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趣味の映画イラストが日本映画最長シリーズの仕事につながった話

子供の頃から映画が大好き

僕は映画が好きです。子供の頃は、週末夜の映画の放送にかじり付き、録画したテープを何度も見て、おにぎり片手にバスに乗って片道1時間かかる映画館まで行くような小学生でした。

中学の頃は、今は無き映画雑誌『ROADSHOW』の似顔絵コーナーに投稿し、

佳作に入って嬉しかった


将来はハリウッドで働きたい!ならば英語を学ばねばと、高校2年のとき佐賀県の補助を獲得して米国に1年留学したり、映画の撮り方に興味がわいて、映画学科がある大学が良いと、大学は日本大学映画学科の撮影・録音コースに入ったりと、人生の岐路には何かしら映画が影響しています。

結局就職は、広告やCMの方向を選びましたが、気になる作品はなるべく公開当日に観に行くし、週末は必ず家族で映画を見るのが習慣です。

四コマ映画連載スタート

CM制作会社を辞めて絵の仕事を始め、結婚。経理を担当してくれている妻に、言われました。

映画を経費で落とせるように、映画のイラスト描けば?

なるほど、それもそうだと。2014年頃から、映画館で見た映画、金曜ロードショーで放送される映画の、イラストや四コマ漫画を描いてブログにUPし始めました。ただこの頃は超不定期で、全然身が入っておらず、習慣的に描き出したのは、2016年からです。

その年。佐賀への帰省ついでに、福岡に立ち寄り、大濠公園のあたりを妻と二人でベビーカーを押しながらフラフラしていたら、メールの着信音が鳴りました。

『四コマ映画』で、連載しませんか?

というお誘いでした。

『四コマ映画』というのは、文字通り映画を四コマで紹介するサイトです。元々同じようなことをブログでやっていたので、「どうせ描くならいくらかいただけた方が絶対良いじゃない!」と、快諾して四コマ映画さんで隔週連載をスタートしました。

出典:四コマ映画

最近は手一杯で、更新できなくなってしまいましたが、2016年から、2021年までに77本の映画を紹介しました。

まさかの、寅さん。

昨年(2024年)の4月。HPのお問い合わせフォームにメールが送られてきました。相手は、松竹さんです。

『男はつらいよ』 55周年プロジェクト
2024年は、第1作『男はつらいよ』が公開された1969年8月27日から数えて55周年の節目。一方で、「男はつらいよ」「寅さん」は、知名度に対して、内容認知度が低く、若年層に興味を持ってもらえるきっかけが少ない。新規顧客層が広げきれていないので、イラストの力を貸してほしい。

超ザックリ要約すると、こういうことでした。ご担当の方は、四コマ映画の連載や、『すごい毒の生きもの図鑑』など、僕がイラストを担当している本も読んでくださっている方でした。

「男はつらいよ」全50作の紹介漫画化に協力してくれる作家を探していて、ウラケンに白羽の矢が立ったというわけです。

四コマではなく、図解で。

55周年記念ということで、BSテレ東で毎週土曜の18時半から『男はつらいよ』シリーズが放送されます。それに合わせた企画です。色々と打ち合わせした結果、四コマではなく、『図解寅さん』として、次の4点を描くことになりました。

【図解 寅さん】
・図解(テーマは月ごとに変わる)
・マドンナ紹介
・ハイライト劇場
・寅さん語録

これらを、XFacebookインスタの、公式アカウントで、放送に合わせて順次投下していくスタイルです。

『男はつらいよ』 見たことなかった!

で、ここで白状しますと、冒頭で映画大好きと言ってましたが、このわたくし…

『男はつらいよ』シリーズ、
1本も観たことありませんでした!

