0213 短歌
2019年12月-2020年1月の短歌、14首。
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眠らないまま朝焼けの色をしたクラゲとなって揺蕩えたなら
何者かになりたいような顔をして本当は何にもなりたくなくて
押しボタン式の信号、指先を惑わせたまま動けないまま
▶にふれてまどろむ可逆性ばかりの夜のスマホの火花
唇の端から零れ落ちていく水溶性の言葉を見遣る
藍色の夜の帳に包まれてホットミルクを啜る2時半
引き鉄の重さ軽さも知らないで緑のフェンス越しの街並み
飽和して溢れてしまう前にどうかこの手のひらをすくって欲しい
躊躇っている暇なんてある?夜が明けゆく前にあなたもおいで
踏切の警報音が鳴り響き雪のむこうで日付が変わる
深海へスクロールして何物も君のねむりを妨げぬよう
何もかも溶かして飲み干せたならば/手のひらに沿う満月の金
おろしたての靴を指へと引っかけて気まぐれな夜のような歩調で
眠れずにひらいてとじているひとへ遍く降りそそげ星あかり