読書感想文『「小さな主語」で語る香港デモ』石井大智編著-其之弐
思うところが多々あるので、続き。
自分メモ
✅正義とは何か?
→日本人留学生の文章で、非常に考えさせられるものがある。
留学前は、ニュースで香港の抗議活動を見て、自由を守ろうとする民衆が正義であり、それを奪おうとする政府は悪なのだと考えていた。自分も抗議活動に参加して、自由のために戦う人々を応援しようと思っていた。抗議活動の一環として街を破壊していることはよく思っていなかったが、政府が自分たちの声を聞き入れてくれないから、街を破壊して政府を困らせるしかないんだ、これは最終手段なんだと聞いて、暴力や破壊はよくないけれど、追い詰められて仕方なくやっているのだと心のどこかで彼らを肯定していた。
私は香港に行く前も後も変わらず、気持ちとしては自由を求める民衆側につきたいのだと思う。しかし、現地で生活していくうちに、彼らは本当に正しいことをしているのかと疑問をもつようになった。大半の香港人は平和的な抗議活動を行っており、破壊活動をしていたとしても、警察が突然侵入を図ってきたためそれを防ぐために近くの木を切り、椅子を集めてバリケードを築くなど、他に取りうる方法がないため行っているものも多かった。しかし、中には中国寄りだからという理由でお店を破壊したり、落書きをしている者もいた。地下鉄が中国寄りだからという理由で無線乗車をしている抗議者も見かけた。自由を求める人を応援したいが、私には抗議活動の一部が、「正義」を味方につけて無敵になった人々が暴走しているだけのように見えてしまった。抗議活動に触れれば触れるほど、結局何を求めているのか、何が正しいのかがわからなくなっていった。
――引用
僕の知人では、いわゆる民主派の人間が多い。
また、日本報道を見ている限りだと、
この留学生と同じく、「自由を求める民衆側」に肩入れをしてしまいたくなる。
でも、「正義」を楯にした暴力ほどタチの悪いものはないんだということも気づかされた。
✅香港人って?
→島国、単一民族、無宗教が主な日本人が一番理解できないのが「香港人というアイデンティティ」だと思う。
そもそも中国から来た同じ華人、
それも遠い昔ではなく、せいぜい2世代前
「香港」というエリアで生活している
でも中国と一緒にされることを、とにかく毛嫌いする。
でも、それは香港人の魅力、ミステリアスかつチャーミングな部分であると思っている。
私の従来のイメージだと、大陸が貧しくて香港の経済発展がめざましかったこころに、香港ドリームを追って命がけで香港に来たという移民が多いのかと思っていたが、香港が中国に返還され、大陸と香港の距離が近くなったことで移民が増えたという点もあるのだということを知った。従って、現在に至っても香港人は、大陸に直接のつながりがある人がほとんどなのだ。それを踏まえると、「香港人」という定義はどのようなものだろうとも考えさせられる。
――引用