少なくとも一生に一度は 訪れたらいい “モノクロームな世界へ” せきがはら人間村生活美術館へ
訪れる理由付けは
なんでも 良いんです…
生きてるうちに 一度は
関ヶ原へ…
真摯に 描いてみます
長いけど 眺めてください
浮世雲
昨夜からの雨 すっかりあがり
庭の梅は 雫を愉しんでいた
トンネルを抜け
峠をぬけたら そこにある
せきがはら人間村
少し早く着いた…
女史は 門の前で 待っていた。
“お久しぶりです
二年ぶりぐらいですね”
なんだか スッキリした女史は微笑む
“足あります 手もあります 動きます”
ギランバレーになってから 久々に
お逢いする人に いつもの台詞….
“相変わらず 変わってますね
そんな 切り取り方する人 みた事ないですよ”
“褒めて もらってありがとう”
そんな女史の案内を 受けながら歩く
“なんだか 森みたいやねー”
オマージュを前に 女史に初めて 出逢った 春日 森の文化博物館のオマージュを 思い出した
“珍しい 大理石なんですよ”
広大な敷地
そこには 色々な作品が居る
関ヶ原と
聞けば 誰もが知っているであろう
場所である
数々の歴史の舞台になった地である
今 そこを 我が足で
話ながら 歩いている
“寝たきり五ヶ月が 嘘みたいですね”
“俗世間では 死んだと 思われてるから”
二年ぶりに 逢ったとは思えない
会話が弾む
“ここ好きなんですよ”
お気に入りの場所である
石で 出来た動物達が迎えてくれる。
何処かユーモラスで 温かい
不思議なもので 何度訪れても
その度に 観える景色が
変わって 観える
作品名を 説明してくれる
でも
そこからの連想よりも
自分で 作品名をつけるのが
愉しい
モナリザを観て
“モナリザの微笑み”って書いた
美術の成績は 1になった。
それでいい
大きな大きな建物に 辿り着く
“蔵”だそうだ
大きな 大きな鉄の扉を開く
また 呟いている。
“そんな 切り取り方した人みた事ありません”
“褒めてもらって ありがとう”
ここは 蔵である
“見つめられ”
ご挨拶をして
収蔵品を 魅せていただく
共鳴すれば すればいい
通り過ぎても構わない
2階に上がれるんですよ
上がって 見下ろしてみる
“ここは 蔵なんだ”
座り心地の良いソファーに
テーブル
“此処で 茶話会したいねー
蔵の空気感を 愉しみながら”
茶テンダーは 呟く
収蔵品は 此処でゆっくり ゆったりと
呼吸を整えていく
“時間 大丈夫?”
招かれた企画展へ
生活美術館本館の扉を開ける
リー ウーファン
最初に飛び込んでくる この台詞
そして 一枚の作品を観た瞬間
“これよ これ”
思わず手を 叩き 声をあげる
自然な事だと
他に誰も居ない 貸し切りだし…
女史に 説明している。
“和紙は 単なる”もの”でしか無い
そこに 一点 人の作為が加わると
景色になると”
あくまでも 私の見方である。
その点は 白紙に立つ
私自身でもあるから….
壁を隔てて 一枚の作品
“これ 今の貴女だ”
“真ん中の点は 変わらない”
女史に それ以上の説明は 要らない
会場に 並ぶ作品達
気が付いた事が…..
この会場の作品全てで 一つの作品に
なっている….
思わず呟く
女史は ハッとなったようで…
“相変わらず 切り取り方が変わってますね”とは 言わず
“合点”だと
大きな大きな 窓を開け
作品達が 春を愉しむ
森を抜け 案内された
そこに 置かれたリーウーファンの作品
観た瞬間に 全身に鳥肌が立ち
身震いした
“やっぱり”と女史に呟いた。
数年前
女史が 春日 森の文化博物館に入る時に
呟いたらしい
“石と鉄について 深く調べてみたら”と
いま 目の前に
リーウーファンの作品として居る。
“やっぱり 繋がってますね”
“そう思う”
俗世間から離れている間に
心地よいカフェが出来ていた。
この作品を 眺めながら
ケーキを食べている。
昼御飯を食べる事すら 忘れていた。
この作品について
一日中 語っていられる
この地と
石と鉄の深い深い物語を
カフェを後に
お気に入りの場所
平和の森へ
初めてこの地を訪れる人を
最初に 案内する場所でもある
この地は 色々な歴史を持っている
誰もが 聞いた事がある場所である
せきがはら
女史が突然呟く
“私が 写真撮ります
此処を 歩いてもらえませんか?”
田園の中の 一本道を歩く
何故だか 歩きながら 泣けて来た
全く 歩け無かったんだから…
良く頑張ったなって…
褒めてあげよう
その先には 夫婦のライオンが
迎えてくれた
ここで ゴールである。
最後に 現生に戻るため
もう一度 アーチをくぐる
今までいた場所から現生へ
アーチの真ん中で
不思議な感覚に包まれる
その瞬間に 生きて
その瞬間に 死んで
今を 生きる
少なくとも 一生に一度は 訪れたらいい
“モノクロームな世界”
せきがはら人間村生活美術館へ
訪ねるなら
女史を訪ねて
きっと
この広い広い大地の
何処かで 黙々と
草を抜いているから
宜しかったら
訪ねてみるといい
きっと きっと
美しい
景色になりますよ
それが
自然だから
浮世雲
せきがはら人間村生活美術館にて
2023.03.11 記す
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