うつ病患者が市販薬依存から脱出する話
自殺未遂を起こして入院するまで、私は市販薬依存だった。
市販薬を推奨する記事になっては困るので、個々の効果は書かない。
一日何十錠も飲んでいた。それが私の日常だった。
今思うと、入院前の私は、
「うつと付き合っている」
けれど、
「うつと向き合って」はいなかったんだと思う。今は、向き合っている。
退院して一番恐れていたのが、ドラッグストアだった。
ドラッグストアはどこにでもあるし、私が常用していたクスリが売っている。私は手を出さずにいられるのか。市販薬依存から足を洗えるのか。
それが、とても怖かった。
ドラッグストアに行くのを避けていた私だけれども、今日、退院して初めて恋人の家に泊まることになり、ドラッグストアへ一人で行った。
目的はシャンプーやメイク落としやら。これは女として、好みがあるので人に任せるわけにはいかない。そんなことで、ドラッグストアへ行った。
ふらりとクスリの売り場へ足が動く。
ブロン。出逢ったのは高校生の時だったね。あんまり思い出はないんだけれども、レタスとちゃんぽんして酒も飲んで、吐きまくったのは懐かしい。
目線を右にやると、私が愛してやまなかった金パブがある。
私と金パブは一心同体だった。私が働くのには金パブが必要だった。
人生で一番飲んだクスリだと思う。
ありがとう。さようなら。
シャンプーを買うという目的はどこへ行ってしまったのか。
私はアレルギー剤のコーナーへ向かっていた。
入院する前と同じ位置に、レタスはあった。
大好きだったよ。思い出が沢山あるね。ろくな思い出ではないけど。
バチクソにラリッて、バッグを丸ごと洗濯機に入れたね。
友達や恋人に怪文書を送りつけたね。
幻覚も見たね。気絶したね。
現実から逃げさせてくれる一番のクスリだった。
ありがとう。さようなら。
私は現実の中でちゃんと、生きるよ。
わたしはクスリを買わずに、シャンプーと石鹸とメイク落としを買って、ドラッグストアを出た。
私はもう市販薬は買わない。買わないし、飲まない。
お別れができてよかった。
これからは処方薬だけを、処方通りに飲んでゆく。
そんな当たり前のことが、私には出来なかった。
市販薬ODがやめられなかった。
でも、お別れをしたから、これっきり。
ちゃんと、うつと向き合って生きていく。
合法ドラッグ、ダメ、絶対。