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歩く、出会う、色づく【2024年ふりかえり】

一年間の振り返り。
今年はどんな年だったかなぁと漠然と考えたとき、まずは「こんなことになるとは思ってもみなかった」が最初にくる。
2024年が始まったばかりの頃は、良くも悪くも変化せず漫然と過ごすだけなんじゃないかと思っていた。
それがいつのまにか、あれよあれよと予想外に事が進み「なんだか楽しいぞ」と浮かれ半分・訝しさ半分で月日が流れ、上昇気流に乗ったままこうして1年を締め括ろうとしている。
いったいどんな日々を過ごしたのか。
自分自身の整理のためにも、項目立てて記してみたい。

季節をいかんなく楽しむ

今年は何が楽しかったかと問われれば、それは「季節」であったと答えてもいい。

例えば、春にお花見をする。
公園で夜桜を眺めて、その帰りに日本酒を嗜む日があった。
暖かくなった気候を満喫するように、仲の良い人と一緒に歩く時間も素敵なものだった。

例えば梅雨。
ともすれば憂鬱になりがちな季節を満喫したいと思い、浴衣を着て紫陽花を見て、鎌倉を散策する日曜日があった。

梅雨

そして夏。
今年の夏はすごかった。
海に、花火に、やりたいことや行きたい場所が次々と浮かぶシーズンだった。

あるときは旅行先で地元の花火大会に足を運び、あるときは夜の公園に友人たちを集めて数百本もの手持ち花火を灯らせる。
離島に旅をして、透き通った海が広がる波打ち際を歩く。
日が落ちて少しだけ暑さが和らげば、コンビニで購入したお酒を片手に、ただひたすらにのんべんだらりと散歩する。
贅沢で美しい、そんな夏を過ごしていた。

夏が終わって秋になる。
食欲の秋・文化の秋とはよく言ったもの。
かぼちゃや秋鮭を使った料理を作って我ながら感動することもあれば、大量の梅酒が飲み比べられるイベントがあると聞いてそちらに鼻息荒く乗り込むこともあった。
肌寒い秋というのは「火を囲みたい」という衝動も引き起こすもので、グランピング場でBBQを堪能したりもした。
博物館にもよく行ったが、これは詳しく書きたいので後述しよう。

さらに進んで冬になる。
クリスマスに湧き立つ世間のムードが好きで、そんな浮かれ野郎たちのメイン会場と行ってもいいディズニーで遊びまくった。
綺麗な星空が見たいと長野まで旅行にいったら、大雪に迎えられて、星は見えずとも一面の雪景色にはしゃいでしまった。
クリスマスには、とってもおいしいチョコレートケーキを食べた。

あれやりたい・これやりたいという私の我儘に付き合ってくれて、さらに一回り楽しくさせてくれるような周りの人たちにもとっても感謝している。
こんな季節の楽しみを、少しずつ形を変えたとしてもずっとずっと続けていきたい。

素敵な作品たちとの出会い

かねてより読書が趣味の私だったが、今年読んだ本は83冊ほど。
本音をいうともう少したくさん読みたかったが、それでも素敵な本にも出会えた。
せっかくなので、今年読んだ本の中からお気に入りのものを紹介しよう。

以下、こちらが「#2024年の本ベスト10冊」。

・恩田陸『チョコレートコスモス』
・森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』
・多崎礼『レーエンデ国物語』
・恩田陸『夜明けの花園』
・千早茜『赤い月の香り』
・原田マハ『たゆたえども沈まず』
・伊坂幸太郎『ラッシュライフ』
・中村森『太陽帆船』
・熊谷達也『悼みの海』
・瀬名秀明『八月の博物館』

