外注シナリオライターから見た「人材不足」の解釈について

2025年ということでnoteで新年の創作について語っている方の記事を多く見る。
あと、タイトルにあるこの「人材不足」の話題、ずっと記事にしようと思っていて忘れていました。

私のようなゲームシナリオを主にするシナリオライター、類似媒体の職種では「よくシナリオライター(作家)が足りない」と言われています。
商業系のイベントでは、あちこちの有名なゲーム会社様だの出版社様だのが執筆できるシナリオライターや作家を探すのに力をいれているので体感としても人材不足を感じることがある。

でも、この人材不足について。
良く解釈するとそれだけ夢を叶えられる機会があるのかな?になると思う。
その解釈は間違いではないと思うのだが、外注としてあちこちの企業様と書いている身として一番に思うのは、

企業様は磨けば輝く才能の原石ではなく、ある程度場数があり、売り上げを出せる即戦力のシナリオライターが足りない、と仰りたいのではないだろうか。

というのも職業柄、契約している企業様以外のディレクター様とも話すのだが、経歴を持っていくとわりとすぐに契約やプロダクトの話をいただくことがままある。
とてもありがたいことです。

どの企業様もシナリオライターは探していると思う。
これは確実に。

ただ、数年前はアマチュアから引っ張ってくる企業様もあちこちで見かけた。
まだ、ソシャゲがコンテンツとして一般的に台頭して3年以内だろうか。
有名なソシャゲがやっと10年の大台にのったし、私のデビュー作も7年目に入ったところ。
長くやっているゲームでも歴史にしてみれば10年でわりと長い方。
私がデビュー作に関わったのもプロダクトが走って3年目の年(厳密には2年経過)である。
あの時代は、ソシャゲを書くライターが少なかったのではないかと思う(推測になり恐縮ですが)
特に社外で任せたい仕事を任せるにも、なかなか、外注ライターとマッチングする機会は企業様からしたらなかったのではないか。
やたら、大きな案件がクラウドソーシングにのっていた時期でもあった。
だから、私の所属している制作会社様はほとんどアマチュアの私をイチから育成してくださった稀有なところである。

当時の採用の基準は、志望者が40人(これは見えている数字だから下限。実際はそれ以上)に対して合格者3人の枠で実地のソシャゲシナリオを書くというテストを行った。
これを逃したら商業デビューはないと思っていたので必死だったし、幸いにも私の知識にある分野が題材だったのでことなきをえた。

だから、叩きあげでアマチュアからプロになった人間がわりといた……のではないだろうか……。
現在、クラウドソーシングで商業IPの案件がたまに掲載されるともう歴戦の方々が(それこそプロの作家先生)こぞって応募されて、私もある程度は場数や実績になるはずなのに選考の段階で箸にも棒にもかからないことがある。

何が言いたいかと言うと現代は長いソシャゲなら10年単位、当時、下積みだったシナリオライターもある程度は経験を積んできたはずだ。
日々、新しいゲームがリリースされ、コンテンツにはクオリティが求められる。
よって、アサインされるにもどうしてもスキルと実績を求められる。
何が言いたいかというと「シナリオライターが足りない」というあの言葉は、確実に書けるシナリオライターなり作家なりを見つけるパイとりゲームのようなものな気がする。

特にゲーム界隈が顕著なのだが、既存の仕事は面識のあるシナリオライターに優先的に回されるし、そもそも社内所属のライターと比べ、時間と比較的守秘義務が見逃されている我々、外注も職務経歴に書ける経歴は限られてくる。

だから、作家は募るけど、なぜか採用されないという奇妙な現象が起こるのではないかと思う。

ただ、見事な花を咲かすには種をまいて、丁寧なお世話が必要である。
今も新人の方の才能……つまり、この物書きは伸びると確信や長年の育成を必要としてでも欲しい人材があり、真摯に仕事に取り組む姿勢を見せれば、採用してくださる企業様はあるように感じる。

ディレクターの方とて人間なのだ。
話しているとちゃんと温かみやものづくりに対する情熱は専門の方なので強く感じる。

現に今、リアルで書き手を募る機会が増えている。
ただ、評判になりすぎて、ある程度の実績の提示が必要なので、個人的には実績も少し視野にいれて、人とのつながりから夢を叶えていくというアプローチも大切に感じるのです。

ここ最近、私はフォロワーさんのフォロワーさんだったり、実生活でご縁があった方と繋がっている。
こういったnoteで発信するとありがたいことに大御所の作家先生、現役のシナリオライター様からお目通しいただくこともある。
確かに数年前と比べて、スキルと実績が必要になってきたと体感するが、人との繋がり方はいくらでもあるし、有益な知識を拝見させていただけるのでありがたいと感じる。

私はあと3か月……つまり、2025年の4月まで地道にお仕事をやっていけば、商歴丸5年をやりきったことになり、6年目に突入する。
次の私の目標は10年目を目指すことだと決めている。

私の思想では努力は報われてほしいと思うし、正攻法だけがやり方じゃないと思うのです。
人との繋がりもアプローチとして大きいですし、私自身、梅芳のSNSアカウントではいろんな方と関われて感謝しております。
(今はSNSのアカウントを動かしておりませんが……)


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