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タンパク質の質ってなに?

タンパク質の(品)質が良いとか悪いとか、何で決まるの?という疑問があり、調べてみました。


はじめに

まず、タンパク質の質の前に、まずタンパク質って何?
タンパク質について知っていること。

  • 三大栄養素の1つ。

  • お肉にはタンパク質が多く含まれる。

  • 「大豆は畑のお肉」って呼ばれるくらいタンパク質が豊富。

  • プロテインとして、筋トレ前後に飲まれる。

  • プロテイン入りのドリンクやフードもコンビニでみかける。

こんな感じで、タンパク質は身近で大事なものという認識はあります。

タンパク質ほどではないかもですが、アミノ酸という言葉もよく耳目にしますが、タンパク質は、アミノ酸でできています。
アミノ酸は20種類あり、体内で合成できないため食事から摂取しなければならない必須アミノ酸と、体内で合成できる非必須アミノ酸に分けられます。
人間の場合、必須アミノ酸は9種類、犬は10種類、猫は11種類です。

ちなみに、うま味成分のグルタミン酸はアミノ酸の1種だそうです。

タンパク質(アミノ酸)の役割や不足した場合、過剰に接種した場合の症状などについては、長くなるので、一番最後に記載しますので、そちらをご覧ください。

結論

細かいことを省略して、結論から書くと、たんぱく質の「質」を評価するには、大きくわけて2つの指標がある。

  • アミノ酸スコア(化学的評価)
    アミノ酸、必須アミノ酸が要求量に対してどの程度充足しているか。

  • 消化・吸収率(生物学的評価)
    摂取したたんぱく質が、どの程度消化・吸収されているか。

消化・吸収率は、複数の測定方法が存在し、測定方法により、「生物価」「PDCAAS」「DIAAS」などの指標の呼称があり、より正確な測定方法が選ばれるようになってきているようです。

主要なたんぱく質のアミノ酸スコア

DIAAS / アミノ酸スコア
アミノ酸スコアは「「五訂食品成分表2002」(香川芳子/ 監),女子栄養大学出版部,2002」DIAASスコアはオーストリアの大学の先生らが書いたこちら論文より

牛肉・豚肉・鶏肉・鶏卵に関しては、どれも高い値で、大きな差はないようです。



それでは、タンパク質の質について調査を進めます。

まず、手元にある資料をめくってみます。

1 犬と猫の栄養学 奈良なぎさ著 緑書房

この本の中に、「たんぱく質の「質」」というコラムがあります。

 生命システムに重要な多くの働きを持つたんぱく質には、その質を評価する方法として「アミノ酸スコア」や「生物価」などがあります。アミノ酸スコアは必須アミノ酸のバランスを、生物価は窒素の体内利用率をそれぞれ100を最高とした数字で示しています。
 一般的に、植物性たんぱく質には第一制限アミノ酸という基準値以下しか含まれないアミノ酸があることや、食物繊維が含まれることでアミノ酸スコアや生物価が低くなります。
 アミノ酸スコアや生物価が高いときは、「質の高いたんぱく質」だと考えられます。質の高いたんぱく質は消化吸収率が高く、消化吸収率が低い食事よりも少ない量で必要量を得ることができます。そのため、排便量がコンパクトになる、アンモニアの産生量が少なくなる、未消化物を減らして腸内環境の悪化を防ぐなどの利点があります。

犬と猫の栄養学 奈良なぎさ著 緑書房

ここでは、質を評価する方法として、アミノ酸スコア生物価が紹介されています。

2 ペット栄養管理学テキストブック 一般社団法人日本ペット栄養学会編

この中に以下のような記述があります。

 一般に「良質のタンパク質」の代名詞のように言われている鶏卵は、アミノ酸のバランスが他の動物由来タンパク質と比べて圧倒的に優れている。鶏卵の優れたアミノ酸バランスは、雑食もしくは完全肉食の動物の各アミノ酸要求量に近いのである。
 これまで述べてきたとおり、アミノ酸はその量と質も重要だが、バランスも大事で、動物由来の脂肪酸などの要求量を無視し、タンパク質の要求量だけ見て極端に言うと、鶏卵だけ食べていればタンパク質、すなわちアミノ酸の要求量が満たされるほど「良質のタンパク質」と言えるのである。

ペット栄養管理学テキストブック

ここで書かれている「量」とはアミノ酸とくに必須アミノ酸の必要量を満たしているかどうか≒「アミノ酸スコア」、「バランス」とは特定のアミノ酸が要求量に対して著しく多く含むようなことがない状態のことだと理解できますが、量・質・バランスの「質」については、前後の文章を読む限り見つけられませんでした。「質」は前の資料にある「生物価=窒素の体内利用率」を指しているようにも思われます。

