
【首の痛みと睡眠障害】
Umito / カラダ・コンサルティングの山本健太です!
理学療法士の資格を持って地域で予防の活動に取り組んでいます!
・睡眠について最低限知っておいてほしい情報
・睡眠習慣を見直す情報 を発信します!
前回は、老化による深部体温の変化とエネルギー消費についてお伝えしていきました!今回は、首の痛みが睡眠の質低下に及ぼす影響について考えていきます!
頸部痛による睡眠障害
慢性的な痛みが睡眠に及ぼす影響について、生理学的観点から炎症物質やホルモンの変化についてお伝えしたことがありますが、首の痛みに限定した慢性的な痛みが睡眠に及ぼす影響について調べた研究があります。
慢性的な首の痛みを訴えた男性32人と健康な対照群の参加者12人に、ポリソムノグラフィーによる睡眠の検査を実施した研究では、対照群と比較して、慢性的な首の痛みを持つ群において全体の睡眠時間が有意に短く(p = 0.015)、入眠(p = 0.015)およびレム睡眠(p < 0.05)までの時間が長くかかっていたことが報告されています。また睡眠段階のステージ1で過ごす時間が長く(p < 0.05)、ステージ2(p = 0.001)とレム睡眠(p = 0.00)の両方の時間が短いことが報告されています。
そして起床時の不快感の重症度は、レム睡眠時間と負の相関関係がありました。この研究の報告は慢性的な首の痛みを持つ人は睡眠の質が悪いという見解を裏付けることができます。
睡眠中の僧帽筋活動
では、慢性的な首を持つ人の睡眠の質低下を媒介する要因は何か?それを考えさせる研究もあります。同じ、15人ずつの首の痛い人と健康な人の2群でポリソムグラフィー検査を実施した研究において、表面筋電図を利用して右上部僧帽筋と左上部僧帽筋の夜間活動を記録したものです。夜間上部僧帽筋活動の記録は、覚醒、レム睡眠、ノンレム睡眠に分けられていました。ノンレム睡眠中の夜間活動はさらに3つの部分(ステージI 、ステージII 、およびステージIII)に分けられました。
慢性的な首の痛みを持つ群では、上部僧帽筋の夜間活動に統計的に有意な差が観察されたようです。健康な被験者と比較して、慢性的な首の痛みと睡眠障害を持つ患者では、覚醒時はもちろん、レム睡眠、およびノンレムのステージIIおよびIII睡眠中に、上部僧帽筋の夜間活動が有意に高かったことが報告されています。
この結果から、睡眠障害を引き起こす要因として、睡眠中の臥床姿勢においても緊張状態が保たれており、睡眠段階を通して持続されてしまっている可能性があります。この筋緊張が交感神経活動を促すことで睡眠に影響している可能性があるのであれば、ストレッチや運動により上部僧帽筋の緊張緩和を促すことで睡眠の質を高められるかもしれませんね!
<参考文献>
Aldabbas MM, Tanwar T, Iram I, Salman M, Veqar Z. A comparison of nocturnal upper trapezius muscle activity between chronic neck pain patients with sleep disturbance and healthy participants. Sleep Breath. 2024 Mar;28(1):95-102. doi: 10.1007/s11325-023-02867-4. Epub 2023 Jul 8. PMID: 37421519.
Aldabbas MM, Tanwar T, Ghrouz A, Iram I, Warren Spence D, Pandi-Perumal SR, Veqar Z. A polysomnographic study of sleep disruptions in individuals with chronic neck pain. J Sleep Res. 2022 Oct;31(5):e13549. doi: 10.1111/jsr.13549. Epub 2022 Jan 19. PMID: 35044011.
▼睡眠について個別の相談はこちらから▼
睡眠習慣コンサル&良眠ピラティスワーク
登録で無料特典(睡眠プチ講座動画・睡眠習慣チェック)
自律神経にまつわる情報満載のオープンチャット
"自律神経の知識箱"はこちらから!