四季には香りがある…のだが
ただの勘違い女なら恥ずかしい話
四季にそれぞれ香りがあり
嗅覚で季節を知ることがある
春はまだ空気が冷えた頃から
ヒサカキの小さな白い粒の花が
一斉に都市ガスのようなツンとした香りを放つ
地方特有の匂いかと思っていると
都心でも匂い、驚いたことがある
恐らく
皇居や新宿御苑などがあるからかもしれない
少し暖かくなると沈丁花なども混じり
湿り気のある土と
春の花特有の匂いでいっぱいになる
初夏から夏は、新緑のパキッとした青臭さ
雨に濡れたアスファルトの匂いや
湿った土の匂い
炎天下からは火薬のような匂いがする
風があると、熱気がこもる土埃の匂いもした
秋になると甘い焚き火のような
雑草や樹木から湧き出る香りが胸をすく
紅葉や銀杏にそれぞれ、葉の独特な甘ったるい
匂い、金木犀などのはっきり判る匂いまで
甘さ尽くしだ
人肌恋しくなるのは
気温や日照時間だけではない気がする
冬になると、積雪がないのにモルタルの鼻を突く冷たい匂いがしてくる
クリスマスの装飾が華々しいと
食べ物や包装紙の香りと混ざり
年末には煮物のような香り
正月は正月の香りがしてきて、著しく変わる
そして
鏡開きを終える頃
また冷えただけの匂いに変わる
四季の境目に感じる香り
五感全てで四季を感じる喜び
わたしの感性を刺激する舞台裏
社畜で疲れ果てた身体には
それらがあまり感じられなかった
余裕のなさは、閉塞感のある世間にだけではなく
時間のなさが充分、比例していた