あんこの国では、今……(あんこの つぶつぶちゃん と コシちゃん の きのうの つづき)
「つぶつぶちゃーん!
コシちゃーん!
たいへん たいへーん!!」
あん子ちゃんは、
走りに走りました
あんこの国は、
それはそれは、広いのです
お手紙には
< つぶつぶちゃん つぶつぶちゃん
なんて かわいい名前なんだ
あんこの国の前を通りかかったとき
つぶつぶちゃんの姿が 見えたよ
ひとつぶひとつぶ 輝いてたよ
どうか 僕の パートナーになってください
僕は
君のためなら
暑いお湯の中にでも、飛び込むよ
シュガー王子より >
< コシちゃん
こしちゃんは、
なんて、つやつや ピカピカなんだろう
コシちゃんは、いつも光ってるよ
どうか 僕の パートナーに
僕は
君のためなら
冷たい水の中にでも
飛び込むよ
ソルト王子より >
あん子ちゃんは、やったー!
と思いました
これで、ふたりともパートナーになれるわ
「私、決めたわ。
シュガー王子のパートナーになるわ」
つぶつぶちゃんが、言いました
「私も、
シュガー王子がいいわ」
「えーっ、何言ってるのよ。
コシちゃんは、ソルト王子でしょ」
「だって、あんこには、砂糖が必要よ。
それに、
シュガー王子の方が、手紙の書き方が上手だわ」
あん子ちゃんは、つぶやきました
「たいして変わらないと思うけどな。
それより、
ふたりの手紙の書き方が似ているのが、
気になるなあ」
「私が、シュガー王子のパートナーよ」
「何言ってるの、私よ」
また言い合いが始まりました
これじゃあ、王子の名前が変わっただけです
なんにも、解決しそうにありません
塩だって、甘さを引き立ててくれるのになあ
と あん子ちゃんは、思いました
それから、また、ぶつぶつ言いました
「おもち王子様は、今頃、どうしているのかなあ」
(つづく)