社会を未熟にする、女性の年齢差別 ジェンダーギャップ経済問題 パート3
先日、スタエフ配信者さんでベルギーにお住いの日本女性が、年齢について語られた。
ベルギーでは、お付き合いしている方が一体お幾つなのか知らないのだという。それはもちろん、お互いに尋ねないという暗黙のマナーがあるということだろう。
成熟した社会だなと思う。
差別とはなにか、を常に考える
日本では女性に対する年齢差別が至る所で見受けられる。若い女性=価値が高いという考え方が社会に沁み込んでいる。けれど、この考えは誰一人として得をしない。若い女性もあっという間に年を重ねる。女性にとっては損ばかりする考え方だ。だから、ほんの一握りの人の女性の好みを社会が受け入れてはならないと思う。
テレビでは、登場する人の年齢がしばしば掲載される。女優さんでも、コメンテーターでも年齢が表示される。
この表記に一体どんなメッセージが込められているのか、もはや誰も考えることすらしない。あまりに自然なこととして目にし過ぎた結果、誰も考えなくなってしまっている。
けれど、こうしたことは考えなければ恐ろしいと日々思う。人々に刷り込まれる常識の多くが、メディアを通して形成されているのだとしたら、それはとても恐ろしいことだと思う。そのメディアが偏見や差別をわたしたちに刷り込んでいるとしたら?
生意気な女
先日、女性の就活の年齢制限について書いた。
実は、この国では、男女差別で最も悪質なのが、この年齢差別なのだ。
なぜなら、人を締め出すのに最も効果的なのがこの年齢という記号だから。おまけにそれを多くの人が仕方のないことと勘違いしてしまっている。
そもそもこの国に「均等法」が出来た理由は、女性たちが民事に訴えたからだった。
「どうして女性だけ35歳で定年なのですか?」
と一人の女性が訴えた。それはまだ1960年代のことで、大手企業で補助職に就く女性が訴えたのだけれど、わたしはその方がどどれほ勇気のある方なのだろうと思うことがある。女性が働くことすらハシタナイと考える大人たちがいた時代の話しだ。それに、和を持って貴しとするこの国では、裁判所に出向くことすら怖気づく行為であったはずだ。
たとえ勝訴したとて、決してよくは言われなかっただろう。
そんな時代に、自分が働いている会社を訴え出たのだ。恐らくその方は、なんて生意気な女だとさんざん言われたにちがいない。
多様性を締め出す方法
では、なぜ、勤め先を敵に回してまでその人は訴えたのか。
その方の生き方に関する詳細は知らない。
けれど、そんな厳しい状況の中、自腹で、負けるかもしれない裁判に訴えたのだ。それは、35歳で定年というルールを受け入れがたいこと思ったということだけでなく、その方が生きていけなくなるような事情があったのかもしれない。女性だって、病弱な親を養っている人もいる。同じなのだ、男性も女性も。大人になれば人の人生は、若さなんかで切り取れないようなことがいくらでもある。
「均等法」が施行される以前、この国の企業には、女性の年齢差別がまかり通っていた。男性にとって好ましくない女性は排除しようという暗黙のルールがあった。年を取ってまで居座られても困るんだよな、という声なき声があった。だから年齢制限が明文化されていたのだ。
それは差別ですよといわれるまで、そのことに気付かない社会でわたしたちは生きている。もちろん、する側の男性はより気づきにくい。幾重にも刷り込まれてきた常識の中で生きているからだ。だから問題は深刻なのだ。
誰もが標準化された人生を生きる訳ではない。差別とは多様な生き方を締め出す最上の武器だと思う。
人事の方へ
今朝、スタエフで年齢差別の話しをしたところ、沢山のコメントが届いた。多くの方が、年齢差別に苦しんでいる。多くの人が、夢を諦め、働くことを諦めていく。そんな社会であっていいはずがない。
だからわたしは人事に携わる人たちにお願いしたい。女性を年齢で差別しないで下さいと。日本の企業では、人事が大きな力を持つ。それはもう誰もが認めるところだ。けれど、人事に携わる方々もまた雇用される側なのだ。だから考えて欲しい。
因果応報という言葉だってある。女性は若い子に限るとか、年取った女は扱いにくいとか、そういう考えは、やがて巡り巡って自分の家族にだってやってくる。35歳すぎてようやく動けるようになる女性がどれほど多いか、考えてみてほしい。家族のこととして考えれば当たり前のことなのだ。人事に携わる人たちには、ご自分の家族のことを思い出してほしい。この国は男だけの社会ではないのだから。
やがてご自分の家族が苦しまれるような考え方は、それは差別だと思って欲しい。
おわりに
この国は働く側がとても弱い。
なぜそのようなルールがあるのか、なぜ企業の採用年齢に女性のみ制限があるのか、考えなければ未来はないと思っている。
女性にとって年齢差別ほどひどいものはないのだから。
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※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。