【甲状腺機能低下症と不眠】
Umito / カラダ・コンサルティングの山本健太です!
理学療法士の資格を持って地域で予防の活動に取り組んでいます!
・睡眠について最低限知っておいてほしい情報
・睡眠習慣を見直す情報 を発信します!
前回は、睡眠不足と口腔環境についてお伝えしました!今回は、甲状腺機能低下症と睡眠の関係について考えていきます!
甲状腺機能と睡眠の質
近年、ダイエットなどの過剰な糖質制限による代謝障害によって罹患する人が多い甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンの産生と分泌が不十分になる状態です。罹患していながらも、気付きにくくて診断されていない人も多いようです。甲状腺機能低下症では疲労、脱力感、体重増加を伴います。その他の一般的な症状には、皮膚や髪の乾燥、筋肉痛、免疫力の低下などがあります。このような症状が起こる背景には、甲状腺ホルモンによる交感神経活動を促進させる働きが弱くなることに起因しています。
甲状腺機能低下症患者の睡眠パターンの乱れは、甲状腺機能障害と睡眠機能に大きな影響を及ぼすことが示唆されています。甲状腺機能低下症の患者は、入眠時間が長く、睡眠時間が短く、睡眠の質に対する満足度が低いことが示されています。
概日リズムを朝方にシフト!?
甲状腺機能低下が睡眠に及ぼす影響については、生理学的観点から報告されています。ある研究では、視床下部の視交叉上核に着目しています。視交叉上核というと、光を感知して睡眠には必須のメラトニンホルモンの分泌に関わるだけでなく、摂食・体温・その他のホルモン分泌などの恒常性機能を促進し、睡眠覚醒リズムに重要な役割を果たしています。しかし、甲状腺機能低下症の患者では、視交叉上核への入出力の接続が障害されることがわかっています。
また、視床下部-下垂体-甲状腺系に由来するホルモンである甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺機能低下症の患者で分泌量が増加しますが、そのレベルの高さは早起きのクロノタイプと相関関係にあることがわかっており、概日リズムを「朝型」にシフトさせている可能性があるようです。これは特に夕方や夜間に甲状腺刺激ホルモンの分泌量が増えるためと考えられます。
甲状腺機能低下症では、重度になると橋本病と診断され集中的な治療が施されますが、診断がつくかつかないかの軽度の場合は、薬剤の処方も行われないことが多いようです。経過観察となった際には、生活習慣を見直すことが必要ですが、その中には睡眠を見直すことも効果的かもしれません。睡眠状態が改善されると甲状腺刺激ホルモンの濃度の単独上昇は正常化するという結論も出ており、甲状腺機能低下症と不眠症の間には双方向の関係があることは間違いなさそうです。ぜひ睡眠を改善することも考量していきましょう!
参考文献
Addanki S, Patel K, Patel L, Smith B, Patel P, Uppalapati S, Nathanson L. Thyroid Function and Sleep Patterns: A Systematic Review. Cureus. 2024 Jun 29;16(6):e63447. doi: 10.7759/cureus.63447. PMID: 39077291; PMCID: PMC11285688.
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