全部の感想をあげるとキリがないので割愛するが、このなかで取り上げたいのは2冊。

まずは『レーエンデ物語』。
大人になってから本格ファンタジーをそこまで読む機会がなく、特に登場人物がカタカナ名だとこんがらがってしまう…。
そんな私だったから正直かなり気後れしていたものの、評判がいいから試しに読んでみようと思ったら、これがもう見事に面白かった!
作品の持つ世界観にもどハマりしてしまったし、シリーズを追うと壮大な叙事詩を読み解いている気分にもなってくる。
私のようにちょっとファンタジーに苦手意識がある人でも、ぜひ”入国”してみてほしい。

もう一つは、中村森さんの『太陽帆船』。
こちらは短歌集なのだが、そもそも私にとって2024年は短歌の面白さを知った年でもあった。
5月ごろに人に薦められて、木下達也さんの『あなたのための短歌集』という本を読んだところ、なんか面白いぞ…と興味が湧き、自分でも短歌集を探して読むようになった。

特にこの中村森さんの短歌は、透き通った美しさが言葉として現れているかのように思う。
例として、私のお気に入りのものをいくつか紹介しよう。

・帆を揚げる会いたい人に会いに行く それはほとんど生きる決意だ

・好きな人が幸福である嬉しさよ 全ての四季の花が香って

・花の名を教え合うように話してた 忘れたように生きると思う。

このほかにもたくさんの素敵な短歌が載っているので、ぜひ手に取ってあなたのお気に入りの一首を見つけてほしい。

本以外で言えば、映画もちょこちょこ観る機会があった。

とりわけ大好きだったのは『きみの色』。
本当にもう抜群によかった…!
以前のnoteでも感想を書いているので、よければそっちを見ていただけるといいかと思う。

あとは、私にとっての衝撃は『ウォレスとグルミット』との再会であった。
この作品の一般的な知名度がどれほどのものなのかよくわかっていないのだが、私はとにかく幼い頃にこれを擦り切れるくらい見ていた記憶がある(そういう記憶がある、というだけで肝心のストーリー内容の方はほとんど覚えていなかったが…)。

発明家のウォレスと犬のグルミットによるドタバタコメディーで、ストップモーションで制作されているのが特徴のこちらの作品。
昨年末から映画館で限定公開されていたため、今年の1月に観に行ったところ、海馬への刺激が激烈すぎて映画館で飛び上がりそうになってしまった。
作品自体の面白さもさることながら、突然「これ知ってる!!」というキャラクターやシーンが映り出されるたびに嬉しくなってしまった。
今となっては、最も愛らしく感じる作品の一つだ。

博物館・美術館へ繰り出す

もともと歴史や民俗には関心があるけど、美術工芸はからっきしという私は、博物館はともかく美術館に行くことが学生時代はあまりなかった。
ただ去年あたりから、「わからないものはわからないなりに見てみればいい」「自分が興味を持てる作品だけまずはじっくり鑑賞すればいい」と思うようになり、そうなると途端に行くのが楽しくなった。

ゴヤ〈戦争の惨禍〉
国展
北欧の神秘
デ・キリコ展
ハニワと土偶の近代


ちなみに今年行ったなかで好きだったのは、千葉県佐倉市にある「国立歴史民俗博物館」だ。
過去これまでおそらく2回ほど行ったことがあったのだが、今年あらためて行ってその展示の充実度合いに心を打ち抜かれてしまった。
博物館というのは企画展や特別展めあてに行くことが私は多いのだけれど、ここは常設展をいくらまわっても見飽きない。
というか常設展のボリュームが凄すぎて、全てを見ようとすると丸一日かけて足りるかどうか…というくらいだ。

常設展の展示室は、だいたい時代区分ごとに分けられていて、例えば古代展示室にはずらりと土偶が並べられている一角があったり、狩猟の様子やお墓を再現する模型があったりと、ただガラス越しの資料を見る以上の迫力がある。

博物館へのアクセスが若干悪いのが難点だが、とにかくすごいので今後も定期的に訪れたいと思っている。

猫が可愛い

ここまでが私の2024年の記録。
振り返ってみると楽しかった一年だったし、ひとりでいる時間も誰かといる時間も充実していたような気がする。
来年も素敵な年になりますように!

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