「葉」太宰治 〜どうにか、なる。〜|読書感想文 #9
ついに、ずーっと温めていた『晩年』を読み始めた。
なぜ温めていたかというと、「『晩年』に就いて」で太宰がこんなことを言っていたから。
美しさ、発見してみたい。
発見できそうな余裕があるときに、ゆったり読もうと思って、温めていたのです。
けど、ふと思いました。
何かで辛いとき、落ち込みがちなときにこそ、太宰から力をもらってきたじゃないかと。
よし、今読もう。
(ちょうど、小栗虫太郎の法水短編集もちょっと休憩したいし…)
そしてやっぱり、太宰作品は私の心にヒットします。弱いのに、優しくて強いことばが心に響きます。
「葉」の締めのことばが、美しいなと思いました。
うつっているのさ
の、「さ」がいい。
うつっているのさ。
情景が頭に浮かぶ。
あぶくに自分の顔がうつっているのを見つめて、「どうにか、なる」と呟いているのかな。
どうにかなる、と言っている時点で、心に不安とか心配とかがあるんだろうけど、きれいな 私の顔が浮んでいるのを見てなんとかなると感じたのかな。
わからないけど、わたしにはそんなふうに見えた。
弱いけど強い。
優しくて強いことば。
弱いからこそ強いのかもしれない。
まずはひとつ、わたしは美しさを感じられたように思います、太宰さん。
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