調味料より素材の持ち味・香り・食感を楽しんでみる。今こそ食塩の取りすぎを考える#4
日本人は自分を健康だと思っている
厚生労働省が2014年に実施した「健康意識に関する調査」によると、
普段の健康状態について、自分を「非常に健康だと思う(7.3%)」と
「健康な方だと思う(66.4%)」を合わせると、自分を健康だと思っている人は7割(73.7%)を超える。
「自分を健康だ」と思う理由として、
健康状態を判断する際に重視した項目の上位(回答は3つまで可)は、
最も多い回答から「病気がないこと」63.8 % 、
「美味しく飲食できること」40.6%、
「身体が丈夫なこと」40.3%となっている。
日本人は食事と栄養に気を配っている
「健康のために積極的にやっていることや、特に注意を払っていることがある(17.2%)」または「健康のために生活習慣には気をつけるようにしている(36.7%)」と回答した人に、
具体的に健康に気をつけていることを尋ねたところ、最も多かったのは
「食事・栄養に気を配っている」69.2%である。
今後、健康のために気をつけたいことは
「食事・栄養に気を配りたい」56.5%が最も多い。
健康のために食生活に「気をつけていると思う」と回答した人は 68.8%で、 具体的に気をつけていることに「塩分を控えている」と回答した人は38.1%である(複数回答可)。
そして、健康にとって最もリスクとなることについて、最も多かったのは
「生活習慣病を引き起こす生活習慣」41.9%である。
塩分を控えている日本人は約4割
日本人の健康感は楽観的に見える。自分を健康だと思う理由は、今は丈夫で病気がなく、美味しく食事ができているからだという。
その一方で、今の生活習慣が生活習慣病を引き起こす危険性を感じている。
健康に対する意識は高い。食事と栄養に気をつけていて、将来も気をつけたい。だが、食生活に気を配るなかで食塩を控えていると回答した人は約4割である。
日本人の二十歳以上の3人に一人は高血圧という生活習慣病である。
食事と栄養に気を配るといっても、摂取する食塩の量を毎日の食事のなかで意識してコントロールするのは実際はハードルが高いのだろう。
調味料の味を味わっている
三つ前の記事『将来の血圧も気にかけてみる』に登場した男性が定食屋で食べた料理は「さばの醬油かけ塩焼き定食」だ。
さばには塩が振ってある。焼いた身と皮から香ばしい脂がにじみ出た塩焼きのさばの上に、別の調味料の醤油をかけて醤油味の塩焼きになった。
食塩の約7割(66%)は調味料からとっている。特に醤油や塩、味噌から多く取っていて、さらに言うと、醤油は調味料のなかでも食塩を多く含んでいる。
・大さじ1(15cc)あたりの食塩相当量 ・醤油2.6g ・味噌1.9g
定食屋の男性は、焼きさばに回しかける醤油の量を減らしていき、最終的には醤油をかけず、塩焼きのさばの美味しさを味わうことができる。
箸休めのさっぱりとした野菜の漬物にも醤油は要らない。
調味料をかけたりつけたりしないで、料理の味を楽しむための工夫を考えてみる。
ひと口めはそのままを食べてみる
ひと口めは、いっしょに出されるソースやたれ、ドレッシング、調味料を使わないで食べてみる。
マツコ・デラックスさんは、ご自身のテレビ番組のなかで
「最初は何もつけないで、このままいただくわ」とよく言って試食している。蕎麦もひと口めはそのまま食べて、鼻に抜ける蕎麦の香りを楽しんだ。
ひと口めをそのまま食べてみて、「この料理はソースやたれがなくても美味しい」と感じたら、その後もソース・たれは使わないで食べてみる。
もしくは、料理を食べ進めながら、味変や風味付けに少しずつ、少なく使ってみる。
素材の持ち味、香り、食感を楽しんでみる
とんかつの肉には下味がついている。ソースを使わずに、ひと口めは豚肉の旨みと甘みを肉の柔らかさといっしょに味わってみる。
天ぷらは、天つゆも塩も使わないで食べてみる。
揚げたての食感は格別だ。サクッとした歯触りや音は、味を足さなくても天ぷらを十分に楽しませてくれる。天ぷらにつけたりかけたりして食べるルールがあったら破ってみる。
たこ焼きも、青海苔やかつお節の香りが立ち、だしがきいている生地は濃いソース味がなくても美味しい。ソースは風味付けに使ってみる。
わが家の朝食の一品のざく切りトマトは、オリーブ油とバジルをかけている。食塩は振らない。
それが当たり前のように振りかけていた塩をやめてみると、生のトマトの爽やかな酸味や瑞々しさ、青臭さは発見だった。
目玉焼きは、とろりとした黄身の舌触りを、焼きたてのトーストは、ふわりと広がる小麦の香りを楽しむ。朝のごちそうだ。
料理とセットになっているソースやたれ、調味料は当たり前のように使わないでみる。調味料に含まれる食塩は、塩味が強すぎると料理の風味や味わいを邪魔することがある。
調味料は食べ進めるなかで出番を考えながら、料理の美味しさを引き立てるように、少しずつ、少なく使う。
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記事のなかで使用する食塩相当量(g)はすべて目安です。
また、実際の調理に使用した食品に含まれる食塩相当量(g)は、食品の製造者による栄養成分表示の値を目安に記事に使用しています。
参考文献
国立研究開発法人 国立循環器研究センター 食事療法について|栄養・食事について|循環器病について知る|患者の皆様へ|国立循環器病研究センター 病院 (ncvc.go.jp)
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