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黒留袖で世界に一つのブルゾンを作った

私の趣味はハンドメイドです。
2023年、前から好きでしたが何かにとり憑かれたように中古着物を買いまくってました。もちろん目的はあって、素敵な日本の伝統美術品をリメイクして洋服に仕立てようという魂胆であります。
実家から掘り出したおばあちゃんの着物や、もらってきた母の着物が数枚。
羽織りはうちの中で着たり、着ないものはほどいて洗って保管。出番を待っています。
着物着て生活したいよね、でも、めんどくさいよね。
今、世界中のほどんどの人が着ているであろう、Tシャツやズボン、ニットの下着や靴下。どう考えても楽すぎる。これ以上に楽な服って今後発明されるのか?
そして楽な服を着て、私は着物も着る。違う形で。

日本には素敵な着物が溢れています。ヤフオクでいくらでも見つかる。
私が競り落とした着物は全て正絹で、訪問着、小紋、留袖。
そのうちの1枚でこさえたブルゾンを公開したいと思います。

金額は1枚500円代~1700円位のものです。これに送料が1100円かかりました。状態の悪いものは手を出していないので競り落とした全て状態が良かったです。残念ながら生まれ変わる前の状態を残していないのですが、前世は平安貴族さん(Miss Moto Ki zok)です。

1.全ての糸をほどきできるだけ同じサイズごと分ける
(手洗いの洗濯の際サイズがまとまってると扱いやすい)
2.アクロンで浸け置き洗い
(必ず洗う必要はないです。あくまでも自己責任。縮み、色あせの原因にな   ります。洗濯ネットにサイズを分けをして入れ優しく押し洗い)
3.ピンチに挟むより竿にかけて日陰干し
(干し癖をなるべくつけないように)
4.乾いたら当て布して中温でアイロン
5.使う柄を選んで構図を決める

洗濯、乾燥後
洗濯、乾燥後

6.柄をミシンでつなぎ合わせる
7.型紙に合わせて裁断
8.生地を下処理(接着芯や布端の処理)
9.キルト芯を裁断(前、後ろ見頃と袖)
10.あとはブルゾンつくる手順で縫う

ブルゾンの片玉縁ポケットの部分、カバー部分の布と地の柄ってつながらないんですよ。同じ生地があればつながりますが、ないので考えました。
私ここだけぽっかり黒生地にしたくなくて、何か柄で埋めたくて。
ただでさえ柄が少なくて余ってる柄も少なくて、ギリ使えると裁断したら天地逆になったりして、こだわりすぎてわらけてきました。

こだわりの片玉縁ポケット
前見頃になる
後ろ見頃になる
ひと際顔のでかい女

背中にくる柄には、誰よりも顔がでかい女性を配置。

生まれ変わった、レディ平安さん(Lady Hei Ann)です。

前見頃の柄がずれています。なぜかって?布幅がギリでこれ以上ジップ側の柄をつなげる事が出来なかったから。正直、L~LLサイズで作ったから足りない訳で、Sだったら綺麗に柄が繋がったと思う。言い訳としてはでかい体になってしまったのでオーバーサイズで作りたかったんですね。
私は髪が長いので柄を上の方に配置したくなかった。髪で綺麗な友禅染めが隠れてしまうのが嫌で。
この着物の前の持ち主である若菜さんというお名前が右ポケットの横に見ええます。柄のつながりを考慮して、お名前のところを使う選択をしました。だってここの部分だけ黒地使うと前から見た時、変な感じになると思いませんか?見てもらうとわかりますが、肩の上からはぎ合わせた生地なのです。そしてこの絵を描かれた作家さんの落款は左袖にしっかり残しました。

左袖にも柄入りです。一周してないけど気に入ってる
左袖の脇下は柄が足りないので黒地です
右袖にはポケット

型紙はすてきにハンドメイド2023年10月号の
〈MA-1風ジャケット〉です。

裏地はキュプラ100%

ブルゾンを生まれてはじめて作ったし、いきなり絹で作ったので難しさを比較できませんが、ジップの押さえステッチ、裾のニットの押さえステッチのいかに綺麗に縫うかが難しかった。どうしても曲がる。ステッチの正確さは完成度に影響が出ます。指示書に書いてなかったけど、どっちも仮縫いしないと綺麗にできない。こちとらごく普通のミシンなんだ。ステッチ幅決められるようなツールもないんだぜ。ってな感じで完成しました。

基本引きこもっている私ですが、お出かけする時はこれを着てます。
キルト芯が入っているおかげで想像以上にあったかい。極寒地では通用しないでしょうが、関東住まいの私にはちょうどいいです。

柄をつなげたり構図を考えてる時の楽しさは至極幸福です。

留袖と言えば家紋。家紋でいうと私の実家は女紋があって、おばあちゃんの喪服にはしっかりかっちょいい女紋が入っていました。
それで気になったんで図書館で貸出禁止資料で調べたんです。
日本家紋総鑑 千鹿野 茂 著 日本の家紋研究に大きく貢献された方の本。
もちろんネットでも調べましたがヒットせず。
通常の家紋はすぐ見つかりました。でも女紋の方はなかった。
そもそも女紋自体が少ないから?
この紋を今でも使っている人はいるのか?いたとしたら親戚?