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竜宮城へ 招かれた日….. そんな景色を….

こんなところに あったんだ
少し寂れた繁華街の真ん中

暖簾を潜ると….
そこには 乙姫様が立っていた

じっと眼の奥を覗き込まれる
“あ 全て観られた”...

“浮世雲さん お待ちしておりました”

乙姫様は こちらへと

暖簾を潜った瞬間に 空気感が変わる
神社仏閣にいるようで....

竜宮城だし....

気がつくと喉が渇いている

“ビールください…..”

泡が 美味しい....

そう思うのも久々である

リズミカルな舞が披露される
手にした大きな大きな貝は 身となり....

気がつくと いつのまにやら
芸術品が….

美味いって 言葉は出てこない

似合わない....

噛み締める度に

“生きてて良かった”….と



ギランバレー発症して 仙人界 田園界にいた 五ヶ月間 生魚を口にする事は無かった。
何食べたい?って聞かれて 
“お造りが食べたい”って….

窶れた身体は 本能的に欲していたんだと
竜宮城に招かれては いたが….
その時には 暖簾を潜る 体力気力は無かった。

“今日は 退院祝いだから 泡泡を…“

浦島太郎が 竜宮城を訪れる
六ヶ月かかった....

冷えボトルの封を切り 静かに
栓が抜かれる
溢れる 泡泡....

朱が好きである
その身も もっと好きである。

お酒 合わせてもらえますか?
美味しい肴に 逢う酒を選んでもらう

眺めていたいけど
身体は 欲する


城主は 日本中旅して
宴の肴を 連れ帰る

ある日 ふらっと 茶話会に来られた
お話をしていて 旅のスパイスが
出てきた

”せっかくだから 旅に 鉄の歴史と神々との繋がり そして ヨモギの文化を“と
お伝えした。

旅のスパイスは  効いたようで
次々と パズルのピースが繋がったと....

それにしても 浦島太郎さん
北に居たと思ったら 南の果てに
はたまた 東北に居るし....

”あははは 亀 兎より速いから...”
って 言葉にしなかったけど

言われてみたら 跳び回っていた

そら 神様から ギランバレーのチケット
手渡されるはずだ…..
手も足も 暫く忘れて殻を見つめなさいって.....

止まったら死んでしまうと思ってたら
生き急いで いたようで….

“荒走り”.....

言葉遊びの 上を行く....城主
なかなかやるなって

跳ねる海老は大人しく
酒に酔い

酒はすすむ

“画狂老人卍の蛸は 捌かれ
鷹に摘まれれ 菩提にとける....”

城主は呟く..... 浮世雲さん…,

“それ誰も わかりませんよ”


いいのいいの 二人がわかって居れば

宴席に座る 招かれたお二人
玉手箱を 開けて 魅せてくれる
そっくりである....

親子なんだ….

椀が入り....
次から次へと

もちろん その度に 酒は変わる

玉手箱のお二人は 現生へと....

いつしか 竜宮城に居ること
忘れていた....

けど 
今は 居る
次から次に 

舞い踊る....

肴に合わせて
酒もかわる

目の前に
鮑も いらっしゃる

乙姫様の着物に釘付けになる....
博物館に飾ってあるのは....

ここは 竜宮城.....

このまま 居ては きっと 
また 仙人界へ 連れて行かれる

爆音と共に

迎えの亀が やって来た


暖簾を潜り 
浦島太郎の世界へ


“写真撮ってあげますよ”

浦島太郎は 
景色を切り取るのが好きである

微笑む城主と 乙姫様


とても 良い空気が写っていた....

竜宮城から 亀に乗って 戻る

寝た....12時間….
発症以来 初めてだ….

“ずっと ずっと 緊張していたんだな”

翌朝すっきり 目覚めた

枕元には
玉手箱が…..

お二人が訪れた 日本中の神社の事が 手書きで 添えてある….,

お二人に 伝えた

“出羽三山へ 招かれてますよ”



ところで

竜宮城は 何処にある⁉️…..

あと数日しか無い….

もし 現生から 竜宮城への
暖簾を 潜りたい….
お訪ねください….

平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な 浮世雲

ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
竜宮城に招かれた日….

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