マガジンのカバー画像

短歌

20
毎月の短歌のまとめ
運営しているクリエイター

#短歌

自選50首

自選50首

57577。
2013-2020年の短歌より。

何度でも言うよあなたが呆れても下手な鉄砲数撃ちゃ(当たれ、)

学生よ誇らかにあれ制服は初期装備かつ最強装備

絨毯も家具の一つもない新居 フローリングでミルクパズルを

持ち物は携帯ひとつ 行き先は無人島ではないから平気

降り注ぐ星の欠片を一身に浴びてこのまま溶けてもいいな

手を引いて煌めく夜の波を縫う 小柄な君とはぐれぬように

群青と星で

もっとみる

0402 短歌



2020年2月 - 3月の短歌、20首。

---------------------

春、なにか大事なことを忘れているような気がして口を噤んだ

1時間あれば来れると知っていて1度も見なかった夜の海

たぶん明日世界が終わってしまうから君だけといるため海に来た

白く染まる息の向こうで唇に添える人差し指の細さよ

潮風がひときわ強く吹きなびくあなたの髪に透ける朝焼け

夢をみるクジラの背び

もっとみる

0213 短歌



2019年12月-2020年1月の短歌、14首。

---------------

眠らないまま朝焼けの色をしたクラゲとなって揺蕩えたなら

何者かになりたいような顔をして本当は何にもなりたくなくて

押しボタン式の信号、指先を惑わせたまま動けないまま

▶にふれてまどろむ可逆性ばかりの夜のスマホの火花

唇の端から零れ落ちていく水溶性の言葉を見遣る

藍色の夜の帳に包まれてホットミルクを

もっとみる