【能登半島地震を乗り越えた女性防災士が語る】和倉温泉の復刻が能登復興の鍵になる?
和倉温泉の現状
能登を代表する観光スポットである和倉温泉は、年間80万人が訪れる人気の温泉地です。しかし、令和6年1月1日に発生した能登半島地震により、和倉温泉は甚大な被害を受けました。21軒ある旅館のうち20軒が休館を余儀なくされ、営業を再開しているのは「花ごよみ」だけです。
和倉温泉の魅力は、何と言っても海に面したロケーションにあります。波穏やかな七尾湾は、時間帯によってさまざまな表情を見せ、その情景は最高の観光資源です。また、旅館で提供される海の幸や地元の野菜、米を使った料理、お酒は、訪れる人々の目も口も楽しませてくれます。さらに、豪華な漆器や九谷焼の器で供される料理は、視覚的にも満足感を与えてくれます。
休館中の旅館の役割
休館中の旅館の中には、災害復旧業者や自治体応援職員、災害ボランティアを受け入れている施設もあります。これらの旅館は、復興支援の重要な拠点として機能しています。
加賀屋ブランドの重要性
和倉温泉の知名度を高めたのは、「日本一のおもてなし」を提供する加賀屋の存在です。加賀屋がなければ温泉街の繁栄はなかったといわれるほど、重要な存在です。「加賀屋ブランドなくして和倉の復活なし」という声も根強いです。
「宿泊客囲い込み」からの脱却
和倉温泉では、これまで旅館の大型化が進められ、飲食や土産、レジャーなどを館内に集める「宿泊客囲い込み」戦略が取られてきました。しかし、地震の影響で大型旅館も休業を余儀なくされ、温泉や料理の提供ができず、館内で土産を買うことも難しくなりました。
新たな復興ビジョン「泊食分離」
和倉温泉の復興を目指し、旅館や商店の若手経営者が策定した復興ビジョンでは、施設規模の適正化や回遊性向上、旅館外で飲食する「泊食分離」の推進が掲げられています。和倉温泉の各団体、市、七尾商工会議所などが、これを具現化するための組織を設立する計画です。
和倉温泉の復興は、能登全体の復興の鍵となります。地震の影響で多くの旅館が休業を余儀なくされていますが、新たな復興ビジョンや地域の取り組みにより、再建への道が開かれています。地域住民や観光客が一体となり、和倉温泉を再び活気ある温泉地に復興させることが重要です。