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おじいちゃんちの犬

朝、家を出て歩いていたらどこかの犬が遠吠えしているのを聞いて、ふとレンちゃんを思い出した。

レンちゃんは昔おじいちゃんちで飼っていた犬である。

今は雑種の犬を見ることはほとんどないけれど、レンちゃんは雑種で、白くて、中型で、日本スピッツに似た犬だった。

外犬で、いつもご飯はドックフードではなくて、残った味噌汁とご飯をごちゃまぜにしたものを食べていた。
あれ、犬の身体的には実はよくないんじゃないか。笑
時代を感じる。

その頃私は多分幼稚園くらいだったので、断片的にしか覚えてないけど、毎朝おじいちゃんと散歩していて、たまに、庭で一緒に遊んだ。

ある時、おじいちゃんちに行った際に、朝からレンちゃんが遠吠えをしている時があって、なんだかいつもと様子が違うなあと思ったことがあった。
もうだいぶ歳をとって、目も白内障だったからほとんど見えていなかったと思う。

その昼にレンちゃんは亡くなってしまった。


レンちゃんと遊んだことはほとんど覚えてないのに、何故かその日の朝の遠吠えがすごく寂しそうで、おじいちゃんとお母さんに、「なんか鳴き声が変だよ」と話しかけたことを覚えている。

自分が死ぬことがその時にはわかっていたのか、と思った。

よく匂いとか音とか風景とか、そう言ったもので出来事を思い出すことがあるけど、懐かしい気持ちになった。

他の思い出はほとんど覚えてないのに、その場面だけは鮮明に思い出すことができた。

きっと死ということと、音とが組み合わさって自分の記憶にしっかりとしまわれているらしい。

記憶は不思議なもので、同じ出来事の記憶を共有している人でも、覚えている濃さが全く違う。
本当にあったことでも、もし誰も記憶していなかったらその出来事はなかったことかもしれないなと思った。

日々忘れたくないなと思うことはあるのに、すぐ忘れ、
どうでもいいことは、たくさん覚えている。

レンちゃんのことを思い出しながらそんなことを考えた。

来週も1週間頑張りましょう!
お休みなさい💤

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