3 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

こちらのサイトに、以下の記述を見つけました。

「良質なたんぱく質」というのは、アミノ酸がバランス良く含まれているたんぱく質のことです。アミノ酸の含有バランス(アミノ酸スコアといいます)が良いものは、生体内での利用効率が良く、余分な老廃物となるものが少ないので、「良質なたんぱく質」と呼ばれます。

https://www.ncgg.go.jp/ri/advice/09.html

アミノ酸の含有バランス ≒ アミノ酸スコア
生体内での利用効率が良く ≒ 生物価が高い

4 森永製菓のサイト

森永製菓のページに、以下の記述を見つけました。

良質なタンパク質とは、“必須アミノ酸(体内で作り出すことのできない9種類のアミノ酸)がバランス良く含まれたタンパク質”のことです。
そもそもタンパク質は、アミノ酸が長くつながったもので、必須アミノ酸の含まれている割合が食材によって異なります。必須アミノ酸は、バランスがとれていないと利用効率が下がるため、必須アミノ酸の“量”だけでなく“種類”も重要な指標となります。

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=150&category=health

そして、このページで、これまで出会っていない新しい指標が紹介されていました。

なお、ヒトが摂取する場合は、タンパク質の消化吸収率やアミノ酸の有効性についても考慮する必要があります。そこで、アミノ酸スコアにタンパク質の消化率を考慮した「タンパク質消化率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)」などの指標も用いられるようになっています。2)

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=150&category=health

新しい指標
「タンパク質消化率補正アミノ酸スコア(PDCAAS)」
この指標について調べてみると、さらに
「消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)」という指標もみつかった。

5 たんぱく質の質と腎臓との関係 

この資料は、日本腎臓学会学会誌に掲載された論文になります。
この中に「たんぱく質の評価法」という項があり、引用すると長くなるので、書かれていることを抜き出すと

  • 食品のたんぱく質の栄養価は化学的評価法と生物学的評価法に大別される

  • 化学的評価法の代表は「アミノ酸スコア」

  • 生物学的評価法は「生物価」や「正味たんぱく利用率」で、摂取したたんぱく質の実際の利用率、消化吸収率が重要

  • 従来、PDCAASが使用されていたが、DIAASの方がより正確に消化率を測定できる

とあります。

再び結論

上記5つの資料に記載されていることをまとめると、たんぱく質の「質」を評価するには、大きくわけて2つの指標がある。

  • アミノ酸スコア
    アミノ酸、必須アミノ酸が要求量に対してどの程度充足しているか。

  • 消化率
    摂取したたんぱく質が、どの程度消化・吸収されているか。

そして、一部の資料で指摘されているように、あるアミノ酸が著しくバランスを欠いて多量に含まれるのもよくない。
消化率は、複数の測定方法が存在し、測定方法により、「生物価」「PDCAAS」「DIAAS」などの呼称があり、より正確な測定方法が選ばれるようになってきている。

ということのようです。


タンパク質(アミノ酸)の役割

  • 筋肉や骨、臓器などの組織を構成する

  • エネルギー源となる
    糖質や脂質にはお取りますが、エネルギー源としても利用されます。

  • 免疫機能を維持する
    抗体や白血球などの免疫細胞は、タンパク質でできており、タンパク質を十分に摂取する必要があります。

  • 酵素やホルモンなどの生理活性物質を合成する
    酵素は化学反応を促進し、ホルモンは身体のさまざまな機能を調節する働きがあります。

タンパク質が不足すると

  • 筋力低下

  • 成長障害

  • 免疫力の低下

  • 貧血(タンパク質はヘモグロビンの材料となるため)

  • 肌荒れ(肌の材料となるため)

タンパク質を摂りすぎると

  • 腎臓への負担が増加
    タンパク質が、体内で代謝される際に発生する老廃物(尿素やアンモニアなど)は、腎臓が排泄の役割を担います。タンパク質を摂りすぎると腎臓に負担がかかり、腎臓の機能が低下する可能性もあります。

  • 骨粗しょう症
    タンパク質を摂りすぎると、カルシウムの吸収が過剰になり、骨からカルシウムが溶け出して骨粗しょう症になる可能性があります。

  • 尿路結石
    タンパク質を代謝する際の老廃物(尿素やアンモニアなど)は、尿中に排泄します。尿中の老廃物濃度が高まると、尿路結石になる可能性が高くなります。


もし間違いに気がついた場合は、お手数ですが、コメントください。
よろしくおねがいします


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