キャラと、メロディーと、あの有名の口上と、なんか柴又の団子やが実家で、よく恋をしてはフラれているテキ屋のおじさんで、妹の名前がさくらってことぐらいを、断片的に知ってるくらいで、映画を1本フルで見るということをしていませんでした。


あと正直、『男はつらいよ』ってタイトルがもう、何かすごく昭和感というか、前時代的価値観な映画っぽく見えて、完全に食わず嫌いしてたんですね。

「男はつらいよ」「寅さん」の知名度に対して、内容認知度が低く、若年層に興味を持ってもらえるきっかけが少なく、新規顧客層が広げきれていない。

そうです。松竹さんが狙いたいと思っていたターゲットに、ドンピシャハマっちゃってるのが僕だったのです。

いやぁ、しかし長く続いている作品というのは観てみるものですね。この映画が何故こんなに愛され、続いてきたのか、10作目あたりからようやくその謎が解けた気がしました。

この映画は、『男はつらいよ』ってタイトルを謳いながら、その時代のさまざま女性の生きづらさを毎回別のマドンナに当てはめ、寅さんを軸に物語に落とし込んでいる作品だったのです。

出典:寅マドンナ

一作目で、開始30分で好感度が駄々下がりして、もう帰ってこないでほしいと思った寅さんですが、愛されている理由もだんだん分かってきました。

出典:寅さんハイライト

あと、さくら=妹くらいにしか認識していなかったのですが、寅さんとは異母兄妹という、ファンにとっては常識レベルなことも、1作目を観てようやく把握しました。

出典:図解寅さん

また、家系図を見ると、『男はつらいよ』シリーズって家族の絆を描いてるようで、実は血のつながりはそれほど濃くなく、むしろ全体的にかなり薄い。血のつながりだけが家族じゃないということを描いている映画シリーズなのだということにも気づかされ、印象が覆されました。

いやぁしかし、全体的に家族や女性の生き方への考え方が、最先端というか、完全に今の令和の世の中に必要な考え方で、「山田洋次監督マジで今年93歳かよ。」と唸ってしまいます。

資料として、山田洋次監督が1作目以前の物語を小説にした『悪童 小説 寅次郎の告白』も読んだのですが、これはもうボロボロ泣きました。寅さんが映画では語られない自分の生い立ちを一人称で語る一冊なのですが、寅さんを知ってる人も、知らない人もどちらにも読んでほしい本です。超おすすめの一冊です。

寅さんマラソン、折り返し!

全50作の『男はつらいよ』シリーズ。先ほど、第25作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』のマドンナと、ハイライトを描き上げました。

よ、ようやく折り返し!まだ半分残ってる!先がまだメチャクチャ長いですが、こんな機会は滅多にいただけるものではないので、あと半分頑張ります!ただ、やっぱり、ちょっとシンドイ!毎回映画全部観て、ハイライトはどこを抜き出すか、マドンナはどの表情と台詞にするか、語録はどの台詞を紹介するか、そして図解で何をとりあげるか、50作やるの正直シンドイ!

なので、このnoteを読んだ寅さんファンの方に一つお願いしたいことが!

マラソンにも、駅伝にも、声援がつきものです。応援を!応援をください!Xの寅さんのアカウントをフォローして、何かしらリプに書き込みをください!イイねか、RTだけでも結構です!良いねとRTの数が、あと半分走り切るエネルギーになります!

映画イラスト投稿から、10年

僕がブログに、はじめて映画ネタのイラストを投稿したのは、2014年の7月でした。そして、寅さんの仕事の依頼が来たのが2024年。何と、キリが良いことに丁度10年です。まさか、あの投稿が10年の歳月を経て、日本映画最長シリーズの仕事に繋がるとは。ビックリですね。

継続は力なりと言いますが、趣味を経費で落とすために描き始めた映画イラストが、こんな繋がり方をするなんて、人生って面白いですね。あなたの趣味ももしかしたら、10年後すごい繋がり方をするかもしれません。

それでは、読んでいただきありがとうございました。コメントなどいただけると嬉しいです。



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