「語学」を過剰投与すると人はどうなるのか
4月。
学校は新学年・新学期、学び始めの季節だから、それにつられて大人もなにかをスタートしたくなるもので。
春の陽気は気分を前向きにするし、咲きそろう桜は視線も姿勢も上向きにするし、新しい何かを勉強しようとするなら絶好のタイミングだ。ちょうど新年の抱負なんかはきれいさっぱり忘れてる頃合いだろうから、ここいらで仕切り直しするのは悪くない。
例に漏れず、ぼく自身も年始にとりあえず立ててみた目標はなーんも覚えていない。「あ、新年だ!そうだ、目標を立てなきゃ!」という急ごしらえなので、そりゃあ掛け声倒れになるわけである。
そんなこんなで迎える4月は、いい機会だ。
リスタートしよう。
今までなんとなく憧れのままにしてきたことを、実現するきっかけにしよう。
今まで憧れてきたもの。
ぼくにとっては、外国語を学ぶことだった。
昔から語学に興味があって、テレビのザッピングの途中に NHK 教育テレビ (今の Eテレね) で語学講座をやっているとついリモコンの手を止めてしまう。書店に行けば、引き寄せられるように語学の棚の前に居着いてはいろんな言語の本を眺めている。そんな子供だった。
そんな趣味の人間なものだから、毎年4月に書店に行くと心が躍るのだ。
なにせ、NHK 語学講座のテキストが一角を占めて平積みされている。しかも、どの言語のテキストにも「4月スタート!」という文句が書いてあって、まるで一冊一冊が “始めるなら今だよ” と手招きをしているようだ。別々のグループの友達から一度に「遊ぼうぜー!」と誘いを受けている感覚に似ている。いやぁ、嬉しいんだけど、困っちゃうなぁ。
そんなわけで、かねがね思っていたのだ。NHK 語学講座を全部いっぺんにやりたい。
どれか 1つを選ぶなんてできないから、いろんな言葉に触れたいんだ。
つまり、こういうことである。
……殺人的なスケジュールだ。
NHK ラジオで試算をしてみたが、語学講座をすべて聴いていると1日平均10時間が吹っ飛ぶ。ぼくも会社に勤めて禄を食む身なので、労働時間のほかに10時間を確保するのは現実的とはいえない。
しかしよくよく番組表を見てみると、だ。
たくさんある再放送の重複を省けば、全講座を受けても1日平均は3時間弱ぐらい。
もっというと、英語の番組を除けば 1日平均は1.5時間。
更にそこから入門編の講座だけに絞ってしまえば、1日平均は1時間を下回る。
……あれ、もしかしてこれいけるんじゃね?
そんなわけで、ぼくは4月4日からNHK ラジオで順次開講されていく中国語・ハングル・イタリア語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語・アラビア語・ポルトガル語をいっぺんにやることにした。
とりあえず講座の区切りが9月末なので、それまで。
先におことわりをしておくと、効果的な語学学習を目指すなら正気の沙汰じゃないのは承知のうえ。
これは完全に趣味の世界。どんな知識が身につくのか、世界の見え方は何か変わるのかなんてことに単純に興味があるのだ。
「語学」を過剰投与するとどうなってしまうのか、身をもって行う人体実験だと思って眺めてもらえれば。自分自身を実験台にしてしまうマッドサイエンティストのような気持ちで、ワクワクとゾクゾクが入り混じっている。ヒヒヒヒヒ (こえーよ)。
あと。
これらの講座をどれか一つでもやろうとしている人や、4月から学校で新しく上記の言語を学ぼうとしている人。もし声をかけてもらえたら、一緒になってがんばろうと思う。
さぁ、4月。
春風に誘われて、一歩踏み出してみることにした。
踏み出した先が崖だとしても、まぁそれはそれということで。
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