剤で、だが我が家に食洗機はない。
とにかく、仕方なくそれを使っていたのだが、手は荒れるし汚れ落ちも悪い。
本来の使い方ではないので、当然かもしれない。
強力そうなので薄めて使っており、なかなか減らず、既に1年以上使い続けて、ようやく終わりが見えてきたところだった。
この流れから、普通の洗剤を使うのが嫌になり、とりあえず100均を見に行く。
するとダイソーもセリアもクエン酸商品が溢れており、肝心のクエン酸そのものは品切れだった。
見た目20歳くらいの学生さんに見える男性グループが、

「俺、クエン酸買わなきゃ」
「あ、俺も」

などと言っていて、あらゆる層に大人気らしい。
私は何軒かまわって、とりあえずクエン酸本体をまとめ買いした。
これを使って食器用洗剤を作るのが、きっと今の流行りなんだろうと、世間知らずの私なりに想像した。
だが、その後にネットで調べると、石鹸で作ったものの方が使われていることがわかったので、洗剤のボトルにはそれを入れることにした。
もちろんクエン酸水も作り、それは別のスプレーボトルに詰めて使う。
それだけのことなのだが、私は嬉しくなり、ニヤニヤしている。
これは、もしかして、もしかすると、今まで人には言えなかったあれやこれやが、堂々と言える時代が到来したのでは?!
そう、実は私は、シャンプー、リンス、化粧水、クリーム、メイク落とし、日焼け止め、衣料用合成洗剤などを、長年買わずに生活してきた。
始めたのは90年代の終わりだから、もう20年以上になる。
きっかけは、当時話題になった『買ってはいけない』と言う本だった。
その影響で、最初は安全だが高価な商品を買って使ったが、やがてその必要もないことにどんどん気づいていった。
リンス、クリーム、日焼け止めは手作りするようになり、メイク落としは食用油、化粧水はアロエの鉢植え、シャンプーは紆余曲折の末、現在は固形石鹸だ。
実はこの方が、安全でコスパが良いだけでなく、高品質な生活を送れる。
メイク落としに使う食用油は、それ用にアーモンド油を買ったりした。
もちろん、常備してるわけではなく、キッチンにあるエクストラバージンオリーブオイルや太白純正胡麻油も使う。
これらは一般的なメイク落としより、原料価格は上だと思う。
髪を洗う固形石鹸は、最初はアレッポの石鹸を使っていたが、いつも同じだと飽きるので、いろんな石鹸に手を出すようになり、今は චන්දනාලේ චාකොල් සබන් を使っている。
この、謎のウニョウニョ文字石鹸は、髪洗いにはおすすめしない。
この石鹸で洗うと、櫛で梳かす度に炭が付着する。
だがオーガニックのアーユルヴェーダ石鹸なので、頭皮には良さそうだ。

衣類の洗濯は、いちばん始めに粉石鹸を使い始めた。
次は炭酸ソーダと過炭酸ナトリウムだ。
重曹は家族がキロで買ったものがあり、これと炭酸ソーダでセスキ炭酸ソーダも作れる。
その後ハイベックを購入して大体何でも洗えるようになり、最後の悩みだった草木染もバンブークリアで解決した。
目立った汚れがなければ、今は基本、バンブークリアで洗っている。
手間も時間もかからないし、素材別に分けなくてもいいから楽なのだ。
それで出番が減ってしまったシャボン玉スノールを、今回食器用に活用するわけで、こんな風に流用できるのは有難い。
そして我が家には私が適当に蒐集した植物精油とドライハーブもわりと揃っており、これらを利用して病気の治療を・・・おっと、この話は止めておこう。
そろそろ厚労省から有害記事指定され、白いポスト行きを言い渡されそうでヤバイ。

ところで、なぜ私がこのような世間から外れた生活をこっそり選んできたかを記しておきたい。
かつて、米国で生活していた時のことだ。
冷蔵庫の臭いが気になり、スーパーで冷蔵庫用脱臭剤を探した。
けれど、どこにもない。
友達に相談すると、「ベーキングパウダーを買え」と言う。
なぜ???
いろいろ訊いてみたが、米国には冷蔵庫用脱臭剤なんてものは存在しないのだと言われた。
そこで、いちばん小さい箱を買ってみた。
小さいと言っても、日本でよく見るベーキングパウダーの何倍もある大きさだ。
価格は当時、59セントくらいだった気がする。
めっちゃ安い。
それを友達に渡すと、彼は箱の上部を少し切った。
中にはビニール袋などはなく、粉がそのまま入っていたと思う。
それを冷蔵庫に箱のまま入れて、終わりだ。
半年くらいは使えると言われた。
半年後、私はそれを掃除に使った。
安い、簡単、無駄がない。
その時、私はふと思ったのだ。
日本は何でも専用の商品があり、ハイテクの国だ。
だけど、そのために、高い、複雑、無駄だらけになっているのでは?と。
そんなこの国に、クエン酸が流行る時代がやって来たのだ。
なんだかちょっと、市民権を得た気分ですね!
むふふふふふふふふふふふふふ。





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